遺言の内容に納得がいかない場合でも絶対に従わなくてはいけないのか?ケース別に解説
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遺言書の内容に納得いかない時
Q:数か月前に父が亡くなったのですが、遺品整理をしていると父が生前作成していた「自筆証書遺言」が見つかりました。見つかった遺言書によると、父の遺産は「長男にすべての財産を相続させる」と記載されていたのです。
私たちは3人兄弟なのですが、兄がすべての財産を相続するなど到底納得できるはずがありません。どうにかならないのでしょうか?
私たちは3人兄弟なのですが、兄がすべての財産を相続するなど到底納得できるはずがありません。どうにかならないのでしょうか?
A:まず、自筆証書遺言の場合、そもそも法的に有効かどうかという問題が生じます。
自筆証書遺言というのは、民法にて規定された要件をすべて満たしていない限り、法的な効力を有することはありません。遺言者自身が遺言書の全文、日付、氏名を自筆していて、かつ、印を押している必要があります。印については、実印である必要はなく認印でも、指印でも構わないのですが、すべて自筆していなければならないという点はよく確認する必要があります。特にパソコンやスマートフォンが普及している現代では、自筆証書遺言の要件を知らずに、手書きでない遺言書を作成してしまう方もいるのです。
また、たとえ遺言書が有効であったとしても、「長男にすべての財産を相続させる」といった内容に対抗する「遺留分」という権利があります。
遺留分とは、相続人が最低限相続できる権利のことで、この権利を行使することで特定の相続人1人に全財産を相続されることはありません。この権利行使を「遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)」といいます。
自筆証書遺言というのは、民法にて規定された要件をすべて満たしていない限り、法的な効力を有することはありません。遺言者自身が遺言書の全文、日付、氏名を自筆していて、かつ、印を押している必要があります。印については、実印である必要はなく認印でも、指印でも構わないのですが、すべて自筆していなければならないという点はよく確認する必要があります。特にパソコンやスマートフォンが普及している現代では、自筆証書遺言の要件を知らずに、手書きでない遺言書を作成してしまう方もいるのです。
また、たとえ遺言書が有効であったとしても、「長男にすべての財産を相続させる」といった内容に対抗する「遺留分」という権利があります。
遺留分とは、相続人が最低限相続できる権利のことで、この権利を行使することで特定の相続人1人に全財産を相続されることはありません。この権利行使を「遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)」といいます。
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遺言があっても遺産分割協議はできるの?
Q:現在、父の遺産を巡り姉と揉めている最中です。
父は生前、公正証書遺言を残していたようなのですが、その内容は姉がひたすら優遇されており、私や他の兄弟への配慮などまったく無い内容で愕然としています。
姉は「公正証書があるのだから全員それに従え」と言うのですが、なにか良い方法はないのでしょうか?今から遺産分割協議はできないのですか?
父は生前、公正証書遺言を残していたようなのですが、その内容は姉がひたすら優遇されており、私や他の兄弟への配慮などまったく無い内容で愕然としています。
姉は「公正証書があるのだから全員それに従え」と言うのですが、なにか良い方法はないのでしょうか?今から遺産分割協議はできないのですか?
A:結論から言えば、遺言書が見つかった場合でも遺産分割協議をすることは可能です。
また、遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言と3つの形式がありますが、公正証書遺言だから強い法的拘束力があるといったこともなく、どの形式で作成されていたとしても、改めて遺産分割協議をすることは可能です。ただし、遺言書の内容に沿わない遺産分割をしたい場合、相続人全員の同意がなければなりません。今回のケースでいえば、相続人全員でお姉様を説得するところから始める必要があると言えます。
また、遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言と3つの形式がありますが、公正証書遺言だから強い法的拘束力があるといったこともなく、どの形式で作成されていたとしても、改めて遺産分割協議をすることは可能です。ただし、遺言書の内容に沿わない遺産分割をしたい場合、相続人全員の同意がなければなりません。今回のケースでいえば、相続人全員でお姉様を説得するところから始める必要があると言えます。
遺産分割協議のやり直しはできる?
Q:母は生前に遺言書を残していたようなのですが、その遺言書には、すべての遺産について記載がされていなかったため、他の部分については法定相続分でそれぞれ受け取ることにしました。しかし、後になって弟だけが大学費用の資金援助を受けていたことがわかったのです。私は親に迷惑をかけまいとすべて奨学金で賄ったというのに、どう考えても不公平です。今からでも遺産分割協議のやり直しはできないのでしょうか?
