アンケート調査に見る交通事故経験者344名の本音「ドライバーの5人に2人は初期対応に不安」
交通事故は、思いがけない瞬間に発生するもの。
そして、なんとなく「自分だけは大丈夫」と思っている人も、少なくないはずです。
常日頃から交通事故に備えて万全の事前準備をしている人は、実はあまり多くはないのではないでしょうか。それだけに、いざ交通事故を経験すると、とっさの対応や事後処理に悩むことになるかもしれません。
今回は、交通事故についてのアンケート調査結果をもとに、正しい初期対応について考えてみましょう。
交通事故に関するアンケート
実施:交通事故弁護士相談広場 編集部
回答方法:Webアンケート調査
調査日時:2020年12月18日 ~ 2020年12月26日
調査対象:
[予備調査]全国の20~69歳以下の男女(各1,000名 総計2,000人)
[本調査 ]交通事故(人身事故)経験のある、週1回以上運転している方
回答者数:300人(男性200人 女性100人) / 344人(男性 237人 女性107人)
目次[非表示]
約60%の人が交通事故への初期対応を把握していない
今回のアンケート調査では、まず予備調査として全国の男女 2,000人に免許や運転習慣の有無、交通事故の経験、交通事故に遭った場合の初期対応を把握しているか、調査を行いました。
また、予備調査にご回答いただいた方の中から、交通事故に遭った経験を持つドライバーの方だけを対象に本調査を実施しました。
交通事故(人身事故)に遭ったことのある方は24.5%
今回の予備調査で「交通事故に遭ったことがある」と答えた人は全体の24.5%。2000人のうちの4分の3は、交通事故を経験したことがない方でした。
もちろん「遭ったことはない」と答えた回答者も、今後交通事故を経験する可能性はゼロではなく“これまで経験したことがないから今後も無縁”とは言えないのが、交通事故の恐ろしいところです。
交通事故に遭った際の「初期対応を説明できる」と答えた人は40.75%
次に、「交通事故(人身事故)に遭った場合の初期対応を説明できますか?」という質問には、「説明できる」が40.75%と半数以下にとどまりました。
59.25%、約6割の方は、交通事故に遭った場合にどう対応していいのかを把握しておらず、万一事故に巻き込まれたとしても、どう対応すればいいか自信がない状態のようです。
ドライバーの5人に2人は、交通事故への初期対応をよく理解しないまま運転している
この初期対応に対する質問を「週1回以上運転しているドライバー」に限定して見てみると、交通事故の初期対応について「説明できる」人は56.2%。
日常的に運転している人である分、回答者全体の値より15ポイント以上、上昇しました。
それでも、この数字からは「ドライバーの5人に2人以上」は、交通事故への初期対応をよく理解しないまま運転している状況が見て取れます。
交通事故(人身事故)でケガをした人の3/4 は慰謝料などのお金を受け取っている
予備調査の回答から、
- 運転免許を持っている
- 週1以上、車に乗っている方
- 交通事故(人身事故)に遭ったことがある
つまり、日常的に車に乗っているドライバーで、交通事故(人身事故)に遭った経験のある方 計300人に対して、交通事故に遭った際の経験について本調査を実施しました。
交通事故(人身事故)に遭った人のうち、「慰謝料・治療費・損害賠償などの金銭的な補償を受け取れた」と回答した人は75.67%、一方もらえなかったケースは24.33%となりました。
それなりに多くの方が何らかの金銭的補償を受け取っているようですが、「もらえなかった」と回答した方も24%超はいます。この数字を高いと見るか、低いと見るかは、人によって意見が異なるかもしれません。
交通事故の賠償金は半数近くが30万円未満
では交通事故(人身事故)に遭った人が実際に受け取った賠償金の金額の相場は、どれぐらいなのでしょうか。
% | 総計 | |
---|---|---|
~10万円未満 | 26.43% | 60 |
10万円~30万円未満 | 21.59% | 49 |
30万円~50万円未満 | 15.42% | 35 |
50万円~100万円未満 | 23.35% | 53 |
100万円~200万円未満 | 7.05% | 16 |
200万円~300万円未満 | 3.96% | 9 |
300万円以上~ | 2.20% | 5 |
アンケート調査によると、最多は「10万円未満」(26.43%)。次いで、「50~100万円未満」(23.35%)、「10万円~30万円未満」(21.59%)。
「10万円未満」「10万円~30万円未満」を合計すると、賠償金を受け取れたケースの半数近く(48.02%)は、30万円未満に収まっていることがわかります。
50万~100万に上るケースは約1/4
最多の「10万円未満」の次に「50~100万円未満」の価格帯が多かった点は注目したいポイントです。
