駐車場内での交通事故の過失割合はどうなる?車同士・車と歩行者などケース別に解説【2026年最新版】

駐車場事故の過失割合~車同士・車と歩行者などケース別に解説

駐車場での交通事故の過失割合は、道路交通法の考え方をふまえながらも、公道とは異なる基準で判断されます。

本記事では、2026年3月に刊行された『別冊判例タイムズ39号(全訂6版)』で詳細化された駐車場事故の事例も参照しながら、駐車場に特有の基本過失割合と修正要素を、ケースごとにわかりやすく解説します。

駐車場内の事故でも過失割合は必ず生じる

動いている車同士の公道上での事故には、基本的に双方に過失割合が生じます。過失割合とは、その事故が起きた際の、自分と相手の責任の割合です。過失割合は、公道上の交通ルールを定めた道路交通法や、事故類型ごとの過去の裁判例基準を用いて交渉するのが一般的です。

では、駐車場という特殊な場所での交通事故の場合、過失割合はどのような扱いになるでしょうか?

駐車場は原則的に「道路」には該当しない

駐車場は原則として道路交通法上の「道路」には該当しません。

しかし、「一般交通の用に供する場所」と判断されれば、道路交通法上の道路とみなされ、道路交通法上の責任が生じます。

保険会社との過失割合交渉は道路交通法の考えをふまえて決定

もっとも、保険会社との交渉や訴訟実務においては、その駐車場が道路に該当するか否かを問わず、道路交通法の考え方をふまえて過失割合を決めていくのが一般的です。

これは、道路に該当しないと認定された駐車場であっても、その通行時には状況に応じた徐行や安全確認など、道路交通法に準じた注意義務が求められるためです。

不特定多数の車が自由に出入りする駐車場は「道路」と評価されることも

駐車場が道路交通法上の「道路」に該当するかどうかは、主に「不特定多数の人や車が自由に通行できるか」という点が重要な判断要素となります。

たとえば、ショッピングモールやコンビニ、病院の駐車場のように、不特定多数の人や車が自由に出入りできる場合には、「一般交通の用に供する場所」として道路交通法上の道路と認定される可能性があります。

これに対し、自宅の駐車スペースや月極駐車場のように、特定の利用者に限定されている駐車場については、「一般交通の用に供する場所」にあたらず、道路交通法上の道路とは認定されにくいです。

このように、同じ駐車場であっても、その利用形態や管理状況によって法的評価は異なります。そのため、駐車場事故における過失割合を検討する際には、当該駐車場の具体的な利用実態をふまえて、慎重に判断することが重要です。

2026年刊行の別冊判例タイムズ39号(全訂6版)で駐車場事故の判断基準が詳細化

駐車場での事故を含め、事故類型ごとの過去の裁判例基準は書籍化されており、2026年3月には、最新の交通事情・判例をふまえた改訂最新版・『別冊判例タイムズ39号(全訂6版) 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準』が刊行されました。(以下、別冊判タ39号と呼びます)

これは、東京地方裁判所交通部の裁判官による研究会(東京地方裁判所民事交通訴訟研究会)が、多くの裁判例を集めて検討し、その結果を基準として公表したものです。

別冊判タ39号では、これまで5種類だった駐車場での事故類型が8種類に増加。 具体的には、

  • 駐車スペースから出ようとした車同士が衝突したケース
  • 同一ないし隣の駐車スペースへ同時に入ろうとした車同士が衝突したケース
  • 入庫しようとした車と出庫しようとした車が衝突したケース

の事故類型が追加されています。
また、修正要素も以前より明確になって判断基準が詳細化しました。

本記事では、追加された事故類型も含め、駐車場事故の過失割合について詳しく説明します。

通路走行中の出合い頭・出庫車との衝突における過失割合

駐車場内の通路を走行中の出合い頭・出庫車との衝突における過失割合は、次の3類型に分けられます。

通路の交差部分での出合い頭事故

駐車場内の通路の交差部分での出合い頭事故
直進または左右折のため進入したA車と、直進または左右折のため交差道路から進入したB車の出合い頭事故では、基本の過失割合はA車:B車で「50:50」です。