A:ご質問のように、特定の相続人だけが生前に利益を得ている場合、法律ではこの利益を「特別受益」といいます。特別受益が発生している相続の場合、いったん利益を得ていた相続人が受け取った特別受益の額を相続財産に加え、その上で遺産分割すべきと考えられています。これを「特別受益の持ち戻し」といいます。
また、一度成立した遺産分割協議であっても、相続人全員の同意があればやり直すことは可能です。ただし、一度成立してしまっている以上、やり直しについてはトラブルへと発展する恐れが強いです。もし、トラブルに発展しそうな恐れがある場合は、法律問題のプロである弁護士に相談するようにしてください。
また、一度成立した遺産分割協議であっても、相続人全員の同意があればやり直すことは可能です。ただし、一度成立してしまっている以上、やり直しについてはトラブルへと発展する恐れが強いです。もし、トラブルに発展しそうな恐れがある場合は、法律問題のプロである弁護士に相談するようにしてください。
遺産分割協議は遺言で禁止できるのか?
Q:父が残した遺言書に、信じられない一言が書いてありました。その一言というのは、「末っ子の離婚問題が終わるまで一切の遺産分割協議はしないこと」です。確かに弟は離婚調停の最中で、さらに遺産分割協議となると心労もかかるといえますが、遺産分割協議できないということは、父の遺産にまったく手をつけられないということです。
私自身にも生活がありますし、早いところ遺産分割協議をして父の遺産を手にしたいです。そもそも遺産分割協議を遺言で禁止することなどできるのでしょうか?
私自身にも生活がありますし、早いところ遺産分割協議をして父の遺産を手にしたいです。そもそも遺産分割協議を遺言で禁止することなどできるのでしょうか?
A:民法の規定によると、遺産分割協議は遺言にて5年間を超えない範囲で禁止することが認められています。そして、遺産分割協議の禁止対象となる範囲は全財産となっているため、一部の遺産分割協議すら禁止することができてしまうのです。
納得できない部分もあるとは思いますが、遺言書というのは亡くなった方が現世に残すことのできる最後の意思表示です。相続人全員の同意があれば遺言書の内容を無効にすることもできるにはできますが、可能な限り遺言者の意思を尊重するよう心がけましょう。
納得できない部分もあるとは思いますが、遺言書というのは亡くなった方が現世に残すことのできる最後の意思表示です。相続人全員の同意があれば遺言書の内容を無効にすることもできるにはできますが、可能な限り遺言者の意思を尊重するよう心がけましょう。
遺産分割後に出た遺産はどうなる?
Q:母の遺言書には記載されていなかった遺産が後になって見つかりました。
もともとの母の遺言書には、シングルマザーでなにかと苦労も多い私の持ち分を他の兄弟よりも少し多くしてくれていました。他の兄弟もこれには納得し、揉めることなく遺産の分配は終了しています。そこで、後から見つかった遺産についても、母の意思を尊重して私が多くもらうべきだと考えています。しかし、兄弟はこれを良く思っていないようで、溝は深まるばかりです。それでも私が多く相続すべきだと思うのですが、違いますか?
もともとの母の遺言書には、シングルマザーでなにかと苦労も多い私の持ち分を他の兄弟よりも少し多くしてくれていました。他の兄弟もこれには納得し、揉めることなく遺産の分配は終了しています。そこで、後から見つかった遺産についても、母の意思を尊重して私が多くもらうべきだと考えています。しかし、兄弟はこれを良く思っていないようで、溝は深まるばかりです。それでも私が多く相続すべきだと思うのですが、違いますか?
A:確かに遺言書というのは、亡くなった方の最後の意思表示といえるものです。
しかし、法的視点からみれば、遺言書に記載されていなかった遺産や遺産分割協議後に新たに見つかった遺産というのは、相続人全員で改めて協議すべきとされています。
よって、今回のケースに当てはめてみると、ご質問者様が多く相続することに他のご兄弟が賛成していないのであれば、やはり改めて遺産分割協議をするしかありません。兄弟間で溝が深まっているようでしたら、間に弁護士に介入してもらうというのも1つの手です。
金銭が絡むとなると、たとえ仲の良かった兄弟間であっても感情的になる恐れがありますが、弁護士であれば冷静に遺産分割協議を進められるよう手助けをしてくれます。
しかし、法的視点からみれば、遺言書に記載されていなかった遺産や遺産分割協議後に新たに見つかった遺産というのは、相続人全員で改めて協議すべきとされています。
よって、今回のケースに当てはめてみると、ご質問者様が多く相続することに他のご兄弟が賛成していないのであれば、やはり改めて遺産分割協議をするしかありません。兄弟間で溝が深まっているようでしたら、間に弁護士に介入してもらうというのも1つの手です。
金銭が絡むとなると、たとえ仲の良かった兄弟間であっても感情的になる恐れがありますが、弁護士であれば冷静に遺産分割協議を進められるよう手助けをしてくれます。
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