路線価方式による宅地の評価方法・計算方法のポイントまとめ

不動産

親族が亡くなったときに、宅地を相続することがあると思います。亡くなった人の財産を相続したら、相続発生時の時価を基準にして相続税が課せられますから、宅地を相続した場合には不動産の評価額を出す必要があります。相続における宅地の評価方法の1つである路線価方式とはどんな方法なのかを知っておきましょう。

市街地の宅地は路線価方式で評価する

相続財産の中に不動産が含まれている場合には、相続税を計算するために、不動産を適切に評価する必要があります。不動産のうち、土地の価格については、「一物五価」あるいは「一物四価」と言われるように、複数の評価額が存在します。

相続における宅地の評価方法には2種類ある

相続における宅地の評価方法は、「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。どちらの方式を使うかは、国税局によって地域ごとに定められているので、分からないときは税務署の資産税担当者に相談するとよいでしょう。
なお、ここでいう宅地とは自宅の敷地に限らず、事務所、店舗、工場などの事業用の土地も含みます。

路線価方式とは

路線価(相続税路線価)とは、道路(路線)に面する宅地1平方メートルあたりの評価額です。市街地の宅地については路線価が定められていますから、路線価方式を採用します。

倍率方式とは

固定資産税評価額に国税局長が定めた一定の倍率(評価倍率)を掛けて評価する方法です。
路線価が定められていない地域の宅地については、倍率方式で評価します。

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路線価方式による宅地の評価額の計算方法

各地域の路線価は、路線価図という地図に記載されています。路線価方式で宅地を評価する場合には、まず路線価図でその宅地の路線価を調べる必要があります。

路線価は毎年変わる

路線価は、毎年1月1日を基準日として国税局長が決定し、その年の7月上旬に公表されます。路線価の水準は、その年の公示価格の80%となっています。
路線価は、相続税のほか、贈与税や地価税の課税標準算出の基礎として使われます。

路線価の調べ方

路線価図は各税務署で閲覧できますが、国税庁のホームページにも「路線価図・評価倍率表」が掲載されています。インターネットで簡単に調べられますので、必要な場合はご自身で調べてみるとよいでしょう。路線価図では宅地が面した道路上に「1,240B」のように金額が表示されていますが、数値は1平方メートルあたりの路線価額(単位:千円)、アルファベットは借地権割合(※借地権の評価額を求める際に使用)になります。

路線価による評価額の計算方法

路線価は1平方メートルあたりの価格ですので、これに面積をかけて宅地の評価額を出します。たとえば、路線価が10万円で宅地の面積が100平方メートルの場合には、評価額は

10万円×100平方メートル=1000万円

となります。

路線価方式では補正を加えて適切な評価額を求める

上記は路線価方式の最も単純なケースの計算方法になりますが、土地というのはそれぞれ個性がありますから、実際には路線価をもとに画地調整という形の補正を行うことが多くなっています。

補正に使われる画地調整率とは

路線価方式では、路線価を基礎として、宅地の奥行に応じた「奥行価格補正率」や、宅地の道路への接し方によって適用する「側方路線影響加算率」「二方路線影響加算率」などの画地調整率を使って評価額を算出します。これらの画地調整率は、その宅地が存在している地区区分(ビル街地区、普通住宅地区など)ごとに定められています。

具体的な計算は専門家に相談を

路線価方式により土地の評価額を計算する場合、実際には土地の形状等の判断が難しく、簡単に評価額が計算できないケースがあります。相続における宅地の評価額を計算する場合には、弁護士、税理士等の専門家に相談することをおすすめします。なお、路線価は毎年変わるため、相続が発生した時点で正確に計算してもらうようにしましょう。

土地の形状等により評価が下がる場合

画地調整

路線価は、面している道路に応じて一律に設定されているものです。しかし、実際には土地の価格は土地の形状や奥行などの影響を受けます。そのため、路線価方式では、宅地の評価額を算出する際に、路線価に修正を加えて評価額を下げる場合があります。これを画地調整といいます。 

奥行による補正

宅地の奥行(道路からの距離)が長かったり短かったりする場合には、と利用しにくい土地となりますから、その分評価は下がります。その地域における標準的な宅地の奥行に比べて長い、あるいは短い場合には、その宅地の路線価に「奥行価格補正率」をかけて補正を行い、評価を減額します。