交差点に進入したA車:交差点に進入したB車=50:50

ただし、個別具体的な事情(修正要素)があるケースでは、過失割合が次のように修正される場合があります。

A車が狭路・B車が明らかに広い通路、B車が丁字路直進 A車:B車=60:40
A車に一時停止・通行方向標示等違反 A車:B車=65〜70:35〜30
A車の著しい過失 A車:B車=60:40
A車の重過失 A車:B車=70:30
B車が狭路・A車が明らかに広い通路 A車:B車=40:60
B車に一時停止・通行方向標示等違反 A車:B車=35〜30:65〜70
B車の著しい過失 A車:B車=40:60
B車の重過失 A車:B車=30:70

駐車場内の丁字路の交差部分での出合い頭事故(片方が明らかな広路)

駐車場内の丁字路の合流部分の事故で、片方が明らかに広い場合、狭路を走る車の過失割合が6、広路を走る車の過失割合は4となります。
これは、一般的に広路の方が多くの交通量が見込まれることは自明なため、狭路を走る車は広路への合流に際し、より注意深い対応を求められるためです。

駐車場内の通路の交差部分での出合い頭事故(片方に一時停止)

また、駐車場内の一時停止・通行方向標示がある箇所での違反がある場合、違反を犯した側の責任が多くなる形に過失割合は修正されます。

なお、通路の交差部分での出合い頭事故に特有の「著しい過失」としては、

  • 相手車両が交差部分に明らかに先入していた場合
  • 交差部分の手前で減速をしなかった場合

があります。

通路を進行する車も徐行義務を負う

駐車場では、他の車や歩行者の動きが読みづらく、思わぬタイミングで前方の車が止まったりバックしたりすることがあります。

さらに、運転者は空いている駐車スペースを探すことに意識が向きやすく、周囲への注意が薄れがちです。低速での走行が中心となるため、近くの車が動いているのか停まっているのかを見極めにくい場面も少なくありません。

よって、駐車場内の通路を進行する車は、他の車や人の通行を予見して安全を確認し、いつでも停止して衝突を回避できるよう、徐行義務を負うのが原則です。
この徐行を適切に行っていなかった場合は、過失割合を修正し、過失をより大きく認定する可能性があります。

通路走行中に駐車スペースから出てきた車と衝突したケース

駐車場の通路走行中に駐車スペースから出てきた車と衝突

通路走行中のA車と、駐車スペースから出てきたB車とが衝突したケースでは、過失割合はA車:B車で「30:70」です。

通路走行中のA車:駐車スペースから出てきたB車=30:70

ただし、次の修正要素がある場合には過失割合は修正されます。

B車の著しい過失 A車:B車=20:80
B車の重過失 A車:B車=10:90
A車の著しい過失 A車:B車=40:60
A車の重過失 A車:B車=50:50

通路走行中に駐車スペースから出てきた車と衝突したケースに特有の「著しい過失」としては、

  • A車が、通路を進行する他の車両の通常の進行速度を明らかに上回る速度で進行していた場合
  • 標識または路面標示等で指示される順路(通行方向)に反して通路を進行していた場合

があります。

また、駐車場内に道路標識等に倣った最高速度の標識または路面標示がある場合は、それを通常の進行速度の目安とし、速度超過の程度に応じて「著しい過失」「重過失」として修正する場合があります。

駐車スペースから出ようとした車同士が衝突したケース

駐車スペースから出ようとした車同士が衝突したケース

駐車スペースから出ようとしたA車と、同じくB車とが衝突したケースでは、過失割合はA車:B車で「50:50」です。

駐車スペースから出ようとしたA車:B車=50:50

ただし、次の修正要素がある場合には過失割合は修正されます。

B車の著しい過失 A車:B車=40:60
B車の重過失 A車:B車=30:70
A車の著しい過失 A車:B車=60:40
A車の重過失 A車:B車=70:30

駐車スペースから出ようとした車同士が衝突したケースに特有の「著しい過失」としては、

  • 一方が標識または路面標示等で指示される順路(通行方向)に反して進路に進入したことが衝突の危険を高めたといえる場合
  • 一方が駐車スペースから通路に進入する際に、一定速度以上の速度で退出動作を行った場合