治療費や休業損害がある程度でも発生しているなら、50~100万円は現実的に回収を目指せる金額と言えます。
2,500万円の賠償金を受け取ったケースも
この賠償金の金額調査で集まった回答のうち、最高額は2,500万円。
この回答者は、保険会社との交渉を弁護士に依頼していたことをアンケートの中で明らかにしています。
「入院・手術・リハビリに負担を感じた」とも回答しており、事故が原因の休業による逸失利益、後遺障害に対する損害賠償などが膨らんだことで、ここまで高額になったものと考えられます。
交通事故の慰謝料・賠償金の金額は、治療費や通院のための交通費、休業損害、後遺障害などをもとに、決定されます。
事故に遭った直後は、保険会社とやり取りをする精神的・肉体的余裕がない方も多いかもしれません。
弁護士などの専門家の手を借りて保険会社にしっかりと主張することで、より多くの補償を受け取れる可能性は高まります。
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交通事故の解決は、大半の方が保険会社任せ
交通事故の問題を解決するために相談・交渉した相手を問う質問では、自分の契約している自動車保険会社(62.67%)、または相手の自動車保険会社(55.67%)が突出する結果となりました。
保険会社や加害者、警察とやりとりが発生するのは、それぞれ交通事故の直接的なステイクホルダーである以上、ごく自然なことです。
それでも「弁護士」と回答した人は300人中13人と、全体のわずか4.33%にとどまっており、この数字のギャップからは大半の人が交通事故への対応を保険会社に一任している状況が見て取れます。
リスクが大きい加害者との直接交渉
保険会社に次いで多かったのが、「加害者と直接交渉した」(19%)。
加害者と直接交渉した57人のうち、保険会社や警察にも相談しないまま自力で解決しようとした人は23人。そのうち7人は、加害者から金銭的補償を受け取ることができなかったことが明らかになっています。
保険会社、警察など第三者を含めて相談・交渉を行った方 | 加害者と直接交渉のみ行った方 | |||
---|---|---|---|---|
受け取れた | 76.17% | 211人 | 69.57% | 16人 |
もらえなかった | 23.83% | 66人 | 30.43% | 7人 |
「加害者と直接交渉した場合」と「保険会社、警察など第三者を含めて相談・交渉を行った場合」を比較すると、「加害者との直接交渉」では金銭補償を受けられない可能性が約6.6%高まる結果となりました。
自由回答でいただいたコメントの中には
- 示談でいいよねと言われて、頷いた後に逃げられた
といった体験談もありました。
もし事故現場で強引に示談を求められたり脅されたりしたとしても、加害者との直接交渉は非常にリスクの高い行為なので、絶対に避けましょう。
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交通事故を弁護士に相談する人はまだまだ少数派
前述のとおり、弁護士に交通事故の対応を相談した人は、わずか4.33%でした。交通事故後の交渉を弁護士に依頼する人は、まだまだ少ないのが現状です。
人数が少ない一方、相談した方の満足度は非常に高い
しかし弁護士に依頼した13人のうち12人が「弁護士に相談して良かった」と回答しており、依頼した場合の満足度は92.31%と非常に高いものとなっています。
交通事故を弁護士に相談するメリットは金銭面と時間・労力面
アンケート調査の自由回答では、主に金銭面でのメリットと、時間・労力面でのメリットが挙げられていました。
- 「むち打ち症の治療等に期間と時間を使ったのに補償額が30万では納得がいかず、弁護士に相談したら120万に。こんなに違うのかと思った」
- 「費用は掛かったが、適正な金額を得ることができた」
- 「補償が適切かどうかが分かった」
- 「慰謝料を上げてもらえた」
- 「スムーズに解決できた」
- 「自分の労力、時間を割かずに済んだ」
- 「ラクだった」
成果を得る上で重要な弁護士とのコミュニケーション
一方、「不満だった」と回答した1人は、その理由を
- 「自分が伝えたかったことが殆ど伝わらなかったから」
と記載していました。
この回答者は、「金銭的な補償を受けることができなかった」こともアンケート調査で判明しています。
相談した弁護士との相性が悪いと、十分な慰謝料が獲得できない結果にもつながります。自分とコミュニケーションの取りやすい相手か、自分にあった弁護士かという視点も、よい成果を得るために非常に重要なポイントです。
「保険会社の対応」に大きく左右される交通事故の解決
加害者や相手方保険会社の対応に納得できた人は62%。
交通事故の対応は自分または相手方の契約している自動車保険会社にすべて任せていると回答した人が多数を占めていましたが、何のトラブルもなく解決できているのでしょうか。
