相続放棄の費用はいくら?自分で・司法書士・弁護士の3パターンを徹底比較

相続財産の中に借金がある等の理由から相続放棄を検討している方の場合「相続放棄の費用がいくらかかるか分からない」「自分で手続きできるのか、司法書士や弁護士に頼むべきか判断がつかない」そんな悩みをお持ちの方は少なくありません。
相続放棄にかかる費用は、自分で行うか、司法書士にサポートを依頼するか、弁護士に任せるか、手続きの進め方・依頼先によっても大きく変わります。
この記事では、3パターンの費用を徹底比較し、追加費用がかかるケースや法テラス活用法まで、費用面の判断に必要な情報をわかりやすく解説します。
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相続放棄の手続きでかかる費用の全体像
相続放棄を自分で行う場合の実費は3,000〜5,000円程度、司法書士に依頼すれば3〜5万円、弁護士に依頼すれば5〜10万円程度が相場です。
まずは、どの方法を選んでも必ずかかる「実費」の内訳から確認していきましょう。
相続放棄(被相続人の財産・借金を一切引き継がない旨を家庭裁判所に申し述べる手続き)を申し立てる際、家庭裁判所に納める費用と必要書類の取得費用は、誰が手続きしても必ず発生します。
家庭裁判所に納める費用
| 項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 収入印紙(申述手数料) | 800円 | 申述人1人につき必要 |
| 連絡用郵便切手 | 400〜500円程度 | 家庭裁判所によって金額・組合せが異なる |
郵便切手の金額や組み合わせは申述先の家庭裁判所によって異なります。
たとえば東京家庭裁判所では110円切手×4枚で合計440円分が必要です(2024年10月時点)。事前に管轄の家庭裁判所のホームページで確認しましょう。
必要書類の取得費用
| 書類 | 金額の目安(1通あたり) |
|---|---|
| 被相続人の住民票除票または戸籍附票 | 300〜400円 |
| 申述人の戸籍謄本 | 450円 |
| 被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍)謄本 | 450〜750円 |
申述人(相続放棄をする本人)が被相続人の父母や兄弟姉妹などの場合は、相続関係を証明するために被相続人の出生から死亡までの戸籍を遡って取得する必要があり、費用がさらにかかります。
これらを合計すると、自分で手続きする場合の実費は3,000〜5,000円程度が一般的です。
相続関係が複雑なケース(代襲相続や数次相続が絡む場合など)では、戸籍の取得通数が増えて1万円前後になることもあります。
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【パターン1】自分で相続放棄する場合の費用と必要書類
自分で相続放棄を行う場合は、前述した実費3,000〜5,000円程度のみで手続きが可能です。
費用面では最も負担が軽い反面、書類の収集や記入を全て自分で行う必要があり、ミスがあると相続放棄が認められないリスクもあります。
必要書類一覧
自分で相続放棄手続きを行う場合、申述人の立場(被相続人との続柄)によって必要書類が異なります。共通して必要な書類は次のとおりです。
- 相続放棄の申述書(裁判所のホームページからダウンロード可能)
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
- 申述人(相続放棄する人)の戸籍謄本
- 被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍)謄本
申述人が孫(代襲相続人)、父母、兄弟姉妹などの場合は追加で戸籍が必要になります。
相続放棄手続き時の必要書類について詳しくは、申述先となる家庭裁判所のホームページをご確認ください。
想定総額と所要期間
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 総費用 | 3,000〜5,000円程度(複雑なケースは〜1万円程度) |
| 所要期間 | 書類収集を含めて約1〜2か月 |
| 家裁での処理期間 | 申述から受理まで約2週間〜1か月 |
自分で進める最大のメリットは費用を最小限に抑えられること、デメリットは書類不備や熟慮期間の見落としによって相続放棄が認められないリスクがあることです。
【パターン2】司法書士に相続放棄を依頼する場合(費用相場 3〜5万円)
