右直事故の過失割合はどうなる?自動車・バイクの場合と修正要素、片方だけの責任になるケース

右直事故の過失割合

交差点などでの右折車と直進車による事故=右直事故は、信号の色や右折のしかたなど事故状況により過失割合が変わります。また、修正要素があれば、被害者に有利に算定される可能性もありますので、本記事で詳しく解説します。

右直事故とは

右直事故とは、交差点や道路外の出入りなどで発生する、右折車と直進車の衝突事故を指します。

右直事故

交差点における右折車は、原則として直進車の進行を妨害してはならないとされているため(道路交通法37条)、右直事故での基本過失割合は右折車のほうが直進車より大きく設定されています。

ただし、事故時の信号の色や右折のしかた、事故車両が自動車かバイクかなど、事故状況によって過失割合は変わってきますので、慎重に見定める必要があります。

自動車と自動車の右直事故の過失割合

自動車と自動車の右直事故では、「信号のある交差点」「信号のない交差点」「丁字路」「道路外の出入り」と大きく分けて4パターンあり、さらにその中で、「信号の色」や「一時停止規制の有無」「道路の幅」などでパターンが細分化されます。

信号のある交差点のケース

信号のある交差点では、直進車と右折車それぞれの信号の色で基本過失割合が変わりますが、直進車は右折車に優先しますので、原則的な基本過失割合は「直進車20:右折車80」です。
信号のある交差点での右直事故(青:青)

もっとも、直進車が黄色信号や赤信号で交差点に進入した場合には、直進車の過失割合はより大きくなります。

信号のある交差点での右直事故(黄:黄)
信号のある交差点での右直事故(赤:赤と青矢印)

直進車の信号 右折車の信号 直進車の過失割合 右折車の過失割合
20 80

青で進入後、黄で右折
70 30
40 60
50 50

青で進入後、赤で右折
90 10

黄で進入後、赤で右折
70 30

赤(右折の青矢印信号あり)
100 0

信号のない交差点のケース

信号のない交差点では、信号のある交差点と同様に直進車は右折車に優先されるのが原則ですが、交差点の形態によって、基本過失割合は変化しますので順に見ていきましょう。

同幅員の交差点の場合

直進車と右折車の進行する道路の幅が同程度である場合は、車両の位置関係で基本過失割合が決まります。

事故状況 直進車の過失割合 右折車の過失割合
直進車の対向から右折 20 80
直進車から見て左方から右折 40 60
直進車から見て右方から右折 30 70

信号のない同幅員の交差点での右直事故(直進車対抗からの右折車)
信号のない同幅員の交差点での右直事故(直進車左から右折車)
信号のない同幅員の交差点での右直事故(直進車右から右折車)

一方が明らかに広い道路である場合

直進車と右折車の進行する道路の一方が明らかに広い場合には、広い道路を進行していた車両が優先されます。

なお、明らかに広いとは、車両の運転者が交差点の入り口において、その判断により道路の幅員が客観的にかなり広いと一見して見分けられる程度の広さであるものをいいますが、実務上は、広路が狭路の2倍以上の広さの場合に、この過失割合を適用することが多いです。

事故状況 直進車の過失割合 右折車の過失割合
右折車が狭路から広路に出る 20 80
右折車が広路から直進車の進入してきた狭路に入る 60 40
右折車が広路から直進車の向かう狭路に入る 50 50

信号のない一方が広い交差点での右直事故(右折車が狭から広)
信号のない一方が広い交差点での右直事故(右折車が広から狭_対向直進車と)
信号のない一方が広い交差点での右直事故(右折車が広から狭_同方向直進車と)

一方に一時停止の規制がある場合

直進車と右折車の進行する道路の一方に、「一時停止の道路標識」や「停止線」がある場合には、こうした一時停止の規制がない道路を進行していた車両が優先されます。

事故状況 直進車の過失割合 右折車の過失割合
右折車に一時停止の規制がある 15 85
直進車に一時停止の規制があり、右折車が左方から右折 70 30
直進車に一時停止の規制があり、右折車が右方から右折 60 40

信号のない同幅員の交差点での右直事故(右折車に一時停止).png
信号のない同幅員の交差点での右直事故(直進車に一時停止_左から右折車)
信号のない同幅員の交差点での右直事故(直進車に一時停止_右から右折車).png

