自己破産の条件~破産決定が出るのはどんなとき?

自己破産

裁判所に自己破産の条件を満たしていると判断されると、「破産手続開始決定」が出され、本格的に手続きが開始することになります。しかし、この破産手続開始決定はどういった場合に出るのでしょう?

今回は、上記の疑問を解決させるだけでなく、自己破産が認められる典型的な具体例について触れながら、専門家への相談の仕方についても解説していきます。

専門家への依頼は自己破産の準備

自己破産という手続きは、弁護士や司法書士といった専門家に依頼したからといって手続きが開始するわけではありません。専門家に依頼した後に行われるのは、あくまでも自己破産申し立てのための準備であって、本当の意味で自己破産手続きがスタートするのは、裁判所に自己破産の申立書を提出し、「破産開始決定」が出てからとなります。

破産開始決定が出るのはどんなとき?

この破産開始決定を持って、申立人は法律上の破産者となり、自己破産の手続きが本格的に進められていくのです。ここで疑問になるのが、破産開始決定が出るのはどんなときなのだろうか?という点。言い換えれば、自己破産する条件とも言えます。

自己破産できる条件とは?

では、自己破産できる条件には、どういったものがあるのでしょう?

よく借金がいくらあったら自己破産できるのか?といった質問を現場でも見受けますが、実は、借金がいくらあるから自己破産できるといった明確な基準は存在しません。なぜかというと、年収が1000万円ある方に借金が300万円あっても決して返済しきれない金額とは言えません。一方で、年収が300万円の方が300万円の借金を抱えているとなると、同じ借金額でも前述した方とはまったく事情が異なってきます。
つまり、単純に借金額だけでは自己破産の可否を決めることはできないのです。

では、以下にて自己破産する条件について、さらに具体的に見ていきましょう。

支払い不能状態が自己破産の条件

自己破産を検討する上で必ず知っておきたいのが、自己破産を認めるか否かを判断するのは管轄となった裁判所であるという点です。自分自身でなければ、借入先でもありません。

では、裁判所はどういった基準を自己破産の条件としているのでしょうか?

実は、裁判所が自己破産を判断する上でもっとも重要視しているのが、申立人が「支払い不能状態にあること」です。こちらは、破産法第十五条に明記されています。

支払い不能状態とは?

では、この支払い不能状態とはどういった状態をさすのでしょう?

自己破産を申し立てるということは、返済できないと感じるだけの借金があるということ。この借金を本当に返済できない状態にある。つまり、支払い不能状態にあれば、自己破産は認められます。しかし、ここでいう支払い不能状態というのは、主観的な判断でされるものではありません。第三者が見ても支払い不能状態でなければならないのです。

ただ単に返済が苦しいと感じているだけでは、支払い不能状態とは言えない場合があるということ。どれだけ支払いが苦しいのかを裁判所に理解してもらう必要があるのです。

自己破産における典型的な支払い不能状態

それでは、以下にて典型的な支払い不能状態について見ていきましょう。

  1. 生活保護を受けている(受けることになった)
  2. 収入がなくなってしまった
  3. 借入限度額から抜け出せない

こうした状態の場合、裁判所に支払い不能であると判断される可能性が十分にあります。

生活保護を受けている(受けることになった)

生活保護を受けている方は、まさに支払い不能状態と言い換えることができます。

借金というのは、生活保護によって支給される生活保護費の中から返済して良いものではありません。生活保護費はあくまでも生活のためだけに使われなければならないため、生活保護申請の際に借金がある方は、自己破産が前提となります。

不正受給問題に要注意

近年よく問題視されている、生活保護を不正受給している方もいるため、生活保護=自己破産が認められる、というわけではない点に注意しましょう。隠し財産がないか等、裁判所によるチェックが必ず入り、自己破産すべきかどうかが判断されます。

収入がなくなってしまった

生活保護を受けるとまではいかないものの、収入がなくなってしまった、または著しく減少してしまった方は、支払い不能状態に足を踏み入れている可能性が十分にあります。

こうした状況に陥る例としては、交通事故や病気であったり、勤め先の倒産であったりと原因はさまざまです。となれば、今までは収入があったためなんとか返済できていたものの、収入がなくなったのをきっかけに、さらに他社からお金を借りなければ返済に回す資金がなくなってしまった、生活費の捻出ができなくなってしまった、といった状況へと追い込まれていきます。中には支払い不能に気付かず、どうにかしようと模索している方も多くいらっしゃいます。長期間収入の回復が見込めない場合は、自己破産とまではいかなくとも、債務整理手続きを視野に入れておくのが大切です。

借入限度額から抜け出せない

上記のような理由も含め、借金をしなければならない事情は人それぞれです。

収入不足から生活費の不足を補う方や、何か事業を立ち上げるための資金が必要になる方、中にはギャンブルが原因で多額の借金を抱えてしまう方もいらっしゃいます。
そして、借金を積み重ねてしまった結果、借入限度額に達してしまい、毎月なんとか返済だけはできているものの、またすぐ借入をしてしまうため借入限度額から抜け出すことができないといった方は、支払い不能状態に限りなく近いと言えます。

何か1つでも歯車が狂えば、当然、生活に無理が生じてきます。借金が理由で生活自体に無理が生じている方は、支払い不能状態と言い換えてもおかしくはないのです。

自己破産の判断には専門知識が必要

実は、自分のことというのは、自分が一番わかっているようで冷静な判断に欠けているケースが多く存在します。支払い不能とは言えない状況にあっても、これ以上返済なんかできないと感じてしまったり、すでに支払い不能状態にあるというのに、まだ返済できると頑張ってしまったりと、主観だけではどうしてもムラが出てしまいます。

個人ではどうしてもこういったお金に対する価値観のムラが生じてしまうのです。そこで、裁判所が支払い不能であると判断する可否については、裁判所と同様のフィルターに通して判断することができる専門家の知識が必要になってくるというわけです。

自己破産は専門家に相談することが大事

返済が大変。とても生活が苦しい。でも、自分は自己破産の条件を満たしているのかな?こういった疑問をお持ちの方は、まず専門家に相談することが何よりも大事です。

自分がどれだけ苦しいと感じていても、必ずしも裁判所が同様の判断をするわけではありません。自身で裁判所へ申立をしようと思えば、どうしてもこの裁判所との判断基準の違いが問題になってしまいます。裁判所が自己破産は認められないと判断すれば、破産手続開始決定が出ることはありません。申立にかかった時間も費用もすべて水の泡です。

こういった事態にならぬよう、自己破産は専門家に相談するところから始めてみましょう。

専門家への相談は無料法律相談を活用

とはいえ、専門家に相談するとなればどうしても費用が気になってしまいます。
法律相談と聞くだけで敷居が高いと感じてしまいますし、特に弁護士事務所ともなれば、日ごろの生活とかけ離れすぎていて、どうしても踏み出せない方も多く存在します。

誰にでも利用できる無料法律相談

しかし、現在、多くの法律事務所で無料法律相談を実施するようになってきました。

近年の法律相談は、一般の方が思っている以上に身近なものになってきているのです。これをうまく利用すれば専門家の意見を無料で聞く事ができます。

自分は自己破産の条件を満たしているのか?その判断を専門家が無料で行ってくれるのだから、これを利用しない手はありません。
専門家への相談は、無料窓口を大いに活用してください。

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