相続放棄の司法書士への依頼費用の相場は、申述人1人あたり3〜5万円程度です。
書類の収集や申述書・照会書回答書の作成を任せられますが、相続に関する代理権はないため、代理人になることはできず、家庭裁判所での対応や、相続財産にマイナス財産がある場合の債権者対応などは自分で行う必要があります。
司法書士が対応できる範囲・できない範囲
| 対応できる業務 | 対応できない(または不得意な)業務 |
|---|---|
| 戸籍謄本など必要書類の取得代行 | 家庭裁判所での代理人としての対応 |
| 相続放棄申述書・照会書回答書の作成支援 | 債権者からの督促・取り立てへの直接交渉 |
| 手続きに関するアドバイス | 他の相続人との交渉(遺産分割協議など) |
司法書士は、相続放棄申述書や照会書回答書など、裁判所に提出する書類の作成支援を行えます。ただし、家庭裁判所で代理人として対応したり、債権者や他の相続人と代理で交渉したりすることは原則としてできません。
また、照会書回答書には本人の意思確認が重視されることから、内容の確認・署名押印は本人が行う必要があります。
なお、必要書類の取得代行を依頼する場合、1通あたり1,000円程度の代行手数料が別途かかる事務所もあります。報酬の内訳は事務所ごとに異なるため、依頼前に確認しましょう。
司法書士に依頼するメリット
- 弁護士に依頼するより費用を抑えられる(相場3〜5万円)
- 戸籍収集や申述書作成といった煩雑な作業を任せられる
- 仕事や介護で時間が取れない方でもスムーズに進められる
司法書士に依頼する最大のメリットは、「専門家に任せる安心感」と「費用負担のバランス」です。
自分で手続きする場合と比べれば数万円の出費にはなりますが、書類の不備で却下されるリスクを大幅に下げられます。
相続関係がシンプル(配偶者・子のみが相続人)で、相続財産にも特殊な事情がないケースでは、コストパフォーマンスに優れた選択肢といえます。
司法書士に依頼するデメリット
- 照会書回答書の文案作成は依頼できても、内容確認・署名押印は本人が行う必要がある
- 債権者(消費者金融・銀行など)からの督促には対応できない
- 相続人同士のトラブルが生じた場合、改めて弁護士に依頼する必要がある
デメリットは、「代理権がないことによる対応範囲の限界」に集約されます。
書類作成までは任せられても、家庭裁判所での代理対応はできず、債権者からの督促や相続人同士のトラブルが発生した場合は司法書士では対応できません。途中で弁護士に依頼し直すと、結果的に費用が割高になる可能性もあります。
「最初から最後まで丸ごと任せたい」「揉めごとが起きるかも」と感じるなら、最初から弁護士への依頼を検討するほうが安心です。
【パターン3】弁護士に相続放棄を依頼する場合(費用相場 5〜10万円)
相続放棄を弁護士に依頼する場合の費用相場は、申述人1人あたり5〜10万円程度です。
司法書士より高めですが、家庭裁判所対応・債権者対応・他の相続人との交渉まで全てを代理人として一任できる点が最大の特徴です。
弁護士のみが対応できる業務
弁護士は法律事務全般を扱える国家資格者であり、相続放棄に関連する以下の業務を「代理人」として行えます。
- 家庭裁判所からの照会書回答書への対応サポート:照会書回答書を弁護士事務所宛てに送付してもらい、弁護士が回答内容の精査・文案作成・裁判所との連絡をサポート(回答書への署名は本人が行うのが原則)
- 債権者対応・交渉:消費者金融・銀行・サービサー(債権回収会社)からの督促や請求に対して、弁護士が窓口となって対応
- 他の相続人との連絡・交渉:後順位の相続人への連絡や、共同相続人との調整も任せられる
- 熟慮期間伸長の申立て:財産調査に時間がかかる場合の延長申立て
- 相続放棄が認められなかった場合の即時抗告:家庭裁判所の判断に不服がある場合の上級審手続き
弁護士に依頼するメリット
- 手続き全般を「代理人」として一任できるため、自分の負担がほぼゼロになる
- 債権者からの督促を弁護士に転送して対応してもらえる
- 熟慮期間経過後でも、事情によっては相続放棄が認められる可能性を高められる
- 相続人同士のトラブルや、相続放棄後の財産管理問題にも一貫して対応可能
弁護士に依頼する最大のメリットは、「相続放棄に関わる全ての場面で代理人として動いてもらえる」点です。
書類作成だけでなく、家庭裁判所との連絡対応、債権者への通知、他の相続人との連絡まで、ワンストップで対応できるのは弁護士だけです。