一方が優先道路である場合

直進車と右折車の進行する道路の一方が優先道路である場合には、非優先道路を進行していた車両より優先されます。この優先道路とは、「優先道路の標識がある」「前方優先道路の補助標識がある」「センターラインが交差点内を貫通している」場合をいいます。

事故状況 直進車の過失割合 右折車の過失割合
右折車が非優先道路から優先道路に出る 10 90
右折車が優先道路から直進車の進入してきた非優先道路に入る 80 20
右折車が優先道路から直進車の向かう非優先道路に入る 70 30

一方が優先道路_右折車が非から優先
一方が優先道路_右折が優先から非の直進車進入と
一方が優先道路_右折が優先から非の同方向直進車と

丁字路交差点のケース

T字路の交差点は、直線路と突き当たり路が交差しており、法律上は「丁字路」と書きます。この丁字路では、十字路とは別に基本過失割合が定められています。というのも、十字路と丁字路の事故には、次の違いがあるからです。

交通事故過失割合の判断における十字路と丁字路の違い

まず、十字路交差点に入ろうとする右折車は、交差道路を通行する車両だけではなく、反対方向から進行してきて右折する車両などにも注意しなければなりません。
しかし、突き当たり路から丁字路交差点に入ろうとする右折車は、交差する直線路を通行する直進車に注意するだけでよいので、十字路交差点よりも注意がしやすいといえます。

他方で、直線路を通行する直進車は、「突き当たり路から進入する右折車は徐行してくるだろう」と期待するのが一般的であり、また、直線路のほうが突き当たり路よりも交通量が多く主要な道路であることが一般的です。

丁字路の過失割合は、このような事情を踏まえ、直線路を進行する直進車が、突き当たり路を右折する右折車に優先される内容となっています。

交差する道路が同幅員の場合

直進車と右折車の進行する道路の幅が同程度である場合は、以下のとおりです。

直進車の過失割合 右折車の過失割合
30 70

同幅員の丁字路

直進車の道路が明らかに広い場合

直進車の進行する道路が明らかに広い場合(実務上は広路が狭路の2倍以上である場合)は、同幅員の道路の場合よりも、直進車がさらに優先され、過失割合も低くなります。

直進車の過失割合 右折車の過失割合
20 80

直進車の広い丁字路交差点

右折車に一時停止の規制がある場合

右折車に「一時停止の道路標識」や「停止線」がある場合には、以下のとおりです。

直進車の過失割合 右折車の過失割合
15 85

右折車に一時停止の丁字路交差点

直進車が優先道路の場合

直進車の進行する道路が、「優先道路の標識がある」「前方優先道路の補助標識がある」「センターラインが交差点内を貫通している」優先線道路である場合には、以下のとおりです。

直進車の過失割合 右折車の過失割合
10 90

丁字路交差点_直進車が優先

道路外で出入りする右折車と直進車のケース

駐車場やガソリンスタンドを出入りするなど、道路外を出入りする際の右直事故は、交差点での右直事故とは別に基本過失割合が定められています。

道路外から道路に進入するため右折する場合

道路外から道路に進入するため右折する場合は、以下のとおりです。なお、直進車がゼブラゾーンに進入していた場合には、「ゼブラゾーンにみだりに進入すべきではない」と考えるのが一般的であるため、直進車の過失割合は通常時より10〜20%大きくなります。

事故状況 直進車の過失割合 右折車の過失割合
20 80
直進車がゼブラゾーン進行 30〜40 70〜60

道路外から道路に進入する右折車と直進車
道路外から道路に進入する右折車と直進車(ゼブラゾーン)

道路外に出るため右折する場合

道路から道路外に出るために右折する場合は、以下のとおりです。
直進車がゼブラゾーンを進行していた場合には、先に述べたと同様の理由から、直進車の過失割合は10〜20%大きくなります。

事故状況 直進車の過失割合 右折車の過失割合
10 90
直進車がゼブラゾーン進行 20〜40 80〜70

道路外に出る右折車と直進車
道路外に出る右折車と直進車(ゼブラゾーン)

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自動車とバイクの右直事故の過失割合

自動車とバイクの右直事故では、「信号のある交差点」「信号のない交差点」「渋滞中」「道路外で出入り」と大きく分けて4パターンあり、さらにその中で、「信号の色」や「一時停止規制の有無」「道路の幅」などでパターンが細分化されます。

