遺産相続を弁護士に相談・依頼する場合の流れ
目次[非表示]
遺産相続は骨の折れる作業ばかり
最近はインターネットの普及や関連書籍の出版などで、弁護士や司法書士に頼らず相続人自ら遺産相続の手続きを行うケースも増えてきているといいます。
しかし、遺産相続はイメージできる範囲のものより大変で面倒な場合がほとんど。そんな時は無理に自分で行おうとせず、専門家にお願いした方が得策といえるのではないでしょうか?
こちらも読まれています遺産相続とは? 手続きの流れと期限など押さえておきたい5つのポイント 遺産相続をするときに必要な手続きは多岐に渡り、非常に複雑です。財産などをめぐって相続人同士でのトラブルも起こりがちで、相...この記事を読む
相続でもめる可能性は誰にでも起こりうる
遺産相続といえば「お金の話」です。亡くなられた被相続人の持っている財産を相続人が受け取る。簡単にいえばこれが遺産相続です。「相続の話でもめている…」なんて話はテレビや小説の中ではよく見聞きしますが、決して他人事などではありません。
こちらも読まれています遺産相続トラブルまとめ|兄弟で骨肉の争いを避けるために弁護士に相談 たいていの人が遺産相続トラブルは自分には関係ないと考えがちですが、いざその立場になると、お金の問題だけにスムーズに話が進...この記事を読む
遺産相続でもめないためには?
人は皆、誰かの子。いつかは自分が相続人となり、被相続人となる日がくるのです。もちろん遺産相続で一切もめない親族もいらっしゃいます。
しかし、うまくいかないことが多いのもまた事実。遺産相続で親族間の関係が破綻してしまった…なんてことも少なくないのです。そうならないためにどうしたらいいのか?それは、「もめる前に専門家に相談する」ことしかありません。
弁護士への遺産相続依頼は「相談」から始まる
「遺産相続でももめているなんて人に話すのは恥ずかしい…」なんてことを考えて弁護士への相談を躊躇してしまう人もいるかもしれませんが、相続問題を解消するためには恥ずかしがってはいられません。躊躇しているうちに問題はどんどんと大きくなり、複雑になっていくと考えるべきです。
被相続人の遺してくれた遺産を相続するのは、相続人の歴とした権利
「身内の恥を晒すようで…」と言っている場合ではありません。弁護士に相談する際は、今、どんな現状なのか、どんな問題が発生しているのか、相談者はどうしたいのかをしっかりと説明することが重要です。
弁護士に対しての隠し事は厳禁
なぜなら、その隠し事が原因となって新たな問題が発生してしまう可能性があるからです。そうなると正式に依頼を受けた際にサポートしきれなくなる危険性もでてきます。そんなことにならないためにも、弁護士への相談は包み隠さずきっちりとありのままを話すようにしましょう。
「相談=依頼」ではない!
弁護士事務所への相談は何分無料や何分◯◯円など、事務所によって設定が違ってきますが、すべての事務所にいえることは「相談したからといって依頼しなければならない」というわけではないということです。
弁護士事務所に相談すると、多くの場合、今後どうしたらよいのかアドバイスをもらえると思います。遺産相続をスムーズに解決するための提案ですね。遺産相続の問題はケースバイケース。相談者によって抱えている悩みも発生している問題も異なります。
通り一遍にいかないのが遺産相続問題の難しいところ
そのため、ひとつの問題に対する解決方法もひとつとは限らないのです。おそらく、さまざまな解決方法が提案されることでしょう。どんな方法で解決したらいいのかも新たな問題として相談者にのしかかってきます。相談者にとって最適な解決法を一緒に考えるのも弁護士の大事な役割。ただし、ここからは相談ではなく、依頼後に行われる作業なので注意が必要です。
相談した弁護士さんが信頼できそうな人であれば、そのまま依頼を行ってもいいですし、いろんな人の意見が聞きたいという人はいくつかの弁護士事務所を回ってみるのもいいでしょう。「遺産相続について弁護士に相談すること」が弁護士に遺産相続の依頼をするための第一歩なのですから。
注目!
そのお悩み弁護士に相談してみては?