特に、債権者から督促が来ている方にとっては、弁護士を窓口にすることで本人が直接督促を受けるストレスを軽減でき、相続放棄受理後は「相続放棄申述受理通知書」を提示して督促を止められます。
熟慮期間が迫っている、あるいは過ぎてしまった事案でも、過去の裁判例や法的論点をふまえた上申書を作成してもらえる点も心強いポイントです。
弁護士に依頼するデメリット
- 司法書士や自分で行う場合と比べて費用が高い
- 複数の相続人がそれぞれ依頼する場合、人数分の費用がかかる(同一事務所への同時依頼で割引が適用される事務所もある)
デメリットは「費用の高さ」に尽きます。
司法書士と比べて2〜5万円程度高くなるのが一般的で、複数人で同時依頼すると総額はさらに膨らみます。
ただし、多額の借金・債権者対応・相続人間の意見対立といった複雑な事情がある場合は、弁護士に最初から依頼したほうが安く・早く・確実に済むケースも珍しくありません。「費用の高さ」と「失敗・トラブル時のリスク」を天秤にかけて判断することが大切です。
経済的負担が気になる場合は、後述する法テラスの活用や複数事務所での無料相談比較も検討してみましょう。
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相続放棄の費用3パターン徹底比較表
相続放棄の手続きについて、ここまでご紹介した「自分で行う」「司法書士に依頼」「弁護士に依頼」3つのパターンについて、費用と対応可能な業務範囲・傾向などを比較表にまとめたものが以下となります。
| 比較項目 | 自分で行う | 司法書士に依頼 | 弁護士に依頼 |
|---|---|---|---|
| 費用相場 | 3,000〜5,000円 (実費のみ) |
3〜5万円 (実費含む) |
5〜10万円 (実費含む) |
| 書類収集・申述書作成 | 自分 | 司法書士 | 弁護士 |
| 照会書回答書への対応 | 自分 | 本人署名は必要 (司法書士が文案作成をサポート) |
本人署名は必要 (弁護士が文案作成・裁判所対応をサポート) |
| 債権者対応 | 自分 | 対応不可 | 弁護士が窓口 |
| 他の相続人との交渉 | 自分 | 対応不可 | 弁護士が代理 |
| 所要期間(目安) | 1〜2か月 | 1〜2か月 | 1〜2か月 |
| 向いているケース | 相続関係がシンプル 時間に余裕がある |
書類作業を任せたい トラブルはない見込み |
借金が多額 債権者対応が必要 3か月経過後 |
これら3つのパターンについて、選び方をおおまかにまとめると、
- 費用の安さで選ぶなら自分で
- 書類作業を任せたいなら司法書士
- 手続きから債権者対応まで丸ごと任せたいなら弁護士
という整理になります。
なお、金額は相場であり、依頼する事務所や事案の難易度によって異なります。複数の事務所で見積もりを取ってから依頼するのがおすすめです。
相続放棄で追加費用がかかる3つのケース
通常の相続放棄手続きとは別に、以下のようなケースでは追加費用が発生する可能性があります。事前に見積もりを取り、総額を把握しておくことが大切です。
熟慮期間(3か月)を過ぎているケース:+2〜5万円程度
相続放棄には「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」という熟慮期間があります(民法915条1項)。期限を過ぎている場合、家庭裁判所に「期限内に申述できなかった事情」を説明する上申書を添付し、例外的に相続放棄を認めてもらう必要があります。
この対応には専門的ノウハウが必要なため、通常の報酬に加え2〜5万円程度の追加費用がかかるのが一般的です。事情が複雑な場合は個別見積りになることもあります。
相続財産調査もあわせて依頼するケース:+10〜30万円程度
そもそも相続放棄すべきかを判断するには、正確な相続財産調査が必要です。
弁護士には預貯金・有価証券・不動産・借金の有無を調べる相続財産調査を依頼することもできます。相続放棄の費用とは別に10〜30万円程度かかることが多く、財産規模が大きい場合はさらに費用が上がります。
相続財産清算人の選任が必要なケース:予納金が発生する可能性あり
2023年4月施行の改正民法940条により、「現に占有」している相続財産は、相続放棄後も他の相続人や相続財産清算人に引き渡すまで保存義務が残ることが明確になりました。
民法940条(相続の放棄をした者による管理)
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
民法|e-Gov 法令検索より引用
