公正証書を不倫の慰謝料請求で作成すべき理由!作り方や注意点も徹底解説

示談書

不倫の慰謝料で取り決めた示談書は、公正証書にしておくと不払いに備えられます。強制執行認諾文言を入れておけば、裁判を起こさずに相手の給料や財産を差し押さえられます。

この記事では、公正証書のメリット・作成方法・必要書類・2025年10月に改正された手数料も解説します。

公正証書を不倫の慰謝料請求で作成すべき理由

公正証書に強制執行認諾文言を入れておけば、慰謝料が支払われなくなったときに、裁判を起こさずに相手の給料や財産を差し押さえられます。強制執行認諾文言とは、支払いが滞った場合には差し押さえを受け入れる、と不倫相手が認める一文です。

示談書だけではカバーできない、将来に渡る慰謝料の未払いの発生を予防し、不倫相手に示談の取り決めを守らせることが可能なのです。

そこで以下では公正証書のメリットや作成方法とともに、注意点について解説していきます。

そもそも公正証書とは?

公正証書とは、“法律の専門家”である公証人の立会いのもと公証役場で作成する公文書です。示談書の内容を公正証書にすれば、慰謝料請求の権利が公権力によって証明されることになります。

公証役場は、全国に約300箇所あります。公証人は、裁判官・検察官・弁護士を長年務めた法律実務の経験が豊富な人の中から法務大臣によって任命されます。

不倫による慰謝料請求のケースで公正証書に記載される内容は、示談書の内容に沿って事実関係、慰謝料の金額・支払方法・支払期日、遅延損害金、強制執行、守秘義務などです。

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不倫慰謝料の条件を公正証書にするメリット

公証役場

裁判手続きに移行することなく強制執行ができる

私的な示談書と公正証書示談書のもっとも大きな違いは「裁判手続きによらず強制執行が可能」な点にあります。

差し押さえをするには、債務名義と呼ばれる、強制執行を認める公的な文書が必要です。当事者だけで作成した示談書はこれにあたらないため、不倫相手が慰謝料を支払わない場合は、まず裁判を起こして判決を得るなどの手続きから始めなければなりません。
強制執行認諾文言付きの公正証書であればそれ自体が債務名義になるので、裁判手続きを経ずに、相手の給料や財産の差し押さえを申し立てられます。

ただし、裁判の判決に基づく強制執行とは異なり、公正証書示談書には不倫相手があとから争う余地が残ります。
確定した判決には既判力があり、負けた側は同じ内容を蒸し返すことができません。公正証書に既判力はないことから、不倫相手は請求異議の訴えを起こして、示談そのものが無効だと主張できます。

ただし、請求異議の訴えが認められるのは、だまされて示談した、脅されて署名したなど、示談の成立そのものに問題があった場合に限られ、慰謝料の金額に納得できないというだけで公正証書の内容が覆ることはありません。

「慰謝料の支払いを怠った場合には、給料や財産を差し押さえられても構いません」という旨の“強制執行認諾文言”を盛り込んだ公正証書(強制執行認諾文言付き公正証書)で示談書を作成すれば、面倒かつお金がかかる裁判をしなくても強制執行をかけることができ、慰謝料の請求者に有利になる可能性があります。

公文書なので証拠として強い

公正証書は、当事者双方またはその代理人が公証人の立ち会いのもとで内容を確認して作成する公文書です。作成にあたっては、まず初めに必ず本人確認が行われます。

一般の契約書や示談書と違って、公正証書では作成者や作成日時が公に証明されていることになります。また、公正証書の内容が法律的に無効でないかどうかについても、実務経験豊富な公証人がチェックしてくれます。そのため、証拠としての効力が非常に強いと言えます。

強制執行認諾文言による心理的プレッシャーを与えることができる

強制執行認諾文言付き公正証書を作成すると、不倫相手に心理的プレッシャーを与えることもできると考えられます。

「支払わなくても特別大きなペナルティがない」という状況では、慰謝料支払いのモチベーションも下がってしまいます。長期間に渡る分割払いをしっかり継続してもらうためには、とくにこの心理的プレッシャーが重要になってくるでしょう。