当サイトを見ても疑問が解決しない、状況が異なるので判断が難しいと感じたら弁護士に相談することをおすすめします。
初回相談無料の弁護士も数多く掲載しておりますし、どの弁護士もいきなり料金が発生するということはありません。まずはお気軽にご相談ください。
遺産相続を相談する弁護士事務所を決めたら「依頼」
「ここは信頼できる!」という弁護士事務所が見つかったら正式に依頼します。遺産相続の依頼を行なったらまず、弁護士に説明しなければならないことがいくつかあります。
<依頼時に弁護士に説明しないといけないこと>
- 遺言書の有無
- 相続人がどのくらいいるのか
- 遺産相続の資産(種類)
- 今、起きている問題
- 依頼人はどうしてほしいのか
…です。
遺産相続の問題はケーズバイケーズ
依頼人が違えば、遺産相続に関する問題も悩みも変わってくるのが常識です、しかし、上記の事柄はどんな依頼内容でも必ず確認しなければならない事項になってくるので、必ず確認しておきましょう。(多くの場合は相談の時点で確認されると思いますが…)
では、なぜ、上記のことが遺産相続に関わってくるのかをご説明していきます。
あるのとないのでは「遺産相続の配分が異なる」遺言書の有無
遺言書の有無
遺言書はいわば「故人の意思表示」です。自分がなくなった後、財産をどのようにしてほしいのかが書かれたものになります。正式に認められた遺言書があれば、遺産相続はそのとおりに実行されます。
これを覆すとなると、裁判を起こしたり、さまざまな法的手続きが必要となります。「遺言書の内容に納得がいかない」という場合は、弁護士が対応して、依頼者の納得のいく解決法を探ることになります。
こちらも読まれています遺言書が効力を発揮するケースとそれとも無効になるケース~遺産相続のポイント 遺産相続の重要なカギとなる遺言書。遺言書は、条件が整えば法的な効力を発揮しますが無効になるケースもあります。相続がスムー...この記事を読む
相続人の人数で遺産の分配量が変わる
相続人がどのくらいいるのか
相続人の人数を把握している人がほとんどだと思いますが、この世の中には「まさか」ということも事実存在しています。
兄弟だけだと思ったら、実は非嫡子がいた、知らない間に孫が養子になっていたという話しも稀ではありますが、実際に起こったことのある事例。把握できていない相続人がいた場合、遺産相続の手続きは「最初からやり直し」になってしまうのです。
遺産分割協議(相続人全員で話し合い遺産の分配を決める協議)は相続人全員の参加が義務づけられています。
一人でも欠けると無効になってしまうので、全員の参加が必要なのです。つまり、誰も知らない相続人がいた場合、それを無視して話し合いを続行しても、その話し合いは無効となり何の意味もないものとなってしまうのです。
こちらも読まれています相続人の一人が遺産分割協議に応じない場合。話し合いを拒否する相手への対処法3つ 遺産分割協議は相続人全員で行わなければいけないものですが、その中に遺産分割協議に応じない相続人がおり「遺産分割協議の場で...この記事を読む
そんな時は、相続人を確定するために「戸籍を洗う」必要があります。
戸籍を調査し、相続関係説明図を作成し、誰が相続人なのかを明確にする作業です。依頼者個人でもできなくはありませんが、役所で戸籍をとってくればいいという単純な作業ではなく、とてつもなく面倒くさい作業なのです。
なぜなら、戸籍はさまざまな事情でバラバラになっている可能性が極めて高いから。相続人を明確にするには「故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本」が必要になってくるのです。「戸籍謄本」だけでなく、区域移転した時に残る「除籍謄本」、さらに電子化以前の作りかえられる前の古い戸籍「改製原戸籍謄本」まで必要となってくるのです。
さらに、時には祖父母の戸籍を入手しなければならないことも。これは、故人(例えば親御さん)が亡くなった際、結婚以前に子どもを作っていないか確認するためのものです。もし、子どもがいたとしたら、遺産相続の分配は大きく変わってきます。
このように戸籍ひとつ洗うにしてもかなりの労力が必要となることがおわかりになったのではないでしょうか?弁護士にお願いすれば、この面倒くさい作業も代行してくれますし、なにより、相続人が誰なのかを正確に把握することができます。