があります。

バック操作が絡む入庫・出庫時の衝突における過失割合

駐車場には、柱や壁、他車があるため死角が多く、歩行者や他車の動きも不規則であることから、バック操作は一般道路よりも衝突の危険性が高い行為といえます。こうした事情も踏まえ、バック操作が絡む入庫・出庫時の衝突における過失割合は以下の通りとされています。

通路走行中に前方の車が突然バック入庫を始めて衝突したケース

通路走行中に前方の車が突然バック入庫を始めて衝突したケース
A車が通路走行中に、前方のB車が突然バック入庫を始めて衝突したケースでは、基本の過失割合はA車:B車で「80:20」です。

通路走行中のA車:突然バック入庫はじめたB車=80:20

ただし、次の修正要素がある場合には、過失割合は修正されます。

B車の著しい過失 A車:B車=70:30
B車の重過失 A車:B車=60:40
A車徐行なし A車:B車=90:10
A車の著しい過失 A車:B車=90:10
A車の重過失 A車:B車=100:0

「A車徐行なし」ですが、徐行とは、道路交通法において「車両等がただちに停止することができるような速度で進行すること」とされています。具体的には、「時速10km以下かつ1m以内で停止できる速度」のことです。

駐車スペースに入庫しようとするB車が切り返しや方向転換によって進路を変更することは、通常予見できるため、側方を通過するA車には、徐行して衝突を回避すべきです。そのため徐行しなかった場合には、過失を加算修正するものとされています。

通路走行中に前方の車が突然バック入庫を始めて衝突したケース特有の「著しい過失」としては、

  • A車が標識または路面標示等で指示される順路(通行方向)に反して通路を進行していた場合
  • 通路進行車Aが、順路に反して通路を進行していない場合において、徐行していなかった場合
  • 通路進行車Aが通常の進行速度を明らかに上回る速度で進行していた場合

があります。

また、A車が通路を進行する他の車両の通常の進行速度を明らかに上回る速度で進行していた場合には、過失割合は状況に応じて、「著しい過失」または「重過失」として加算修正します。

同一ないし隣の駐車スペースへ同時に入ろうとした車同士が衝突したケース

同一ないし隣の駐車スペースへ同時に入ろうとした車同士が衝突したケース

同一ないし隣接した駐車スペースへ同時に入ろうとしたA車と B車が衝突したケースでは、過失割合はA車:B車で「50:50」です。

同一/隣接した駐車スペースへ同時に入ろうとしたA車:B車=50:50

ただし、次の修正要素がある場合には、過失割合は修正されます。

B車の著しい過失 A車:B車=40:60
B車の重過失 A車:B車=30:70
A車の著しい過失 A車:B車=60:40
A車の重過失 A車:B車=70:30

同一ないし隣の駐車スペースへ同時に入ろうとした車同士が衝突したケースに特有の「著しい過失」としては、

  • 一方の駐車スペース進入車が、切り返しや方向転換により進路を変える場合など、他の車両との関係でより慎重な安全確認と運転操作が求められる場面において、基本的な注意義務を怠ったとき(衝突まで一方の駐車スペース進入車の存在自体を認識していなかったときや、急発進したときなど)
  • 一方の駐車スペース進入車が一定の速度以上での進入動作を行った場合

などがあります。

入庫しようとした車と出庫しようとした車が衝突したケース

入庫しようとした車と出庫しようとした車が衝突したケース

入庫しようとしたA車と出庫しようとしたB車が衝突したケースでは、過失割合はA車:B車で「20:80」です。

入庫しようとしたA車:出庫しようとしたB車=20:80

ただし、次の修正要素がある場合には、過失割合は修正されます。

B車の著しい過失 A車:B車=10:90
B車の重過失 A車:B車=0:100
A車の著しい過失 A車:B車=30:70
A車の重過失 A車:B車=40:60

入庫しようとした車と出庫しようとした車が衝突したケース特有の「著しい過失」としては、「A車が、切り返しや方向転換により進路を変える場合など、他の車両との関係でより慎重な安全確認と運転操作が求められる場面において、基本的な注意義務を怠ったとき(衝突までB車の存在自体を認識していなかったときや、急発進したときなど)」があります。

