ドライブレコーダーは交通事故の証拠として役立つ?

ドライブレコーダー

車に取り付けて走行状態や事故状況を録画するドライブレーダーが急速に普及し始めています。従来はタクシーなど運輸業界で交通事故対策や防犯対策で装備するケースが多かったのですが、個人でも自分の車にドライブレコーダーを搭載する向きも増えています。

ドライブレコーダーとは

基本的にドライブレコーダーとは、事故などで車両に大きな衝撃が加わった前後の画像を、時刻、位置、加速度、ウインカー操作、ブレーキ操作などの状況とともに記録する車載カメラ装置です。

様々なタイプがあるドライブレコーダー

近年ドライブレコーダーの機能は高まり、さまざまな機種が販売されています。

前方の画像だけを記録するもの、車内の様子も撮影するもの、後方も撮影できるもの、ドライブレコーダーを搭載していると気づかれないような小型のものなど、自動車テクノロジー進化とともに高性能化、多様化を見せています。

カーナビ機能も搭載されている多機能型、運転時の注意を促す支援型も出てきています。

但し、交通事故の処理。裁判の証拠提出として使用する際には、最低限前方の状態が録画でき、運転状況が記録されていれば問題ありません

価格低下が普及を後押し

ドライブレコーダーの録画方式は、事故による衝撃を感知したのみ画像を残す“衝撃感知型”、常に状況を録画する“常時録画型”などがあります。

外部メモリーを利用して、長時間の記録が可能となる機種も登場しています。

価格面では、数年前は常時録画型で高画質な機種だと50,000円程度の高価なものがありましたが、近年では20,000円ほどである程度の性能をもった機種が販売されています。

従来型の、“衝撃感知型”機能のみといった機種では、10,000円を切るものもあるようです。

ドライブレコーダー活用のメリット

まず、交通事故に遭った場合、起こしてしまった場合の記録が残るということがメリットとして挙げられます。後述しますが、残された画像や運転状況は、証拠として裁判所に提出することも可能です。

そもそもの目的である事故時の画像、運転状況記録の他に、“常時録画型”だとタクシー強盗などの一部始終が録画されますし、事故後に相手方とトラブルや口論になった際の「言った」「言わない」の解決にも有効です。

ヒヤリハットを振り返ることで安全意識向上を

国土交通省などはドライブレコーダーの搭載を事業者などに勧め、事故やヒヤリハット画像を振り返ることで安全意識の向上を高めることを推奨しています。

再現映像や写真、または口頭で事故の様子を説明されても、なかなか心に響くことはありませんが、実際の事故映像や危険なシーンを見せられると、より鮮明に心に残り、安全運転意識が高まることでしょう。

事業者だけではなく、個人ベースでも自分の運転を振り返り「あの時どうしてこの操作をしたのか」「気づいていなかったけれど事故一歩手前だった」などという状況を見て、交通事故を起こさない運転を心がけさせる手段ともなります。

「いつでも録画されている」と思うことによって、運転手の危険な走行の抑止効果も期待されます。

交通事故裁判の証拠として利用が可能

ドライブレコーダーを搭載しておくと、万が一交通事故に巻き込まれたときに非常に役立ちます。

実際の事故映像が記録されていますから、事故の相手が嘘をついて青信号だから交差点に入ってきたと言っても、ドライブレコーダーにはきちんと信号の映像は残っています。従って、訴えの正当性を物的証拠として提出できるわけです。

また、交通事故に遭って自身が救急搬送されてしまった場合などに、警察の実況見分に立ち会うことはできませんので、相手方の主張だけで事故調書が作成されてしまう場合があります。

こういった場合に、ドライブレコーダーの記録画像は重要な証拠として利用することができます。

裁判の証拠にも提出可。交通事故の処理や防犯に最適のアイテム

最新式のドライブレコーダーは画像解像度も高く、裁判の証拠としても通用しますし、警察もドライブレコーダーの搭載を推奨しています。交通事故には巻き込まれないのが一番ですが、不幸にも事故に遭ってしまった場合、こうした録画映像が非常に役立ちます。

ちなみにドライブレコーダーは、偶発的な事故だけではなく、わざと車に接触して慰謝料を請求する“当たり屋”への対応策としても非常に効果があるとされています。

また、走行中以外でも画像を記録しておけるタイプもあるため、車上荒らしや当て逃げ、いたずらなどの防止、被害に遭った場合の証拠としても利用可能です。

自分に不利な映像も録画されてしまうというデメリット

ドライブレコーダーには“自分にとって不利な映像もしっかり記録されてしまう”というデメリットもあります。

運転中にスマホ操作ドライブレコーダーは、ありのままの事故状況を記録しますので、必ずしも自分に有利な映像ばかりが残るわけでなく、自分の車が優先道路に侵入したり、一旦停止を無視して進んだりしたせいで事故が起こってしまった場合でも、その様子はしっかりと記録されてしまいます。

運転状況だけではなく、よそ見をしていたり、携帯電話を使用していたりした場合も、事故に遭ってしまったとしてもこちらの不利な条件となる画像が残ってしまいます。

また、ドライブレコーダーはデジタル記録ですから、意図的な改ざんが不可能ではなく、裁判相手により証拠能力が疑われると主張される可能性もあります。

このようなケースを避けるために、記録画像をそのまますぐに警察や保険会社に提出するのではなく、弁護士などの専門家に相談し、信頼のおける解析業者など、第三者機関の手を借りることが必要となるでしょう。

ただ記録された画像だけだと、天候などによれば画像が不鮮明で事故の詳細が明らかでない場合がありますので、公平な立場で分析が可能な機関の利用をお勧めします。

自分に不利な証拠を提出する義務はない。裁判のテクニック

しかし一方で、交通事故の処理で話がこじれて、裁判にまで発展してしまった場合でも、自分に不利な証拠まで裁判に提出する必要はありません。相手側からドライブレコーダーに残っている画像の提出を要求されても、提出を拒否することは可能です。

前提として、事故直後に警察へドライブレコーダーの画像を提出していないことが必要となります。

専門家の助言を得ることが推奨されます

あまり自慢できる行為ではありませんが、裁判で勝つつもりであればそういう方法もあるということは頭に入れておきましょう。

もっとも自分の非を認め、事態が裁判に発展する前に相手側に譲歩し歩み寄ることも可能ですが、交渉の素人がいきなり高度なテクニックを用いるのは難しいでしょう。やはりドライブレコーダーの記録画像を証拠として交渉、または裁判を行う場合は、弁護士などの専門家に相談したほうが良いでしょう。

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