自動車とバイクの事故は、「優者危険負担の原則」により、バイクが自動車よりも過失割合が小さくなる傾向にあります。
「優者危険負担の原則」とは、弱者を保護するために、優位にある者の過失をより重く算定するルールのことです。

自動車とバイク事故の場合には、バイクの方が大きな怪我を負うリスクが高いため、自動車側の過失が重く算定されます。

信号のある交差点のケース

信号のある交差点では、自動車とバイクそれぞれの信号の色で基本過失割合が変わります。

直進バイクと右折車の場合

直進バイクと右折車の場合は以下のとおりです。

信号のある交差点での右直事故(直バイク青:右折車青)
信号のある交差点での右直事故(直バイク黄:右折車黄)
信号のある交差点での右直事故(直バイク赤:右折車赤青矢印)

直進バイクの信号 右折車の信号 直進バイクの過失割合 右折車の過失割合
15 85

青で進入後、黄で右折
60 40
30 70
40 60

青で進入後、赤で右折
80 20

黄で進入後、赤で右折
60 40

赤(右折の青矢印信号あり)
100 0

右折バイクと直進車の場合

右折バイクと直進車の場合は以下のとおりです。

右折バイクの信号 直進車の信号 右折バイクの過失割合 直進車の過失割合
70 30

青で進入後、黄で右折
25 75
50 50
40 60

青で進入後、赤で右折
10 90

黄で進入後、赤で右折
20 80

赤(右折の青矢印信号あり)
0 100

信号のない交差点のケース

信号のない交差点では、交差点の形態やバイクと自動車の位置関係により基本過失割合が変化します。

直進バイクと右折車のケース

まずは、直進バイクと右折車のケースを考えましょう。

同幅員の交差点の場合

直進バイクと右折車の進行する道路の幅が同程度である場合は、車両の位置関係で基本過失割合が決まります。

事故状況 直進バイクの過失割合 右折車の過失割合
直進バイクの対向から右折 15 85
直進バイクから見て左方から右折 30 70
直進バイクから見て右方から右折 20 80
一方が明らかに広い道路である場合

直進バイクと右折車の進行する道路の一方が明らかに広い場合には、広い道路を進行していた車両が優先されます。

なお、明らかに広いとは、実務上は広路が狭路の2倍以上の広さである場合をいいます。

事故状況 直進バイクの過失割合 右折車の過失割合
右折車が狭路から広路に出る 15 85
右折車が広路から直進バイクの進入してきた狭路に入る 50 50
右折車が広路から直進バイクの向かう狭路に入る 40 60
一方に一時停止の規制がある場合

直進バイクと右折車の進行する道路の一方に、「一時停止の道路標識」や「停止線」がある場合には、こうした一時停止の規制がない道路を進行していた車両が優先されます。

事故状況 直進バイクの過失割合 右折車の過失割合
直進バイクに一時停止の規制があり、右折車が右方から右折 45 55
直進バイクに一時停止の規制があり、右折車が左方から右折 55 45
右折車に一時停止の規制がある場合 15 85
一方が優先道路である場合

直進バイクと右折車の進行する道路の一方が「優先道路の標識がある」「前方優先道路の補助標識がある」「センターラインが交差点内を貫通している」といった優先道路である場合には、非優先道路を進行していた車両より優先されます。

事故状況 直進車の過失割合 右折車の過失割合
右折車が非優先道路から優先道路に出る 10 90
右折車が優先道路から直進バイクの進入してきた非優先道路に入る 60 40
右折車が優先道路から直進バイクの向かう非優先道路に入る 50 50

右折バイクと直進車のケース

右折バイクと直進車の場合は以下のとおりです。

右折バイクの信号 直進車の信号 右折バイクの過失割合 直進車の過失割合
70 30

青で進入後、黄で右折
25 75
50 50
40 60

青で進入後、赤で右折
10 90

黄で進入後、赤で右折
20 80

赤(右折の青矢印信号あり)
0 100
同幅員の交差点の場合

右折バイクと直進車の進行する道路の幅が同程度である場合は、車両の位置関係で基本過失割合が決まります。

事故状況 右折バイクの過失割合 直進車の過失割合
右折バイクの対向から直進 70 30
直進車から見て右折バイクが左方から右折 50 50
直進車から見て右折バイクが右方から右折 60 40
一方が明らかに広い道路である場合

