寡婦年金とは?受給条件と死亡一時金との違いと受け取りの判断基準
寡婦年金や死亡一時金は、遺族基礎年金を受け取るための条件を満たさない人がもらえる給付制度です。
稼ぎ手を亡くした遺族の生活を支える年金制度として、自営業などの国民年金加入者が死亡した場合は遺族基礎年金を受け取ることができます。
ただし、
- 子どもがいない
- 子どもが既に18歳以上
など、遺族基礎年金受け取りの条件を満たさないことから、給付を受けられないケースもあり、こうした場合に遺族が受け取れるのが寡婦年金または死亡一時金です。
「または」としているのは寡婦年金・死亡一時金は、同じ人が両方を受け取ることができないためです。両方の受給条件を満たす場合、どちらか一方を選択し、選んだ方だけを受け取ることになります。
この記事では、寡婦年金、死亡一時金の特徴をご紹介し、両者の違いを解説するとともに、片方しか受け取れない寡婦年金と死亡一時金どちらを受け取るべきか、判断の基準について解説していきます。
寡婦年金とは
寡夫年金は子供のいない女性が受け取れる年金となります。男性は寡婦年金にあたるものを受け取れないため男女格差が見られる年金でもあります。
60歳から65歳まで支給される年金である点が特徴的です。
寡婦年金の条件と支給額
寡夫年金の条件と支給額は以下のようになっています。
寡婦年金の受給条件
寡夫年金の受給対象は妻のみ。このような条件があります。
- 第1号被保険者として10年間保険料を納めた夫と婚姻期間が10年以上あった
- 死亡した夫が障害基礎年金の受給権者でなく、老齢基礎年金を受けたこともない
- 繰り上げで老齢基礎年金を受給していない
- 5年以内に請求している
つまり、夫が自営業者であった妻が受給対象となるわけですね。
寡婦年金の支給額
寡夫年金の支給額は夫が本来受け取るはずだった老齢基礎年金の4分の3です。
配偶者が会社員だったけど子供がいない場合は?
寡婦年金と聞くと子供のいない妻を想像しますが、寡婦年金の条件は厚生年金に加入していない夫を持っていた妻に限られます。
例えば配偶者が会社員であった場合はどうなるのでしょうか?
このときは、遺族厚生年金を寡婦年金の代わりにもらえます。遺族厚生年金と寡婦年金はどちらかしかもらえないのです。
中高齢寡婦加算とは
さらに寡婦が遺族厚生年金を受け取る場合は中高齢寡婦加算がもらえます。中高齢寡婦加算は40歳から65歳までの間、遺族基礎年金の4分の3が支給されるものです。
こちらも寡夫には設けられていない制度です。
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死亡一時金とは
死亡一時金とは、その名前の通り、家族が死亡した時に一度だけ受け取れるお金です。もらえるのは1回だけなので年金とは異なりますね。
死亡一時金は保険料を納めた月数に応じて12万円から32万円まで受け取れます。
死亡一時金の条件
死亡一時金を受け取れる条件はこちらです。
- 第一号被保険者として36か月保険料を納めていた家族を亡くした
- 遺族基礎年金、寡婦年金どちらの支給条件も満たしていない
- 老齢基礎年金や障害基礎年金も受け取っていない
- 亡くなった人と生計を同じくしていた
- 2年以内に請求をした
この条件を見ても分かる通り、死亡一時金を受け取れる人は配偶者に限られていません。
ただし、死亡一時金を受け取れる人には優先順位があります。
- 配偶者
- 子ども
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
生死不明の場合は?
生死不明の場合は失踪宣告の審判が確定した翌日から請求期限の2年が起算されます。この場合も死亡一時金の申請を忘れないでください。
寡婦年金と死亡一時金の違いは?
おおまかに言えば、寡婦年金は、10年以上の婚姻関係のある、遺族基礎年金・遺族厚生年金の受け取り条件を満たさない夫が死亡した、子どものいない妻に支払われる給付金です。支払われる対象はあくまで寡婦、子どものいない妻に限定されます。
死亡一時金は、遺族基礎年金・遺族厚生年金の受け取り条件を満たさない方が亡くなり、生計を同じくしていたその家族に支払われる給付金です。こちらも妻(配偶者)が最優先にはなりますが、子ども・父母・孫など妻以外も対象となります。
寡婦年金と死亡一時金、どちらを受け取るべき?
寡婦年金と死亡一時金を比較すると、金額で言えば寡婦年金の方が多くの金額を受け取れます。
- 死亡一時金の受給額:120,000円~320,000円 x 1回(保険料の納付済み期間により異なる)
- 寡婦年金の受給額(夫が保険料を30年収めていた場合):約44万円 x 妻60歳~65歳の5年間
ただし、妻自身が本来65歳から受け取れる自分の老齢基礎年金を、65歳より前から繰り上げで受給している場合、同時に寡婦年金を受け取ることはできません。
生計上、老齢基礎年金を繰り上げで受け取っている場合は、死亡一時金を受け取ることになります。
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寡婦年金・死亡一時金の受け取りに悩んだら、弁護士に相談を
家族はみんなで支えあうもの。特に生計を支えてくれた人が亡くなってしまうと家庭の維持さえ難しくなってしまうのが現状です。
遺族年金や寡婦年金は5年、死亡一時金は2年という請求期限があり、期限を超えてしまうと受給権を失ってしまいます。
どう受け取ればいいか判断がつかない場合は、すぐにでも法律のプロである弁護士に相談しましょう。
遺族年金がもらえるのか、仮にもらえるとしたらどれにあたるのかを判断してもらうだけでも次の行動につながります。地方自治体での手続きをする余力がないときも弁護士が力になってくれます。
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