たとえば親と同居していた家屋について相続人全員が相続放棄した場合などは、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てる必要が生じることがあります。
このケースでは、収入印紙800円・郵便切手1,000〜2,000円程度・官報公告料5,582円が必要です。
さらに、相続財産から費用を捻出できない場合、清算人の報酬や管理費用として20〜100万円程度の予納金を求められることがあります。
「現に占有」の解釈や予納金の要否は個別判断となるため、事前に弁護士に相談することをおすすめします。
相続放棄を自分で手続きする前に知っておくべき「却下リスク」
自分で手続きする場合、費用は数千円で済む一方で、書類不備などで家庭裁判所に却下されると、同じ相続について再度の申述は原則できません。「やり直しがきかない手続き」である点を踏まえて判断することが大切です。
相続放棄の申述には、家庭裁判所による「受理」または「却下」の判断が下されます。多くは受理されますが、申述書の記載不備、照会書回答書での矛盾した回答、熟慮期間に関する説明不足などがあると却下されることがあります。
一度却下されると再度の相続放棄は認められない
そして一度却下されると、同じ相続について再度の相続放棄申述は原則として認められません。相続放棄が認められなかった場合、本来引き継ぐつもりのなかった借金をすべて背負うことになる可能性があります。
自分で行う相続放棄は、数万円の専門家費用を節約しようとした結果、数百万円〜数千万円の借金を抱えるリスクと隣り合わせにあるのです。
費用以外の時間と精神面の負担も
費用以外にも、戸籍の取り寄せ・申述書の作成・照会書回答書への対応などを仕事や家事と並行して進めるには、相応の時間と手間がかかります。「この書類で本当に大丈夫だろうか」「期限内に間に合うだろうか」という不安を、手続き完了までの1〜2か月間抱え続けることになる点も、自分で進める場合の隠れた負担です。
司法書士や弁護士に依頼すれば、書類作成の精度が上がって却下リスクを下げられ、書類収集や裁判所対応の負担も軽減できます。「費用を払う価値があるか」は、節約できる金額と、却下リスク・時間的負担・精神的負担とのバランスで判断するとよいでしょう。少しでも不安がある場合は、無料相談を活用して専門家の意見を聞いてから決めるのが安心です。
自分で相続放棄してよくある失敗事例
相続放棄の手続きを自分で進める際にありがちな失敗として、以下の4つには特に注意が必要です。
熟慮期間(3か月)を過ぎてしまう
民法915条(相続の承認又は放棄をすべき期間)
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
民法|e-Gov 法令検索より引用
民法915条1項では、相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、単純承認・限定承認・放棄のいずれかを選ばなければならないと定められています。
この3か月の熟慮期間を過ぎても方針を定めなかった場合、自動的に「単純承認(被相続人の権利義務を全て引き継ぐこと)」をしたとみなされます。
葬儀や四十九日でバタバタしているうちに3か月を過ぎていたというのは非常に典型的な失敗例です。
なお、3か月経過後に借金の存在が判明した場合は、例外的に相続放棄が認められる可能性もあります。ただし、裁判所に主張を認めてもらうには、より専門的な検討が必要となるケースとなるため、借金の存在が判明した時点で、速やかに弁護士に相談することをおすすめします。
照会書回答書の記入ミス
申述書を提出すると、家庭裁判所から「照会書回答書」が送られてきます。
この照会書回答書を記入して返送することになりますが、実態と異なる回答や矛盾する記述があると、家庭裁判所が要件を疑い、申述が受理されない可能性があります。
また「被相続人の死亡日」と「死亡を知った日」を混同して書くと、熟慮期間の起算点が誤って認定されることもあります。
単純承認とみなされる行為(財産処分など)
民法921条では、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは単純承認したものとみなされる、と規定されています(法定単純承認)。
具体的には次のような行為が問題になります。
- 被相続人の預貯金を引き出して自分のために使う
- 被相続人名義の自動車や不動産を売却する
- 被相続人の借金を相続財産から返済する
- 形見分けの範囲を超えて高価な遺品を処分・換金する