右折バイクと直進車の進行する道路の一方が明らかに広い場合には、広い道路を進行していた車両が優先されます。

なお、明らかに広いとは、実務上は広路が狭路の2倍以上の広さである場合をいいます。

事故状況 右折バイクの過失割合 直進車の過失割合
右折バイクが狭路から広路に出る 65 35
右折バイクが広路から直進車の進入してきた狭路に入る 30 70
右折バイクが広路から直進車の向かう狭路に入る 40 60
一方に一時停止の規制がある場合

右折バイクと直進車の進行する道路の一方に、「一時停止の道路標識」や「停止線」がある場合には、こうした一時停止の規制がない道路を進行していた車両が優先されます。

事故状況 右折バイクの過失割合 直進車の過失割合
直進車に一時停止の規制があり、右折バイクが右方から右折 35 65
直進車に一時停止の規制があり、右折バイクが左方から右折 25 75
右折バイクに一時停止の規制がある場合 65 35
一方が優先道路である場合

右折バイクと直進車の進行する道路の一方が「優先道路の標識がある」「前方優先道路の補助標識がある」「センターラインが交差点内を貫通している」といった優先道路である場合には、非優先道路を進行していた車両より優先されます。

事故状況 右折バイクの過失割合 直進車の過失割合
右折バイクが非優先道路から優先道路に出る 70 30
右折バイクが優先道路から直進車の進入してきた非優先道路に入る 20 80
右折バイクが優先道路から直進車の向かう非優先道路に入る 30 70

渋滞中の事故のケース

信号のない交差点で、交差する道路の一方が渋滞している際にも、右直事故は起こります。具体的には、渋滞している道路から交差道路へ右折しようとする右折車が、渋滞の隙間を抜けて走行してきた直進バイクと衝突するケースが考えられます。

この場合も、直進車は右折車に優先され、過失割合は以下のようになります。

直進バイクの過失割合 右折車の過失割合
30 70

道路外で出入りするバイクと自動車のケース

駐車場やガソリンスタンドを出入りするなど、車両が道路外を出入りする際に起こるバイクと自動車の事故のケースもあります。

道路外から道路に進入するため自動車が右折する場合

道路外から道路に進入する右折車と、直進バイクの事故の基本過失割合は以下のとおりです。

直進バイクの過失割合 右折車の過失割合
10 90

道路外から道路に進入するためバイクが右折する場合

道路外から道路に進入する右折バイクと、直進車の事故の基本過失割合は以下のとおりです。

右折バイクの過失割合 直進車の過失割合
70 30

道路外に出るため自動車が右折する場合

道路外に出ようとする右折車と、直進バイクの基本過失割合は以下のとおりです。

直進バイクの過失割合 右折車の過失割合
10 90

右直事故の過失割合に影響する修正要素

これまで様々なパターンの右直事故の基本過失割合をご説明しましたが、これらは文字通りあくまでも「基本」であり、事故状況によっては加算・減算する場合があります。

この、加算・減算する要素を「修正要素」といいます。以下では主な修正要素をご紹介します。

既右折

直進車が交差点に進入する時点で、右折車が右折を完了している、あるいはそれに近い状態にあることを「既右折」といいます。

既右折の状況での事故の場合、過失割合は直進車側に10%加算されます。

直近右折

右折車が直進車の至近距離で右折することを「直近右折」といいます。

直近右折の場合、直進車間近で右折した右折車の責任を重く見ることになり、過失割合は右折車側に10%加算、直進車側は10%減算されます。

早回り右折

右折車が、交差点の中心の直近の内側を進行しないで右折することを「早回り右折」といいます。早回り右折の場合、過失割合は右折車側に5〜15%加算、直進車側に5〜15%減算されます。

大回り右折

右折車が、あらかじめ道路の中央に寄らないで右折することを「大回り右折」といいます。
大回り右折の場合、過失割合は右折車側に5~10%加算、直進車側に5〜10%減算されます。

