特定調停が成立するまでの期間は?簡易裁判所の機能とは?

簡易裁判所は都市部ほど混雑

簡易裁判所は市民生活に密接した紛争解決を図る機関です。特定調停は裁判官と調停委員が債務者と債権者の双方の意見を聞きながら調停案をまとめます。調停成立には3、4カ月かかる場合が多く、都市部の簡裁のほうが長引く傾向があります。調停が不成立の場合は別の債務整理手続きに移行する必要があり、さらに時間がかかります。

簡易裁判所はどんな場所?

裁判所の種類は、最高裁判所・高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所があります。扱う事件の程度は裁判所ごとに異なり、特定調停を受け付けているのは簡易裁判所です。

簡易裁判所の機能

地方裁判所が全国で50か所あるのに対し、簡易裁判所は全国で438か所もあります。簡易裁判所は「国民に最も身近な裁判所」と呼ばれます。

市民生活に密着した紛争解決を図る

簡易裁判所は、市民生活に密接した紛争解決を図る裁判所として機能しています。取り扱うトラブルは、お金の貸し借り・交通事故の損害賠償・商品売買の代金・家賃や敷金・給料などです。特定調停の場合は、裁判の知識や経験が乏しい人も利用しやすいよう、裁判所が工夫を行っています。窓口で手続き方法を説明したり、定型化された調停申立書も用意するなどです。

民事訴訟・少額訴訟・民事調停

簡易裁判裁判所が扱う民事手続きは「民事訴訟」「少額訴訟」「民事調停」の3つです。

簡易裁判裁判所が扱う民事手続き
民事訴訟 訴額140 万円以下で、裁判官が法廷で双方の主張を聞き証拠を調べて最終的に判決によって紛争解決を図ります。なお、140万円を超える事件は上位にある地方裁判所で取り扱います。
少額訴訟 60万円以下の金銭の支払いを求める場合に行い、原則として1回の審理で決着を図ります。
民事調停 話し合いによる紛争解決の見込みがある紛争で、裁判官と裁判所が選任した調停委員で構成する調停委員会が、紛争当事者の合意を斡旋し、話し合いによって紛争解決を図ります。

特定調停は民事調停の一種

特定調停は「民事調停」の一種です。特定調停の一番のメリットは費用が安いことです。東京簡易裁判所の場合、申立手数料は債権者1社あたり500円、手続費用(予納郵便切手)は債権者1社あたり420円です。借金返済に行き詰まり、債務整理のために弁護士・司法書士に依頼する費用も工面できないという方に向いています。

特定調停の手続きの流れ

では、特定調停を申し立てて、借金減額が成立するまではどのような流れになっているのでしょうか。

簡易裁判所に申し立てる

まず、簡易裁判所に特定調停の申し立てを行います。申立書のほかに、返済が苦しいことを伝える資料として、資産の一覧・給与明細など家計の状況を明らかにするもの・借り入れの契約書・返済の領収書など提出する必要があります。

調停が開かれる日に出頭する

裁判所から調停期日が指定されるので、その日に出頭して調停に参加します。調停委員会は裁判官1名と調停委員2名で構成され、傍聴人が入る裁判などとは違って話し合いは非公開なので、申立人のプライバシーが守られます。調停期日は少なくとも2回あり、申立人は毎回参加します。必要に応じて債権者も出頭を求められ、借金減額について話し合います。

調停成立すれば、調停調書を作る

調停委員会は双方の意見をもとに調停案を示します。申立人も相手方も納得すれば調停成立となり、調停調書を作成します。調停調書は「債務名義」にあたり、裁判の判決と同等の効力があります。もし調停成立後に返済が滞れば、債権者は給与の差し押さえなど強制執行による債権回収が可能になります。

特定調停にかかる期間と注意点

特定調停の申し立てが裁判所に受理されると、債権者の督促は止まります。それにより心の余裕は生まれるものの、特定調停の手続きが完了するまでにどれくらいの期間が必要なのかは気になるところです。

調停成立までにかかる期間

調停成立までにかかる時間は、案件によって様々です。

早くても3か月

特定調停手続きの裁判所での期日は、原則として2回と決まっています。しかし裁判所は非常に多くの事件を抱えているため、調停成立には早くても3か月はかかると思ってよいでしょう。話し合いが長引けば、半年くらいになることもあります。

都市部ほど時間がかかる傾向

特定調停手続きに要する期間は、申し立てを行う裁判所の業務の混み具合で異なります。東京簡易裁判所など、人口の多い都市部では、必然的に裁判所に持ち込まれる事件の数が多くなります。このため一つずつの事件の解決が長期に渡ることが多いと言えます。

簡易裁判所は自由に選べるのか

地域によって、簡易裁判所が混んでいるため、期日が先延ばしになることもあるでしょう。早く、調停を進めたい場合、比較的業務が混んでいない裁判所を選ぶことはできるのでしょうか?

簡易裁判所は自由に選べない

結論から言えば、申し立て先の簡易裁判所を自由に選ぶことはできません。特定調停の場合、相手方である消費者金融業者等の債権者の住所地を管轄する簡易裁判所に対して申し立てることが決まりになっています。

債権者が複数の場合

債権者が複数で、一つの簡易裁判所に相手方の住所等がない場合は、いずれかの債権者(相手方)の住所等の区域管轄における簡易裁判所で取り扱うことがあります。

調停不成立なら借金整理をやり直し

また特定調停は、申し立てれば必ず成立するわけではありません。債権者が合意に消極的な場合は、調停成案の見込みがない紛争となり、不調に終わる場合もあります。

調停が成立しない場合

調停が成立しない場合は2つあります。一つは、債権者が決定に納得せず異議を申し立てた場合。もう一つは申立人(債務者)が調停を取り下げた場合です。

異議申し立て

調停が成立する見込みがない場合、裁判所は申立人と相手方双方の公平を考慮した17条決定をすることができますが、もし不服があれば、決定告知日から2週間以内に異議申し立てることができます。

調停取り下げ

申立人に返済の意思がない場合、または特定調停をしたとしても返済が難しいと判断した場合、裁判所から裁判の取り下げを勧められるケースがあります。申立人が「取下書」を裁判所に提出すれば、特定調停の手続きは終了です。となります

不成立になった場合

特定調停が不成立に終われば、任意整理・個人再生・自己破産といった他の債務整理手続きに移行することになります。

任意整理でも3カ月はかかると覚悟しよう

債務整理な中で最も手続き期間が短い任意整理でも、和解までに最低3か月はかかると考えてよいでしょう。
なお、不成立になった場合は債権者からの取り立てが再開します。取り立てが苦しかった方はすぐに次の債務整理手続きに取り掛かったほうが良いでしょう。

最初から任意整理などを選ぶ方法も

以上のように、簡易裁判所は迅速な解決を目指す機関ですが、満足する内容で調停成立しなかった場合は、逆に借金問題解決まで時間がかかる可能性があります。特定調停の手続き費用の安さは魅力的ですが、はたして特定調停が借金整理法として最適なのかはじっくり考える必要があります。場合によっては、最初から任意整理などを行っていたほうが楽に債務整理ができた、ということにもなりかねません。

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