奥行価格補正率の調べ方

奥行価格補正率は、国税庁ホームページの「奥行価格補正率表」で調べることができ、ビル街地区、高度商業地区、繁華街地区、普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区、中小工場地区、大工場地区といった地区区分と、奥行距離によって率は変わってきます。

奥行価格補正率を使った評価額の計算方法

1平方メートルあたりの路線価が10万円、奥行価格補正率0.99、宅地の面積が100平方メートルの場合の評価額は、

10万円×0.99×100平方メートル=990万円

となります。

その他の補正

 
画地調整では、上記以外に、以下のような補正を加えることがあります。それぞれの補正で使われる補正率は、国税庁のホームページから確認できます。

不整形地補正率

正方形や長方形のような整形な地形の土地と比較して、いびつな形になっている宅地については、不整形地補正率を使って補正を行い、評価額を減額します。

間口狭小補正率

間口の狭い宅地については、間口狭小補正率を使って、評価額を減額します。
間口が狭い土地は使い勝手が悪いため評価は低くなりますが、商業系の土地の場合は狭くても利用価値がある場合も多いので減価率は少なめになります。

奥行長大補正率

間口が短く奥行が長い宅地については、奥行長大補正率により、評価額の減額を行います。
間口が狭い土地と同様、奥行きが長い土地は不整形地の一種と捉え、不動産市場における価値は標準より劣ってしまうのです。

がけ地補正率

がけ地の場合、通常の宅地の用途を供しません。
そのため、がけ地を含む宅地については、がけ地補正率を使って補正を行い、評価額を減額します。

角地など評価が上がる場合

角地など2つ以上の道路に面している宅地の場合には、利用価値が高く、通常よりも評価が上がることになります。このような宅地の場合には、路線価にもとづき、評価を増額する補正を行うことになります。

角地・準角地の評価額

角地・準角地では、2つ以上の路線価があることになります。このうち、奥行補正後の価格が高い方の路線価を「正面路線価」、他方を「側方路線価」とし、正面路線価を基礎としながら側方路線価の影響を加算する形の補正を行います。

角地と準角地の違い

2つの道路に囲まれ、2方向に抜けられる土地(十字路やT字路に面している土地)を角地といいます。準角地とは、2つの道路に囲まれているけれど、1方向にしか抜けられない土地(L字になった道路に面している土地)のことです。

角地・準角地の評価額の計算方法

正面と側方に道路がある角地の評価額は、奥行補正後の正面路線価を基礎とし、奥行補正後の側方路線価に「側方路線影響加算率」をかけた額を加算します。計算式は次のとおりです。

(正面路線価×奥行価格補正率)+(側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率)

側方路線影響加算率の調べ方

国税庁ホームページより、「側方路線影響加算率表」を閲覧して調べることができます。なお、側方路線影響加算率は、地区区分によって異なっており、角地と準角地でも異なっています。

2つの路線にはさまれた宅地の評価額

正面と裏面に道路がある宅地は、角地とは違いますが、角地と同様利用価値が高く、評価も高くなります。このような2つの路線にはさまれた宅地の場合には、奥行補正後の価格が高い方の路線価を「正面路線価」、他方を「裏面路線価」とし、正面路線価を基礎としながら裏面路線価の影響を加算する形に補正を行います。

二方路線影響加算率を使った評価額の計算方法

2つの道路にはさまれた宅地の場合、奥行補正後の正面路線価を基礎とし、奥行補正後の裏面路線価に「二方路線影響加算率」をかけた額を加算することになります。計算式は、次のとおりです。

(正面路線価×奥行価格補正率)+(裏面路線価×奥行価格補正率×二方路線影響加算率)

二方路線影響加算率の調べ方

国税庁ホームページの「二方路線影響加算率表」を閲覧して調べることができます。二方路線影響加算率は、地区区分によって異なります。

相続手続きの際には、宅地を適切に評価しなければ、相続税の計算を誤ってしまいます。相続税には相続開始から10ヶ月という期限がありますから、相続財産の評価は迅速に行う必要があります。宅地を相続した場合には、早めに遺産相続に強い弁護士に相談し、アドバイスを受けるようにしましょう。

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