こちらも読まれています相続人調査の進め方 戸籍を集める方法と漏れなく読み解くコツ 相続が発生した際、我が家は相続人調査など不要だと思い込んでいるケースでも、相続人調査の過程で想定外の相続人が出てくるケー...この記事を読む
相続資産が何なのかで分配の方法も変わる
遺産相続の資産(種類)
相続される遺産はもちろん現金だけではありません。例えば、
<不動産に関するもの>
不動産 | 土地、田畑、山林など |
---|---|
建物 | 家屋、駐車場、店舗、倉庫など |
権利 | 借地権、地上権、定期借地権など |
<金融に関するもの>
現金 | 小切手 | 株式 | 預貯金(普通預金、定期預金、定額積立など) |
国債 | 有価証券 | 出資金 | 証券投資信託、売掛金、貸付金など |
<動産に関するもの>
家庭用財産 | 車、家具、貴金属、宝石、骨董品など |
---|---|
事業用財産 | 機械装備、器具、自動車、商品、製品など |
<その他の財産>
電話加入権 | ゴルフ会員権 | 著作権 | 特許権 | 漁業権など |
このように「遺産」と呼ばれるものには数多くのものがあります。故人が遺された遺産を正確に把握することも弁護士の大切な役割り。また、遺族が把握していない遺産があるということもあるでしょう。それを調べるのも弁護士の仕事です。
銀行の支店名さえわかれば弁護士名で照会できる権利があるので、遺族が把握している以上の預金がないかを確認することができます。
また、不動産に関しても、不動産鑑定士などとの繋がりを持つ弁護士であれば、その不動産が持つ的確な価値を算出することも可能。現金ではなく、物としての遺産もその価値を把握することができれば、遺産の分配もスムーズにいくことでしょう。
こちらも読まれています相続財産とは?相続できるモノにできないモノ。貴金属や車も相続できる 相続財産としてまず思い浮かぶには預貯金やタンス預金などの現金、そして自宅の土地・建物などですが、それ以外にも相続財産にな...この記事を読む
さまざまな問題が遺産相続を長期化させる
今、起きている相続トラブル
遺産相続ではさまざまな問題が発生します。例えば、「同居していた兄弟が財産を隠しているようだ…」とか「欲しい遺産がぶつかっている」とか「生前贈与は遺産分配に反映されないのか」とか「相続人のひとりが話し合いに参加しない」…などなど。挙げたらきりがありません。
こういった問題を弁護士にきちんと話し、適切な対策を立てることも弁護士の仕事です。よくあるケースでは、弁護士が出ていくだけで問題が解決するなんてことも。権力といいますか、「先生」と呼ばれる立場に弱い人はまだまだ大勢いらっしゃるということですね。「何をするわけでもなく、弁護士として立ち会ってほしい」そういう使い方もありかもしれません。
弁護士の優先事項は「依頼人の権利を守ること」
依頼人のためなら骨身を惜しまず、とことん協力する、それが弁護士です。しかし、弁護士だからといって全ての要求を叶えることができるといえばそうではありません。
例えば「相続人じゃないけど分け前を貰うことはできないか?」という依頼や「遺産を全て自分のものにしたい」という依頼には応えることができないでしょう。弁護士はあくまで、依頼人の利益を優先しつつ、法に則って解決するのが仕事です。法の範疇から逸脱してしまう依頼は実行することができません。あくまで法の範囲内で、依頼人の希望を叶える、これが弁護士の役割りです。
依頼人の希望が弁護士の仕事内容を左右する
依頼人はどうしてほしいのか
遺産相続において、一番重要なことは「依頼人はどうしたいのか」です。それによって弁護士の動き方も変わってきます。
依頼人の希望による相続弁護士の仕事例
「相続の話しがまとまらない」
相続人同士の話し合いに参加して、法的な立場から助言したり、話しをまとめたりします。
「遺産を放棄したい」
遺された遺産の内容を見て、相続放棄がいいのか限定放棄がいいのかを判断し、どちらかの法的手続きを行います。
(限定放棄とは)
プラスの財産が多いのかマイナスの財産の方が多いのかわからない場合、相続したプラスの財産からマイナスの財産(債務)を弁済し、それでも足りない場合は、自分の固有資産で責任を負わないという遺産相続の方法です。限定放棄を行なう場合には相続が開始された3ヶ月以内に限定承認の申述審判申立書を家庭裁判所に申し立てる必要があります。ただし、この限定承認の場合は相続人全員の承諾が必要となりますので、ひとりでも反対する人がいれば限定承認の申し立てを行なうことはできません。