駐車場内をバックする車同士が衝突したケース

駐車場内をバックする車同士が衝突

駐車場内をバックするA車とB車同士が衝突したケースは、実務では双方に同程度の注意義務があると考えるため、過失割合はA車:B車で「50:50」と考えるのが一般的です。

ただし、個別の事情があれば修正する可能性があります。以下のケースを例に考えてみましょう。

駐車場でA車がバックを開始し、その後B車もバックを始めた。A車はB車に気づいて、駐車場から道路へ進入するための通行路部分に停止したが、B車は気づかないままバックを続け、両車の後部が衝突した。

駐車場内をバックする車同士が衝突(片方は停止)

このようなケースでは、基本過失割合はA車:B車で「50:50」ですが、個別の事情を踏まえてA車に20%有利な修正をし、「30:70」と判断する場合があります。(参考:松山地今治支判平成20年12月25日)。これは、「A車はバックしていたものの、途中で停止した」一方で、「B車は後方確認をせずに漫然とバックし、 衝突まで相手車両に気づかず、回避もしなかった」からです。

すでに停車中の車との衝突における過失割合

すでに停車中の車との衝突における過失割合

すでに駐車スペースに駐停車しているA車に、隣接する駐車スペースへ入庫しようとするB車が衝突したケースは、別冊判タ39号に掲載されていない事故類型です。しかし、実務ではA車:B車で「0:100」で考えるのが一般的です。

保険会社との交渉でポイントとなるのは、保険会社に「A車がクラクション(警告音)を鳴らさなかった」と主張され、A車に不利な「10:90」の過失割合を提示されるケースがある点です。通常この主張が認められることは少ないのですが、個々の事案により修正すべきか否かが変わるので注意が必要です。

歩行者との事故における過失割合

駐車場は、駐車場の利用者が乗車・降車する場所であり、不特定多数の歩行者が往来します。では、車と歩行者との事故における過失割合はどのようになるでしょうか?

駐車スペース内で歩行者と車が衝突したケース

駐車スペース内で歩行者と車が衝突したケース

駐車スペース内で歩行者と車が衝突したケースでは、過失割合は歩行者:車で「10:90」です。

駐車スペースを歩く歩行者:駐車スペースに入る/通行する車=10:90

これは、駐車場は車の往来が常に予見される場所のため、歩行者にも相応の注意義務が課されるためです。

ただし、次の修正要素がある場合には、過失割合は修正されます。

隣接区画での乗降あり 歩行者:車=0:100
歩行者が児童・高齢者 歩行者:車=5:95
歩行者が幼児・身体障害者等 歩行者:車=0:100
車の著しい過失・重過失 歩行者:車=0:100

駐車スペース内で歩行者と車が衝突したケースに特有の「車の著しい過失・重過失」とは、駐車を予定した駐車スペースから逸脱して隣接駐車スペース等に進入し、そこにいた歩行者と衝突した場合、徐行していなかった場合等があげられます。

子ども・高齢者などが歩行者の場合の修正要素

上述の通り、歩行者が「幼児(6歳未満)」「児童(6歳以上13歳未満)」「高齢者(おおむね70歳以上)」または「身体障害者等(車いす利用者、視覚・聴覚障害者で杖や盲導犬を伴う者など)」に該当する場合には、交通弱者を保護する観点から、歩行者の過失割合を減算し、車の責任をより重く見ます。

通路上で歩行者と車が衝突したケース

通路上で歩行者と車が衝突したケース
駐車場内の通路上で歩行者と車が衝突したケースでは、過失割合は歩行者:車で「10:90」です。

駐車場内の通路上を歩く歩行者:駐車場内の通路を通行する車=10:90

通路を進行する車には高度の注意義務が課されます。ただし、歩行者にも車の通行を常に予見し、進路の安全を確認する義務があるため、通路で接触した場合、歩行者にも1割の責任が問われます。