葬儀費用を被相続人の口座から支払ったケースは、社会通念上相当な範囲なら単純承認に当たらないとされた裁判例もありますが、ケースバイケースです。被相続人の財産には極力手を付けないことが安全策です。
家庭裁判所に申述せず、合意だけで済ませる
「私は財産はいらないから兄が全部相続する」「兄弟で話し合って合意書を作った」——こうした家庭裁判所への申述を行わず、相続人同士の合意だけで済ませてしまうケースは典型的な失敗事例の一つです。
民法938条は「相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない」と定めています。
相続人と口頭で約束を取り付けたり、私的な合意書を作成するだけでは、法的には相続放棄とは認められません。
後日、債権者から借金の督促が来た際、こうした私的な取り交わしを根拠に「自分は放棄したはず」と主張しても通用しません。結果的に相続は進行し、相続不動産の管理権や借金の返済義務を引き継ぎ、負うことになります。
相続放棄を法的に有効にするには家庭裁判所への申述が必要です。
「相続放棄」と「遺産分割協議での相続分の譲渡」を混同して起こる失敗で、法律に詳しくない方が陥りやすいパターンと言えます。
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相続放棄で法テラス(日本司法支援センター)を使えるケース
「相続放棄したいが弁護士費用を一括で払えない」という方は、法テラスを使えば弁護士・司法書士費用を立て替えてもらえます。
法テラスの民事法律扶助を利用すると、一時立て替えしてもらった弁護士・司法書士費用は、月々5,000〜1万円の分割で返済していくことになります。その際、弁護士・司法書士費用に対して利息はかかりません。
法テラスとは?利用のメリット
法テラスは、国が設立した法的トラブル解決の総合案内所で、経済的に余裕のない方が専門家に依頼できるよう費用面のサポートを提供しています。相続放棄で利用する主なメリットは次の3つです。
- 無料の法律相談:同じ案件で3回まで、30分ずつ無料
- 費用の立替払い:依頼費用(相場4〜6万円前後)を一括で用意する必要なし
- 分割・利息なしの返済:月々5,000〜1万円程度、利息なし
「弁護士費用を一括で払えない」「年金生活でまとまった出費は避けたい」「生活保護を受給中」といった方は、法テラスの利用を検討する価値があります。
利用するための条件
法テラスを利用できるのは主に以下3つの条件を満たすケースの方です。
- 収入と資産が一定基準以下
- 勝訴の見込みがないとはいえない
- 民事法律扶助の趣旨に適する
法テラス利用対象者の条件となる収入の目安は、単身世帯で月収18万2,000円以下、4人世帯で29万9,000円以下です。
東京都特別区・大阪市などでは、単身世帯20万200円以下、4人世帯32万8,900円以下と、地域によって基準が異なります。また家賃・住宅ローンの加算もあります。
詳しい基準は法テラス公式サイトで確認するか、問い合わせるのが確実です。
利用するには?
法テラスを利用したい場合、
- 法テラスのサポートダイヤル・窓口へ直接問い合わせる
- 法テラス利用に対応している弁護士・司法書士に直接相談する
という2つのアプローチがあります。
法テラスに直接連絡する方法は、法テラスを利用して法的サービスを受けるという点ではシンプルで確実です。ただし、法テラスからの紹介の場合、基本的には担当してもらう弁護士・司法書士を自分で選ぶことはできません。どんな弁護士・司法書士にあたるかが読めない点はデメリットと言えます。
一方、はじめから「法テラス対応可」の弁護士事務所に相談すれば、相続放棄に詳しい弁護士を選んで直接依頼することが可能です。法テラス対応にともなう手続きは法律事務所側でもサポートしてくれます。「自分のケースに合った専門家に確実に出会いたい」という方は、この方法がおすすめです。
なお、行政書士は相続放棄の代行ができないため、依頼先は司法書士・弁護士から選ぶことになります。
相続放棄の依頼先はどう選ぶべき?判断フローチャート
相続放棄を自分でやるか、依頼するなら弁護士か司法書士か、相続放棄の依頼先選びに迷った場合は
- 期限に余裕があるか
- 相続関係はシンプルか
- 債権者対応の問題があるか
- 自分で書類を準備できるか
といった観点から判断するのが良いでしょう。

判断に迷ったら、多くの法律事務所が実施している初回無料相談を活用し、複数事務所で見積もりや方針を比較するのが安心です。
相続放棄の費用についてよくある質問
- Q1. 相続放棄の費用は誰が払いますか?