「話し合いがまとまらず調停までいってしまった」
遺された遺産の種類が多岐に渡ると「何が平等でどうやったら公平に分けられるのかわからない…」といったことも起こりうるでしょう。いつまで話し合ってもまとまらないという場合は、調停や審判で解決するしか方法がなくなります。
しかし、いきなり、「調停だ!」「審判だ!」といっても、一体なにから始めたらいいのかわからない…という人がほとんどなのではないでしょうか?そんな時に役に立ってくれるのが弁護士です。法的な手続きから一切合切を引き受けてくれます。もちろん、今現在、どんな状況にあるのかもきちんと説明してくれますので、「わけのわからないまま決まってしまった」なんてことは起こりません。
「不動産を相続したが手続きの方法がわからない」
不動産の相続は、相続したからといって勝手に相続人のものになるのではありません。これまたややこしい手続きが必要となるのです。まず、不動産を相続したら「名義の変更(相続登記)」が必要になります。この名義変更に大量の資料と手続きが必要になってくるんですね。
<相続登記で必要な書類>
- 故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 相続登記申請書類一式
- 登録免許税
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書(相続人がひとりの場合は必要なし)
- 相続人本人の住民票
- 固定資産評価証明書
- 相続する物件の登記簿謄本
以上のものが不動産の名義変更に必要な書類になります。
また、相続する不動産が都道府県にまたがるものであるなら、その土地土地の資料が必要となります。大体のものは弁護士が代行して入手できるものですが、ご本人でないと手に入れることができないものもありますので、そこは担当弁護士とよく話し合ってください。
書類が揃ったらいよいよ申請です。ここは全面的に弁護士にお任せしましょう。ただし、書類への捺印などは本人が行なわなければならないので、完全に弁護士任せとはいきません。きちんと説明を受けながら、納得して捺印するのが原則です。
依頼人の困り事を解決するのが弁護士の仕事
上記のように、依頼人のためにさまざまな仕事をこなすのが弁護士の役割りです。遺産相続は親族間に亀裂を生みかねない大変な事柄。「親戚付き合いがなくなった…」「親族が子どもの結婚式に参列してくれない…」という最悪の事態にならないためにも、早期解決、円満解決が望ましいのです。
そのためにも弁護士は法的な手続きだけではなく、「こうやったらもめずにすむのではないか?」というアドバイスも行なっています。目先の利益を手に入れることだけに執着するのでなく、今後の生活を心穏やかに過ごせるようにすること。将来を見据えた解決法を提案するのが弁護士の役割りであり仕事です。
弁護士はもめさせるためではなく、問題を解決するための存在
弁護士に相談…と聞くと「余計にもめやしないか?」と考えてしまう人も少なからずいらっしゃると思います。しかし、それは大きな間違い。「弁護士が間に入ることで火種を小さくすること、消すことが可能になる」のです。
当事者間では感情に流されがちな相続問題
円満に公平に、今後のモヤモヤをなくすためにも第三者である弁護士の介入はメリットしかないと思えてしかたかりません。
わからないまま闇雲に進めるよりは、法律のプロ、相続の専門家である弁護士にわからないことを積極的に聞いて、納得した上で協議を進めた方がいいに決まっています。効率のよさも違いますし、財産の価値がわかれば納得した話し合い、公平な遺産分配に繋がることは明らかです。
遺産相続に疑問点を感じたら、まずは弁護士に「相談」に行ってみましょう。その相談の場で思いがけない解決の糸口やヒントを見つけることができるかもしれませんよ。
遺産相続に強く評判の良い弁護士事務所を探す
遺産相続この記事が役に立ったら
いいね!をお願いします
最新情報をお届けします
相続問題で悩みを抱えていませんか
- 相手がすでに弁護士に依頼している
- 遺産分割の話し合いがまとまらない
- 遺産を使い込まれているがどうすれば?