ただし、次の修正要素がある場合には、過失割合は修正されます。

歩行者の急な飛び出し 歩行者:車=20:80
歩行者用通路標示上 (※歩行者の過失割合から−20%)
歩行者が児童・高齢者 歩行者:車=5:95
歩行者が幼児・身体障害者等 歩行者:車=0:100
車の著しい過失 歩行者:車=0:100
車の重過失 (※歩行者の過失割合から−20%)

上述の通り、子ども・高齢者等が歩行者の場合は、駐車スペース内で歩行者と車が衝突したケースと同様に、子ども・高齢者等を交通弱者として評価し、過失割合を減算して修正します。

通路上で歩行者と車が衝突したケースに特有の「車の著しい過失」としては、たとえば、

  • 車が通路を進行する他の車の通常の進行速度を明らかに上回る速度で進行していた場合
  • 右左折時やバック時などに、進行方向の見通しが悪い場所で徐行しなかった場合

などが考えられます。

過失割合を動かす主な修正要素

駐車場事故では、別冊判タ39号の基本過失割合を出発点としつつ、個々の事情(修正要素)に応じて過失割合が修正されます。駐車場事故の修正要素については、すでにいくつか触れていますが、一覧化したうえで解説します。

交差部分で片方が明らかに広い通路

駐車場内の通路の交差する場所で、片方の通路の幅員が明らかに広い場合は、車の通行量も狭い通路に比べ相対的に多いものと予想されます。
そのため、狭い通路から交差部分へ進入する車(狭路車)にはより慎重な注意義務が求められ、万一、事故が起きた場合には、狭路車側に+10%程度の過失割合が修正される場合があります。

交差部分の出合い頭事故で片方の車が丁字路直進

丁字路の交差部分に、右左折のため進入したA車と、交差部分を直進するB車の出合い頭事故のケースです。突き当たり側から出てくるA車は、交差する直進のB車にしっかり注意する必要があるため、過失が重くなりやすいです。直進のB車も注意義務はありますが、通常は、突き当たり側のA車のほうが「止まる・徐行する」と期待されることから、A車に+10%程度の修正になる場合があります。

一時停止・通行方向標示等違反

一時停止または通行方向の標識や標示があるのに、これに従わなかったケースです。交差部分を通行する車は、通常、他の車が標識や標示に従うことを期待していると考えられるため、それに違反した車に、+15〜20%程度の修正になる場合があります。

通路進行車が徐行なし

通路進行車と、通路から駐車スペースに進入開始した車のケースで、通路進行車が徐行しなかったケースです。「徐行」とは、「時速10km以下かつ1m以内で停止できる速度」のことをいいます。駐車スペース進入車が、切り返しや方向転換によって進路を変更することは、通常予見できるので、通路進行車が駐車スペース進入車の側方を通過する場合は、いつでも停止できる速度で進行すべきであり、それを怠った通路進行車に、+10%程度の修正になる場合があります。

歩行者との事故で隣接区画での乗降あり

駐車場の駐車スペース内で歩行者と衝突したケースです。車が駐車スペースへの進入を開始した時点で、隣接する駐車スペースにおいて他車の運転者または同乗者が乗降していた場合、車の運転者は、自分が進入しようとする隣接駐車スペースに、その乗降者(歩行者)が往来することを予見し、特に慎重に安全確認等をすべきなので、歩行者側が−10%程度の修正になる場合があります。

歩行者との事故で歩行者が児童・高齢者

歩行者が6歳以上13歳未満の「児童」と、おおむね70歳以上の「高齢者」の場合、道路を通行するに際し判断能力や行動能力が低い者として、特に保護する要請が高いため、歩行者側が−5%程度の修正になる場合があります。

歩行者との事故で歩行者が幼児・身体障害者等

6歳未満の「幼児」と、「身体障害者等」(※)の場合、道路を通行するに際し判断能力や行動能力が低い者として、特に保護する要請が高いため、歩行者側が−10%程度の修正になる場合があります。

補足:身体障害者等の定義

「身体障害者等」とは以下を指します。(道路交通法 第71条2号等に規定)

  • 身体障害者用の車を通行させている者
  • つえを携え、または盲導犬を連れている目が見えない者
  • つえを携えている耳が聞こえない者
  • 道路の通行に著しい支障がある程度の肢体不自由、視覚障害、聴覚障害または平衡機能障害のある者でつえを携えている者

