特定調停申し立ての必要書類は?書式・様式や申し立てのポイントは?

特定調停の申立に必要な書類とは

東京簡易裁判所の場合、特定調停に必要な書類は申立人が作成する「特定調停申立書」「財産の状況を示すべき明細書その他特定債務者であることを明らかにする資料」「権利関係者一覧表」と、法務局で取得する「資格証明書」です。作成する書類は裁判所の窓口で専用用紙を入手できます。個人と法人では別の様式の書類を使用します。

特定調停申し立ての必要書類は?

特定調停の申し立て先は、債権者の所在地を管轄する簡易裁判所です。申し立て時に必要な書類を、東京簡易裁判所を事例に説明します。尚、必要書類は申し立て先の裁判所によって異なる場合があるので注意が必要です。

個人が申し立てる場合

まず、支払不能に陥る恐れのある個人が特定調停を申し立てる場合について説明します。必要書類は「特定調停申立書」「財産の状況を示すべき明細書その他特定債務者であることを明らかにする資料」「権利関係者一覧表」「資格証明書」です。

特定調停申立書

申立書は相手方となる債権者が複数社の場合は、1社につき2部(正本・副本)ずつ作成して提出します。
「申立人」の欄では、裁判所からの書類の送り先を指定できるので、家族に内緒なら職場に送るなどの工夫ができます。
「紛争の要点」の欄には、借受けた金額や現在の債務額などを記載します。債権者との契約書や取引明細書などで確認します。

財産の状況を示すべき明細書その他特定債務者であることを明らかにする資料

この資料では、申立人の生活状況、資産・負債、家族、返済希望について申告します。
「申立人の生活状況」の欄では、職業(業種・担当)、勤務先、勤続期間、手取り月収、給料日を記入します。
「申立人の資産・負債」の欄では、土地・建物・自動車・預貯金などの資産の有無などを記入します。
「家族の状況」の欄では、申立人と生計を一にする家族の職業や月収を申告します。
「返済についての希望」の欄では、毎月の返済可能額を伝えます。

権利関係者一覧表

この資料では、債権者の氏名や名称、債務の借り入れ日・当初借り入れ金額・現在残高などを債権者ごとに整理し一覧にしたものです。抵当権や保証人の有無なども記載します。

資格証明書

申立人は、法務局で債権者に関する証明書を取得して、申し立て時に裁判所に提出します。必要な証明書は「現在事項全部証明書」または「代表者事項証明書」のいずれかです。これらの証明書に書かれた債権者の住所・氏名は、特定調停申立書の「相手方」の欄にも同じ内容で記載します。

個人事業者・法人が申し立てる場合

特定調停は、個人だけでなく個人事業者・法人も利用することができる制度です。では、個人が申してる場合と法人とでは必要書類に違いがあるのでしょうか?

必要書類

必要書類は、基本的には個人と同じで、「特定調停申立書」「財産の状況を示すべき明細書その他特定債務者であることを明らかにする資料」「権利関係者一覧表」「資格証明書」となります。

個人の場合との違い

注意したいのは、「特定調停申立書」「財産の状況を示すべき明細書その他特定債務者であることを明らかにする資料」は個人事業者・法人向けのひな形が用意されている点です。

前者では、紛争の要点についてより詳しい記載が必要なほか、賃借対照表・損益計算書・資金繰り表の写しの添付も求められます。
後者では、申立人の事業の内容や、損益・資金繰りなど事業の状況の説明、また権利関係者との交渉の経過の説明なども書き込む必要があります。

申し立て時の注意点は?

用意すべき書類がわかったら、書類を整えて申し立てをすることになります。申し立てにあたって知っておいた方がいいポイントや注意点を説明します。

申し立てのポイント

特定調停の最大のメリットは、手続き費用が安く抑えられる点です。金額はどれくらいかかるのでしょうか。また、申し立て手続きに関してどんなポイントがあるのでしょうか。

費用は少額で済む

東京簡易裁判所では、個人が申し立てる場合は、申立手数料(収入印紙)は債権者1社につき500円、手続費用として裁判所からの郵便物用の切手を債権者1社につき420円分となっています。
また、個人事業者・法人が申し立てる場合の申立手数料は、債務額によって異なります。裁判所の窓口で尋ねてみてください。

問い合わせは直接窓口へ

申し立ての書類作成に関して疑問点が生じたときは、裁判所の民事調停担当の窓口で職員に質問することができます。電話での問い合わせも可能ですが、規模の大きな簡易裁判所では、対面での回答を基本としている場合もあります。また、制度や手続きについて解説する合同説明会を開いている裁判所もあるので活用すると便利です。

書類作成時の注意点

次に、提出書類を準備にあたり注意するべき点を説明します。当日になって慌てないように、あらかじめしっておくことで落ち着いて書類を整えることが可能になります。

提出すべき書類は、裁判所の窓口で専用の用紙を入手できます。また、裁判所によってはホームページでひな形をダウンロードできます。提出書類を手書きで完成させる際は、鉛筆での記入は認められないのでボールペンを使用します。

返済を続けることが難しいと分かる資料を

これ以上返済を続けることが困難だと分かる資料を準備します。不動産や自動車、預貯金などの資産の一覧や生活状況が分かる給与明細、家計簿、通帳の写しなどです。もし借り入れがあれば、その契約書の写しも用意しましょう。そのほか、これまでに返済してきた内容が分かる領収書などがあれば、それも準備します。

特定調停に向いていない人

ここまで、特定調停の申立時の書類や提出時のポイントや注意点について紹介しました。以上の内容を踏まえて、「特定調停に向いていない人」とはどんな人なのかを知っておきましょう。

書類作成や時間を合わせることが困難

特定調停は弁護士などに依頼をしなくても個人で申し立てられるため、費用が抑えられるメリットがありますが、別の手段を選択した方がいい方もいます。

書類作成が自分でできない人

申し立てに必要な書類は、法律の知識がない人でも作れるように裁判所のサポートが受けられます。しかし仕事が忙しくて時間がなかったり、事務作業が苦手だという人は自力で作成するのが難しいかもしれません。
特定調停の書類作成は弁護士や司法書士にも依頼できますが、「費用が安い」という特定調停のメリットは失われます。

平日に裁判所に行く時間を作れない人

特定調停では、申し立てや調停期日(通常2回)で、合わせて3回は裁判所に足を運ぶ必要があります。開庁時間は平日の日中なので、仕事を休んで裁判所に行く時間を作れない人にとってはこの点がハードルとなるでしょう。仕事と債務整理を両立させたいなら、弁護士・司法書士などに依頼して任意整理を行うという方法もあります。

きちんと返済できる根拠も必要

特定調停は自己破産と違って、最終的にはきちんと借金を完済することが目的です。

つまり、返済を最後まですることが大前提の制度と言えます。

債務を3年で返済できない人

特定調停では、減額された債務を原則3年で分割返済します。このため、残債額が大きい、または毎月返済に充てられる金額が少ないなど、3年で返済しきれない人は特定調停を利用できません。

返済期間は5年までのばせる

特別な理由がある場合、債権者が同意すれば返済期間が最長5年まで認められます。それでも返済の見通しが立てられない場合は、個人再生・自己破産などの方法を検討することになります。

特定調停の手続きは、申立人が複数の書類を作って提出する必要があります。また、法務局での証明書取得などの手間もかかります。費用が安いというメリットだけでなく、自分の生活の中で手続きにどれくらい手間を割くことができるかじっくり検討してみてください。最適な債務整理の方法が知りたい方は、弁護士などの無料相談がおすすめです。

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