合図なし

右折車が、ウインカーなどで合図をせず右折することを「合図なし」といいます。
合図なしの場合、過失割合は右折車側に10%加算、直進車側に10%減算されます。

徐行なし

右折車が、ただちに停止できるような速度で進行しないことを「徐行なし」といいます。
徐行なしの場合、過失割合は右折車側に10%加算、直進車側に10%減算されます。

減速せず

直進車が、通常の速度より明らかに減速していないことを「減速せず」といいます。
減速せずの場合、過失割合は直進車側に10%加算されます。

15km以上の速度違反

車両が、おおむね時速15km以上30km未満の速度違反をしたことを「15km以上の速度違反」といいます。

直進車が、15km以上の速度違反をした場合、過失割合は直進車側に5〜10%加算されます。

30km以上の速度違反

車両が、おおむね時速30km以上の速度違反をしたことを「30km以上の速度違反」といいます。

直進車が、30km以上の速度違反をした場合、過失割合は直進車側に10〜20%加算されます。

道交法50条違反の交差点進入

第五十条(交差点等への進入禁止)

交通整理の行なわれている交差点に入ろうとする車両等は、その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、交差点(交差点内に道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線をこえた部分。以下この項において同じ。)に入つた場合においては当該交差点内で停止することとなり、よつて交差道路における車両等の通行の妨害となるおそれがあるときは、当該交差点に入つてはならない。
道路交通法|e-GOV法令検索 より引用

道路交通法50条1項では、信号のある交差点に入ろうとする車両は、進路前方の車両等の状況により、交差点に入ると当該交差点内で停止することになり、交差道路における車両等の通行を妨害してしまうおそれがある場合は、交差点に進入してはならない旨が定められています。

この道路交通法50条1項違反の状態で交差点に進入した場合、過失割合は直進車側に10%加算されます。

右折禁止違反

道路標識等により右折が禁止されている交差点において、右折することを「右折禁止違反」といいます。

右折禁止違反で右折した場合、右折車の5〜20%加算、直進車側は5〜20%減算されます。

明らかな先入

優先順位の低い右折車が、直進車の右方から交差点を右折する場合、または丁字路交差点を右折する場合、明らかに先入していることを「明らかな先入」といいます。

明らかな先入で右折した状況で直進車と事故になった場合、直進車側に10%加算されます。

その他の著しい過失

  • 脇見運転など著しい前方不注視
  • 著しいハンドル・ブレーキの操作ミス
  • おおむね時速15km以上30km未満の速度違反(高速道路を除く。)
  • 携帯電話の使用
  • 酒気帯び運転 など

を「その他の著しい過失」といいます。

直進車にその他の著しい過失がある場合、直進車側に10%加算(右折車側は10%減算)されます。右折車にその他の著しい過失がある場合には、右折車側に10%加算(直進車側は10%減算)されます。

その他の重過失

  • 酒酔い運転
  • おおむね時速30km以上の速度違反(高速道路を除く。)
  • 居眠り運転
  • 無免許運転 など

を「その他の重過失」といいます。

直進車にその他の重過失がある場合、直進車側に10〜20%加算(右折車側に10%減算)されます。
右折車側にその他の重過失がある場合には、右折車側に10%加算(直進車側に10%減算)されます。

右直事故の過失割合が10対0になるケース

右直事故の基本過失割合が10対0になるのは、1パターンのみです。

右折車両が青矢印信号での進行中に、直進車両が赤信号を無視して進入・衝突したケース

信号のある交差点での右直事故(赤:赤と青矢印)

右直事故で10対0になるのは、以下の条件を満たす場合です。

  1. 信号のある交差点で
  2. 右折車両が、右折の青矢印信号で進行中に
  3. 直進車両が赤信号を無視して交差点に進入・衝突した

この3つの条件を満たす場合、「直進車10 対 右折車0」(直進車100:右折車0)となります。

もっとも、これはあくまでも基本過失割合であり、先に述べた修正要素があれば過失割合が変更になる場合もあります。

右直事故の過失割合で知っておきたい注意点

右直事故の過失割合を考えるにあたって、知っておきたい注意点が3つあります。

過失割合で賠償金の請求金額は大きく変わる

交通事故の被害者は、加害者に慰謝料や休業損害、逸失利益といった損害賠償金を請求できます。
ただし、すべてのケースでその全額を請求できるわけではありません。

被害者にも事故の責任がある、すなわち過失があるケースでは、損害賠償金は過失割合に応じて減額される「過失相殺」がなされます。

たとえば、過失割合が「被害者30:加害者70」だった場合で、被害者の損害額が1000万円だったとします。
この場合、損害額1000万円から被害者の過失割合30%が差し引かれ(過失相殺)、700万円が被害者の請求できる金額となります。