歩行者との事故で歩行者が急な飛び出し

駐車場内を車が走行中、歩行者が物陰や駐車する車列の間などから急に飛び出してきて事故となった場合、飛び出した歩行者側の責任を見て、歩行者側が+10%程度の修正になる場合があります。

歩行者との事故が歩行者用通路標示上

歩行者の通行と安全を図るため、車の通行が禁止されていることが標識または標示により表示されているケースでは、その禁を破って通行した車の過失を重く見て、歩行者側が−20%程度の修正になる場合があります。

クラクション(警告音)なし

停止している車が相手車に衝突されたケースで、停止車が相手車の存在に気づきながら衝突直前にクラクション(警告音)を鳴らさなかった場合には、危険回避措置を怠ったと評価され、著しい過失として+10%程度の修正になる場合があります。

夜間の無灯火

車には、夜間の点灯義務があります。夜間に無灯火だった場合、他車から視認してもらうことが難しくなり事故が起きやすいため、著しい過失として+10%程度の修正になる場合があります。また、薄暗い施設での無灯火も同様です。

脇見運転などの著しい前方不注視

駐車場内でも脇見運転など前方不注視で事故を起こした場合、著しい過失として+10%程度の修正になる可能性があります。

著しいハンドル・ブレーキ操作不適切

著しいハンドル・ブレーキ操作不適切があった場合には、著しい過失として+10%程度の修正になる場合があります。しかし、操作が不適切であったという点は具体的な評価が必要なため、個々の事案ごとに検討することが重要です。

スマホ操作しながらの運転

スマホ操作しながらの運転は、著しい過失として+10%程度の修正になる場合があります。しかし、「操作していた」、「操作していない」と事実認定が争われるケースも多く注意を要します。

酒気帯び運転

酒気帯び運転とは、身体の保有するアルコールの程度が血液1mlあたり0.3㎎又は呼気1lにつき0.15㎎の状態で運転することをいいます。酒気帯び運転は、著しい過失として+10%程度の修正になる場合があります。

居眠り運転

運転中に居眠りしてしまう居眠り運転では、ハンドル操作やブレーキ操作が安全にできず大変危険です。そのため居眠り運転では、重過失として+20%程度の修正になる場合があります。しかし、居眠りしていたか否かの事実認定が争われるケースも多いため、注意することが必要です。

無免許運転

安全運転に必要な技術や知識、また遵法意識が欠如した者による無免許運転は、非常に危険な行為です。よって、重過失として+20%程度の修正になる場合があります。

酒酔い運転

酒酔い運転とは、酒気を帯びた上、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態で運転することをいいます。酒酔い運転は、重過失として+20%程度の修正になる場合があります。

駐車場事故で注意すべき手続きのポイント

駐車場事故が起きた場合、すみやかに以下の手続きを行いましょう。

必ず警察に届け出る

駐車場での車はスピードを落として走行しており、損害も比較的軽微なことが多いため、警察への届け出を悩む方もいらっしゃるでしょう。しかし、警察には必ず届け出ましょう。

道路交通法違反になるおそれ

その理由は、道路交通法において、事故が発生した場合には運転者に警察への事故報告を義務付けているからです。一見すると駐車場は私有地扱いになり、道路交通法の適用外になるようにも思えます。しかし、スーパーやコンビニなど不特定多数の人が出入りする駐車場のケースでは、道路交通法の「道路」と判断される場合があり、警察への報告義務が生じます。

警察への届け出をしない場合、「3ヶ月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金」が科される場合もありますので、警察への報告は必ず行うようにしましょう。

交通事故証明書が発行されず保険金請求できなくなる

また、警察に届け出ないと、「交通事故証明書」が発行されません。交通事故証明書がないと事故があったことを証明できず、保険会社に保険金請求できなくなるおそれがあります。

過失割合で不利になる可能性あり

警察への届け出をせず当事者のみで示談しようとすると、警察の作成する交通事故証明書や実況見分調書がないため事故状況がはっきりせず、相手に言いくるめられて過失割合が不利なまま、示談してしまう可能性があります。