- Q2. 相続財産から相続放棄の費用を払ってもよいですか?
- Q3. 複数の相続人がいる場合、費用はどうなりますか?
- Q4. 費用を払うお金が用意できません。どうすればよいですか?
- Q5. 専門家への費用はいつ支払いますか?
- Q6. 一度相続放棄をしたら撤回できますか?
Q1. 相続放棄の費用は誰が払いますか?
原則として、申述人(相続放棄をする本人)が自分で負担します。複数の相続人がいる場合は、相続人間で話し合って共同で負担したり、一部の人がまとめて払ったりするケースもあります。なお、事業承継や特定の相続人に遺産を集中させるための相続放棄では、遺産を取得する相続人が費用を負担するケースも多く見られます。
Q2. 相続財産から相続放棄の費用を払ってもよいですか?
払ってはいけません。
被相続人の預貯金などから費用を支払う行為は、相続財産の処分にあたります。相続放棄費用の支払いをもって法定単純承認(民法921条)とみなされて相続放棄ができなくなる可能性があります。自分の財布から支払うようにしましょう。
Q3. 複数の相続人がいる場合、費用はどうなりますか?
申述人ごとに費用がかかるため、兄弟3人がそれぞれ放棄する場合は3人分の費用が必要です。
ただし、同一事務所に同時依頼することで2人目以降の報酬を割引する事務所も多く、戸籍などの公的書類も共有できるため、同時依頼の検討がおすすめです。
Q4. 費用を払うお金が用意できません。どうすればよいですか?
法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、収入・資産が一定基準以下の方は弁護士・司法書士費用を立て替えてもらえます(利息なしの分割返済)。
詳しくは前述の「相続放棄で法テラス(日本司法支援センター)を使えるケース」をご覧ください。
Q5. 専門家への費用はいつ支払いますか?
家庭裁判所に納める収入印紙や郵便切手は、申立て時に支払います。専門家費用は、司法書士なら書類作成完了時、弁護士なら家裁での申述手続き完了時に支払うケースが多いものの、依頼時の着手金や初回相談料が発生する事務所もあります。分割払いや完了時一括払いに対応している場合もあるため、依頼前に必ず確認しましょう。
Q6. 一度相続放棄をしたら撤回できますか?
家庭裁判所で相続放棄の申述が受理された後は、原則として撤回できません(民法919条1項)。
相続放棄したから「やっぱり相続したい」と思っても、単純承認に戻すことはできないため、放棄するかどうかは慎重に判断する必要があります。相続するか放棄するか、迷いのあるうちに弁護士へ相談しておくのが安心です。
まとめ
「数千円で済むなら自分でやろうか」と費用を抑えて自己判断で進めた結果、却下されて借金を背負ってしまう——これが相続放棄でもっとも避けたい失敗です。次のような状況にある方は、費用の問題だけで判断せず、まずは弁護士の無料相談で状況を整理することをおすすめします。
- 3か月の熟慮期間が迫っている、または過ぎてしまった
- 債権者から督促が来ている
- 自分で書類を作ったが、内容に不安がある
- 費用が用意できず、専門家への依頼を諦めかけている
「相続放棄の費用が心配」だからこそ、まず弁護士に相談を
相続を取り扱う法律事務所の多くは初回無料相談を実施しています。そうした法律事務所を選べば、相談だけなら費用はかかりませんし、実際の依頼費用が心配なら法テラスの活用提案も受けられます。
あなたが相続放棄が必要かもと感じているなら、動かないことは一番のリスク。まずは弁護士の話を聞いてみることから始めましょう。
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