「交通事故後の加害者や相手方保険会社の対応に納得できましたか」という質問には、「納得できた」が62%、「不満を感じた」は38%。
半数以上は納得できているというものの、不満を感じている人も決して少ないとは言えない、微妙な水準です。
納得できた理由は「相手方保険会社の対応が適切だった」が40%強で最多
前の質問で交通事故加害者や相手保険会社の対応に「納得できた」と回答した方には「納得できた」と言える理由を、「不満を感じた」と回答した方には「不満」を感じた理由を、それぞれうかがいました。
「納得できた」とした62%の人の理由としては、最多が「相手方保険会社の対応が適切だった」(40.86%)。次いで「そもそも被害が軽かった」(21.51%)、「被害に対して十分な慰謝料・金銭補償を得られた」(17.74%)となりました。
- 相手方保険会社の対応
- 被害の程度
- 十分な金銭補償
の3つは、交通事故が解決した時点の満足度に大きく影響するファクターと言えるでしょう。
とはいえ、「相手方保険会社の対応」と「被害の大きさ」はあくまでも運次第、自分でコントロールすることはできません。
「十分な金銭補償」は、弁護士に相談することで慰謝料交渉を有利に進めることができるので、納得の行く解決を目指す上で、被害者側で最も調整しやすい項目と言えるかもしれません。
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交通事故解決で不満を感じる原因は「お金」「保険会社の対応」
「不満を感じた」38%にも理由を聞いたところ、最多は「慰謝料・補償の金額が少なかった」(32.46%)、次いで「相手方保険会社の対応が悪かった」(28.07%)、「解決までに非常に多くの手間・時間がかかった」(14.04%)。
受けた損害に対して十分な金銭補償が得られるかどうかは、やはり交通事故に遭った方にとって最大の関心事であることがわかります。
金銭補償の満足度とは別に「相手方保険会社の対応が悪かった」が2位だったことから、保険会社とやり取りする中で何らかのネガティブな思いを抱いてしまった方も少なくないことが伺えます。
交通事故で負担になるのは「加害者側とのやりとり」「仕事への支障」
交通事故に遭ってから問題が解決するまでに、日常生活のどんな点に負担を感じたかをうかがったところ、最も多かったのは「加害者側とのやりとり自体のストレス」(33.33%)でした。
以後は、「仕事への支障(欠勤・効率悪化など)」(29.67%)、「家族や家庭への負担(家事・育児など)」(15%)と続きます。
アンケート調査の自由回答では、交通事故後に体験した負担やトラブルの具体例として
- 「医師にしたがっての治療中なのに、保険会社から嫌がらせの電話をかけられた」
- 「通院と数年間の後遺症」
- 「入院期間が長期間で、ストレスになった」
- 「車が全壊したので、予期せぬ買い替えをしないといけなくなった」
- 「家族間の仲が悪くなった」
などの意見が寄せられました。
交通事故に遭うと、自動車や自分の心身が傷つけられて辛い思いをするだけでなく、
- 事故がなければやる必要のなかった対応や手続きが発生すること
- 仕事や家庭など、いつもの日常生活が崩れること
など、日常生活の様々な面に派生的な損害をもたらすことになります。
まとめ
今回のアンケート調査結果からは、交通事故の解決において、被害者が直面する事態として
- 慰謝料・賠償金など金銭補償の問題
- 加害者や保険会社とのやりとり・対応
の2点が問題となりやすいことがわかりました。
交通事故被害者が委任することで、適正な慰謝料・賠償金を求める加害者との交渉を、まるごと対応できる弁護士は、まさに、こうした交通事故被害の問題を直接サポートできる存在です。
弁護士に交通事故後の対応を依頼するのは高額な費用がかかるのではないかと心配になる人は少なくありません。しかし、実際には、弁護士に対応を任せることが、受け取れる慰謝料・賠償金をアップさせることにつながります。
また、加害者側や保険会社とのやり取りはすべて弁護士が代わりに行ってくれるため、前述のようなストレスや負担を感じることもなくなるでしょう。自力で手続きを行うよりも、スムーズに解決する可能性があります。
しかしながら、交通事故に遭った際に、弁護士へ相談する人はまだまだ少ないのが現状のようです。
交通事故弁護士相談広場は、交通事故被害者の方の負担を少しでも軽くすることをポータルサイトとしての使命と考え、被害に遭った際に取るべき対応や課題をわかりやすく解説していくとともに、今後も交通事故の問題解決には弁護士への相談が有効であることを、皆様にお伝えしてまいります。
交通事故に強い【おすすめ】の弁護士に相談
交通事故一人で悩まずご相談を
- 保険会社の慰謝料提示額に納得がいかない
- 交通事故を起こした相手や保険会社とのやりとりに疲れた
- 交通事故が原因のケガ治療を相談したい