後になって慰謝料請求されることも

相手がその場ではケガはないと言っても、後になって痛みが出た、ケガがあったと言って慰謝料請求されることがあります。事故とケガとの因果関係を確認し、不当な慰謝料請求を退けるためには、事故後に警察を呼び、交通事故証明書や実況見分調書で事故状況の立証ができるようにしておきましょう。

物損でも届け出義務あり

なお、警察への事故届け出は、当事者にケガがなく物損のみの場合であっても義務となっています。物損だからと言って警察への届け出を怠ると、刑事罰が科されるおそれがあるほか、保険金請求できなくなる、過失割合で不利になる、後になって慰謝料請求されるなどのリスクがあります。

ドライブレコーダー・駐車場の監視カメラの映像の確保

駐車場での事故で最も重要な証拠となるのは、ドライブレコーダーの映像です。したがって、ドラレコの映像が上書きされるまえに、録画の停止やバックアップを取るなどして事故時の映像を確保しましょう。

ドラレコの映像は、お互いの車両がどう動いたか、どのタイミングで止まったか、駐車場の空き状況や混み具合などを、まとめて立証できるものだからです。ドラレコの映像がない場合には、事故直後に撮った現場の写真、車両の損傷部位の写真、実況見分調書などを用いて、事故状況を明らかにしていきます。

また、駐車場の監視カメラの映像にも事故時の様子が映っている可能性がありますので、駐車場管理者に相談して保全するようにしましょう。

過失割合に納得できなければ早めに弁護士へ

駐車場事故の過失割合で保険会社と交渉をする際、保険会社から言われがちなのは、「事故状況がはっきりしないので、基本過失割合でお願いします」という主張です。
これは、基本過失割合のまま、修正要素を加味せずに示談したいということです。

ですが、駐車場事故では、

  • 現場の規模・構造
  • 現場の混雑状況
  • 車両の動き方(発進・停止のタイミングや速度など)
  • ハザード・合図の有無
  • 順路違反の有無
  • 障がい者マークの有無

などの過失割合を左右する重要なポイントがあります。

したがって、これらを考慮せず、修正なしの基本過失割合のまま示談してしまうと、自分に大きく不利になることも考えられます。そもそも、保険会社の提示した基本過失割合そのものが不当な場合もあります。保険会社が参照した別冊判タ39号の事故類型が間違っている可能性があるからです。

では、保険会社の言う過失割合に納得できないなどの場合にはどうしたらよいでしょうか?

結論から言えば、交通事故に詳しい弁護士への相談がベストです。駐車場事故の過失割合には、一般道路の過失割合とは異なる特有のポイントがあり、一般の方が適正な過失割合を判断するのは難しいからです。

また、弁護士に相談すれば保険会社との示談交渉を任せられるので、心理的負担が減ります。さらに、示談金・損害賠償金の算出では、被害者に最も有利な「弁護士基準」で計算ができますので、自分一人で保険会社と交渉するよりも示談金・損害賠償金が高額になることも期待できます。

まとめ

駐車場内の交通事故における過失割合は、一般道路上の事故と同様に、道路交通法の考え方や裁判例の蓄積に基づいて判断されますが、死角の多さや車両・歩行者の動きの不規則性といった駐車場特有の事情を踏まえ、より慎重な安全確認義務が求められる点に特徴があります。

実務では、別冊判例タイムズ39号の事故類型ごとの基本過失割合を出発点としつつ、徐行義務違反や安全確認不足、進路関係などの修正要素を総合的に考慮して、最終的な過失割合が決定されます。そのため、同じように見える事故であっても、具体的な状況次第で過失割合が大きく異なることも少なくありません。

また、駐車場事故では、事故類型のあてはめ自体が難しいケースや、修正要素の評価をめぐって争いになるケースも多く、保険会社の提示する過失割合が適切とは限らない点に大きく留意すべきです。

そのため、駐車場事故の過失割合に疑問がある場合や納得できない場合には、早い段階で交通事故に詳しい弁護士に相談し、事故状況を正確に整理したうえで適切な主張・立証を行うことが大切です。お悩みが深まる前に、ぜひ一度、弁護士に相談しましょう。

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