不倫慰謝料の公正証書を作成する方法

示談書と本人確認資料を準備する

公正証書を作成するまでに不倫相手の気が変わり合意が崩れてしまう可能性があるので、示談契約の内容は必ず示談書にまとめておきましょう。

とくに多いのは、不倫相手からの「合意した慰謝料が高すぎる」という主張です。当事者双方の合意がないと公正証書は作成できないので、とくに慰謝料の条件についてはしっかり書面に記しておきましょう。

公正証書の作成を申し込むまでに準備しておく書類は、以下の通りです。

  • 示談書
  • 本人確認資料(次のどちらかの組み合わせ)
    • 印鑑登録証明書と実印
    • 顔写真付きの公的な身分証明書と認印
      (運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)

不倫の慰謝料を対象とする示談だけであれば、戸籍謄本は原則として必要ありません。戸籍謄本が必要になるのは、離婚にともなう養育費や財産分与を公正証書にする場合など、夫婦や親子の関係を確認するケースです。

当事者またはその代理人(弁護士)が公証役場に申し込みをする

公証役場への申し込み当日に公正証書を作成することは、実務ではほとんどありません。本人確認書類や代理人(弁護士など)の委任状、示談契約の内容などをあらかじめ公証役場に提出する必要があります。これらの手続きが完了し、公証役場の準備が整ってからようやく公正証書を作成できるようになります。

公証人立会いのもと公正証書を作成する

当日は、当事者双方(またはその代理人)が公証人の立ち会いのもとで、公証人が作成した“公正証書の原案”の内容を確認します。

2025年10月1日から、公正証書の作成手続きはデジタル化されました。嘱託人が希望し、公証人が相当と認めた場合は、ウェブ会議を使って公証役場に出向かずに作成できます(日本公証人連合会)。

公証役場に管轄はありません。全国どこの公証役場でも利用できます。

不倫による慰謝料請求では相手と直接顔を合わせたくない方も多いため、弁護士などの専門家に代理人を依頼するケースが多い傾向にあります。この場合、本人による委任状を公証役場に改め提出する必要があります。

公正証書には、当事者双方の氏名・生年月日・住所・職業が記載されます。不倫相手に個人情報が知られてしまうことになりますので、その点は注意が必要です。

公証役場で公正証書が保管される

当事者双方が“公正証書の原案”に合意すると、正本または謄本が渡されます。2025年10月1日以降は、書面のほか電子データで受け取ることもできます。

公正証書の原本は、紛失・偽造を防ぐために原則20年間保管されます。デジタル化にともない、原本は電子データで作成され、専用のシステム上に保管されます。

渡された正本や謄本を万が一紛失してしまっても、原本の保管期間内であれば公証役場に再交付を依頼することができます。

不倫慰謝料の公正証書を作成する際の注意点

公証人は一方の味方をするわけではない

依頼人の味方になってくれる弁護士と違って、公証人はあくまでも中立的な立場にいます。自分にとって有利な公正証書を作成したい場合は、弁護士に相談した方がよいでしょう。

慰謝料金額に応じて公正証書作成費用がかかる

公正証書の作成には手数料がかかることにも注意が必要です。作成手数料は、慰謝料の金額などによって異なります(公証人手数料令9条)。手数料は2025年10月1日に改正され、50万円以下の区分が新しく設けられました。金額は公正証書の作成時に公証役場から提示されます(日本公証人連合会)。

不倫相手に負担してもらいたいと考える方がほとんどでしょうから、手数料の負担についても示談書に記載しておくことをおすすめします。

慰謝料の金額 作成手数料
50万円まで 3,000円
100万円まで 5,000円
200万円まで 7,000円
500万円まで 13,000円
1,000万円まで 20,000円

公正証書による不倫問題解決や慰謝料請求は弁護士に相談を

示談書や公正証書の作成は、自分ですることも可能です。しかし、これらの手続きは難しく煩雑ですし、行動を誤って不利な立場に追い込まれてしまう危険性もあります。

高度な法律知識と実務経験が豊富な弁護士に依頼した方が、迅速かつ適切な対応をしてくれるはずです。

不倫による慰謝料請求の手続きで困った時は、ひとりで悩まずに弁護士に相談しましょう。

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