自己破産で同時廃止になるのはどんなとき?
- 監修記事
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弁護士法人札幌パシフィック法律事務所
佐々木 光嗣弁護士
自己破産が同時廃止事件になるか、管財事件になるかについては、費用面に大きな違いが出てくるため、可能な限り同時廃止で処理されるよう申立てするのが重要です。
本来、必要のないお金を納めすぎないように、また、手続きが長引く管財事件になってしまわないように、同時廃止の条件について知っていきましょう。
同時廃止のほうがはるかに負担は軽い
裁判所において自己破産の処理が同時廃止となった場合、申立人(自己破産を申し立てた人)にかかる負担が軽減されることになります。管財事件(少額管財事件)として処理されてしまうと、費用面の負担が大きくなり、そして終結までにかかる期間も長期になってしまいます。
たとえば、同時廃止の場合は2万円程度で済むところ、予納金(裁判所に納めるお金)が20万円以上になってしまいますし、破産管財人の調査や債権者集会といった手続きを経由しなければならず、申立てから半年以上かかってしまうこともあります。
となれば、誰だって同時廃止で処理されたほうが良いと考えるのが通常でしょう。
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同時廃止として処理されるには?
では、自己破産が同時廃止として処理されるにはどういった条件があるのでしょう?
以下にて詳しくご説明していきます。
基準は裁判所毎に異なる
まず前提として必ず覚えておかなければならないのが、自己破産処理の判断基準というのは申立てをする裁判所によって異なっているということです。
特にどちらに転ぶかきわどい事案である場合、ある地方の裁判所では管財事件相当と判断されても、別の地方の裁判所では同時廃止として処理するといったケースもあるのです。しかし、自己破産を申し立てる裁判所は自由に選べるわけではありません。
申立人の居住地を管轄している裁判所に申し立てなければならないため、その地域にあった対策が必要になってしまうのです。とはいえ、一般的な基準についてそれほど大きな差はないため、今回はその基準について詳しくご説明していきます。
同時廃止を判断する一般的な基準
同時廃止を判断するにあたって、もっとも重要となるのが自己破産の手続きを進めるために「破産管財人」を選任させる必要があるかどうかです。選任させる必要があると判断されれば管財事件になりますし、必要がないと判断されれば同時廃止事件で処理します。
つまり、破産管財人の業務が必要か否かで同時廃止を判断しているということです。では、破産管財人は破産手続きの中でどういった業務を行うのでしょうか?
破産管財人が行う業務は多岐に及びますが、大きく分けると以下3つになります。
- 財産の調査・管理
- 財産の換価・弁済
- 免責許可までの観察
また、破産管財人が選任されないために必要な事項についても個別に見ていきましょう。
財産の調査・管理
破産管財人は、申立人の保有財産を改めて調査し、発見された財産については適正に管理しなければなりません。通常、弁護士が申立代理人になっている場合、保有財産については十分に調査されたものとして手続きが進められることが多いのですが、本人申立て(司法書士に依頼した場合も)の場合、改めて財産調査が必要と判断されることもあります。
そうなると、破産管財人が選任されてしまい、同時廃止では処理されません。申立段階でしっかりと調査がなされているかは非常に重要です。本人申立てとなると、調査不十分と判断されるおそれが強いため、申立書の作成は慎重におこなわなければなりません。
財産の換価・弁済
申立人が一定以上の財産を有する場合(一般的な基準は20万円)、その財産を換価し、債権者に対して按分弁済するというのも破産管財人業務の1つです。ということは、保有財産が20万円に満たない場合、換価する財産がない(管財費用を予納する財産がない)と判断されるため、破産管財人は選任されず、同時廃止として処理されます。
ただし、自宅といった不動産を保有している場合、上記の理由からまず間違いなく破産管財人が選任されてしまいます。不動産や自動車といった高額な財産を保有している方が、同時廃止として処理されるのは少し難しいと言わざるを得ません。