過失割合10%の違いで賠償金が100万円変わることも

ですが、別途、被害者側に「マイナス10%」の修正要素があったらどうなるでしょうか。

過失割合は「被害者20:加害者80」となりますので、被害者が差し引かれる金額は100万円減り(1000万円の「マイナス10%」)、請求できる金額は800万円と、修正前と比較して実に100万円も増加します。

つまり、過失割合で損害賠償金の請求金額は大きく変わってくるのです。

なお、加害者にも損害があった場合には、被害者であってもその過失割合に応じて損害賠償する必要がありますので注意が必要です。

右直事故の過失割合で争点になりやすい信号・道路状況

右直事故の過失割合を決めるうえで争点になりやすいのは、事故時の信号の色や道路状況です。

右直事故の過失割合を決定するにあたっては

  • ドライブレコーダーの記録映像
  • 事故車両・事故現場の画像
  • 目撃者の証言
  • 実況見分調書
  • 信号サイクル表 など

が証拠となります。

しかしながら、一般の方には証拠収集が難しい場合もあります。

その点、弁護士に依頼すると、証拠の収集や選択もスムーズに行ってくれます。
適正な過失割合の獲得のための準備は弁護士に任せて、被害者本人は安心して治療に専念できます。

修正要素に影響するドライブレコーダーの記録映像

前述のドライブレコーダーの記録映像は、修正要素にも大きく影響します。

修正要素の適用を主張する場合には、有利になる側が、修正要素があったことを証明しなければなりません。その点、ドライブレコーダーの記録映像があれば、双方の運転の様子や道路状況などを証明でき、修正要素の有無が争点となった場合でも、客観的な証拠として加害者側に主張することができます。

右直事故の過失割合を弁護士に相談するメリット

右直事故の過失割合は、交通事故に詳しい弁護士に相談するのが得策です。

過失割合を最大限、依頼者に有利に算出してくれる

第一に、弁護士は、依頼者から事故状況を丁寧に聴き取り、過失割合を最大限、依頼者に有利に算出してくれます。

被害が大きくなりがちな右直事故は、過失割合次第で賠償金の大幅増額も

右直事故では、直進車は交差点を早く抜けたいという思いから相応にスピードが出ている場合が多く、また右折車は、タイミングを見計らって一気に右折しようとなりがちなので重大な事故になりやすく、損害は大きくなりがちです。

損害額が大きければ、過失相殺で差し引かれる金額もまた大きくなります。その点、交通事故に詳しい弁護士は、過失割合を被害者にできるだけ有利に算出し、過失相殺で差し引かれる金額を減らすことで、結果的に賠償金を大幅増額できる可能性があります。

被害者に有利な「弁護士基準」での慰謝料算定ができる

また、弁護士は、交通事故の慰謝料算定で被害者に最も有利な「弁護士基準」を用いることができます。

交通事故の慰謝料算定には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つの基準があります。「自賠責基準」は被害者への最低限の補償をする基準、「任意保険基準」は任意保険会社が各社独自に設けている基準で、「自賠責基準」よりは高いものの「弁護士基準」には及びません。「弁護士基準」は、裁判例をもとに慰謝料算定をする基準で、3つの基準の中で最も高く慰謝料を算定できます。

「弁護士基準」を用いてより高額な慰謝料算定をしたいなら、弁護士への依頼がベストです。

保険会社との交渉を任せられる

弁護士に依頼すれば、面倒な保険会社との交渉を任せられます。弁護士は、豊富な法的知識と経験をもとに、被害者の代理人として保険会社と交渉してくれますので、被害者は安心して怪我の治療に専念できます。

まとめ

右直事故の過失割合は、事故時の信号の色や右折のしかたなど、事故状況により大きく変わります。

本記事では、右直事故の基本過失割合をご説明しましたが、基本過失割合で被害者に過失が発生する事故でも、修正要素を主張することで、過失割合が被害者に有利に修正され、得られる損害賠償金が増額する可能性があります。

交通事故に詳しい弁護士は、右直事故の過失割合にも通じていますので、お悩みの場合には弁護士への相談をお勧めします。

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