しかし、オーバーローンになっていれば同時廃止としても処理される可能性は十分にありますし、中古車で市場価値が20万円以下であれば、換価されることなくそのまま保有することも認められています。全く方法がないわけではありません。
なお、上記の基準については、裁判所ごとの運用の違いが特に色濃いため、その地域で活躍している弁護士に相談されることを強くおすすめします。
免責許可までの観察
免責不許可事由がある場合、破産管財人が免責許可を出すのが相当かどうかを観察する運用の裁判所もあります。免責不許可事由とは、借金を重ねた理由が過剰なギャンブルやショッピングの場合や、偏頗弁済(特定の相手にだけ返済を続ける行為)があった場合などに、免責を出すのが原則的に認められないと判断される事由のことです。
とはいえ、たとえ免責不許可事由があっても、実際は裁判官の裁量によって免責が出される「裁量免責」にて借金は免除となるケースがほとんどです。そして、この裁量免責を出すかどうかの判断のため、破産管財人が申立人を観察するというわけです。
ただ、観察といっても生活を直接監視されるわけではなく、1ヶ月ごとに面接したり、収支表を提出させたり、生活態度を振り返る反省文を書いたりといった程度のものです。
同時廃止で処理してもらうために
自己破産という手続きは、同時廃止で処理されたほうが負担も軽くて済みます。
とはいえ、換価する必要があるほど財産がある場合、同時廃止として処理してもらうのは難しいのが現実です。しかし、上記で触れたような、調査不十分とされてしまったり、免責許可のため観察が必要と判断されてしまったりとなると、高額な予納金を納めなければならない事態にもなり得ます。
ただでさえお金に困っているというのに、予納金である20万円も捻出しなければ自己破産をすることもできなくなってしまうのです。
こんな事態を回避するためにはどうしたら良いのでしょうか?
弁護士に依頼して管財事件を回避
破産管財人の選任を少しでも避けるためには、弁護士に依頼するのが良いです。
弁護士に自己破産を依頼すると、申立書を作成してもらえますし、添付する書類の準備などもサポートしてくれます。充実した申立書を作成できれば、調査不十分と判断されるおそれがなくなるのです。また、弁護士が申立てまでの準備期間、申立人に携わっているとなれば、その報告を持って観察は十分と判断されることもあります。
それほど自己破産において弁護士の存在は大きなものなのです。
費用を考えたら結局一緒じゃないの?
ただ、ここで1つ大きな疑問が出てきます。弁護士に依頼すれば当然、費用がかかってしまいます。いくら同時廃止として処理されて予納金の納付がなくなっても、その分を弁護士に支払うのだから結局一緒では?と感じてしまうかもしれません。
しかし、これは大きな勘違いです。
弁護士への支払いは融通が利く
というのも、弁護士に支払う費用は分割にすることを認めてくれる場合もあります(法律事務所によって異なります)。
一方で、予納金の場合、原則、分割での納付は受け付けてくれません。1~3ヶ月程度の積立期間を設定してくれることもありますが、長期の分割払いというわけにはいかないため、どうしても目の前の負担が大きくなってしまいます。
弁護士に依頼するかしないかで大きく異なるのは、債権者からの請求をストップできるという点です。債権者からの請求がストップになるということは、これまで毎月行っていた返済をしなくてよいということですから、それだけ金銭的な余裕が生まれます。そのようにして生まれた余裕の中で、弁護士費用の分割払いを認めてくれる法律事務所を選ぶのがよいでしょう。
こうしたことからも、自己破産は弁護士に依頼し、裁判所に同時廃止で処理してもらい、あらゆる面での負担を軽くすることをおすすめします。
札幌市中央区にある「札幌パシフィック法律事務所」の弁護士、佐々木光嗣です。私はこれまで、前職までの事務所を含めて5,000件以上の債務整理に関する相談実績があります。債務整理に特化した大手事務所での経験もあり、豊富なノウハウを生かして借金問題に悩む方に最適な債務整理の方法をアドバイスしていきます。
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