自動車・宝飾品・骨とう品などのコレクションの評価方法は?
自動車や宝飾品、書画、骨とう品などはすべて一般動産とみなされます。しかし、ものによっては財産評価の仕方が異なるため、それぞれの遺品についてどのように評価額を決定するのかを把握しておくことが大切です。財産として評価するものや評価方法について不明な点があるときは、遺産相続に強い弁護士に相談しましょう。
一般動産ってどんなもの?
動産というと、何をイメージするでしょうか。動産とは、不動産以外のあらゆるものを指します。電化製品から自動車、宝飾品、機械、ペット、書画、骨とう品などが、動産と呼ばれるものです。
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一般動産とは
遺産相続では、動産も相続財産になり、相続税の対象としてカウントされます。では、動産はどのように評価額が決定されるのでしょうか。
一般動産って何?
一般的に、形あるものすべてがこの一般動産となります。著作権や特許権等の形を持たない無体財産権は動産には該当しません。また、電車・バスなどの乗車券やコンサートのチケット等の無記名債権は、そのまま流通させられるため動産となります。
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評価方法とは?
財産評価に関する通達では、動産の評価方法は一般動産やたな卸商品等、牛馬等、書画骨とう品、船舶と5つの区分に分けて定められています。原則としては、その物の実際の取引価格である売買実例価額、専門家の意見を参考にした精通者意見価額を斟酌して、一般動産の評価額を決定します。
売買実例価額、精通者意見価額が明らかでない場合
ものによっては売買実例価額、精通者意見価額がはっきりわからないこともあるでしょう。その場合は、同じような商品の小売価額から、その動産の製造時から相続が発生した日まで期間で算出される償却費の合計または減価の額を引いた金額が評価額となります。
償却費
主に事業用の一般動産の評価額を計算するときに使用される償却費は、一定の決まりに従って算出します。その計算方法について知っておきましょう。
償却費とは
償却費とは、長い年数にわたって使うものは一括で支払わず、支払い年数に応じて一年ごとに費用を支払うとの考え方から生まれたものです。この一年ごとに分割された費用が償却費となります。
耐用年数の考え方
償却費を算出するときには、耐用年数を考慮して計算します。耐用年数とは分割する年数のことです。たとえば、6年にわたって費用を分割して支払う場合、耐用年数は6年となります。耐用年数は、耐用年数省令であらかじめ決められています。
定率法による減価償却費の計算の仕方
償却費を計算するとき、償却費を一定の割合で減らす「定率法」と呼ばれる方法を用います。定率法は以下の方法によって計算します。
未償却残高とは、まだ償却していない残高のこと、償却率とは一定の割合の数値のことを言います。
家財道具・自動車・宝飾品類の評価方法とは
一般動産の中でも、家財道具や自動車、宝飾品類の評価方法について見ていきましょう。それぞれで評価方法は異なります。
家財道具の場合
一般動産は家具・家電製品から洋服までさまざまなものがありますが、1点ずつ評価するのは大変なので、一定の金額を境に個別に計算するか、一括で算出するかに分かれます。
1単位の価額が5万円以下のもの
動産は原則として1個もしくは1組ごとに計算します。しかし、少額なものについては1点1点計算すると計算が煩雑になるため、5万円以下のものはひと世帯一括で「家財一式」いくらと評価することになっています。
1単位5万円以上のものは
大型テレビやパソコン、高級ソファーなどは1点で5万円を超えることが多いでしょう。これらのものについては、原則として売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価額を決定します。しかし、上記の売買実例価額や精通者意見価格等が不明な場合には、同じような製品の相続開始時期における小売価額から相続開始時期までの償却費を差し引いて計算します。
自動車の場合
自動車については財産評価に関する基本通達に特に決まりがないため、家財道具などとお同じような評価の仕方をします。
売買実例価格を参考にする
まず原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価します。売買実例価額は車種や年式、事故歴、走行距離などを勘案して、同程度の車の買取価格を参考に決定します。中古車の場合はインターネット見積で出してもらった金額を採用すると便利です。
相場がわからないとき
相場がわからない場合は、同じような製品を新品で購入したときの価格から減価償却した額を引いて算出することもあります。また専門家に意見を求める「精通者意見価格」で算出する場合もあります。
貴金属・宝石の評価方法とは
貴金属や宝石類は、評価の仕方が少し難しくなっています。基本的には時価で計算しますが、宝石は販売店によって価格が異なるため、専門家に鑑定してもらって評価額を出す方法もとられます。
基本的に時価で算出
貴金属の場合、毎日小売価格がはっきりわかるので評価額はすぐに算出できます。一方、宝石の場合は基本的に時価だが一概に金額は出せません。例えば、ダイヤモンドは評価する基準の4C(カラット、クラリティー、カラー、カット)によって品質と価格が決められています。ただし、宝飾店では販売会社のブランドや人件費、在庫管理費、広告費などが上乗せされるため、店によって価格が異なります。
専門家による鑑定で判断することも
相続財産に宝石がある場合は、実際に市場で販売されている価格(売買実例価格)だけでなく、宝石の専門家による鑑定で出す価格(精通者意見価格)も合わせて評価額を検討することになります。
書画・骨とう品の評価額はどうなる?
被相続人が所有している高級な書画や骨とう品も、当然のように相続財産になり、課税対象となります。基本的には鑑定によって相続財産としての評価額が決定しますが、場合によっては一般動産に含める場合もあります。
販売者が有する場合
を販売業者が所有している書画や骨とう品については、財産評価に関する基本通達上、たな卸商品などと同じ扱いとなります。
たな卸商品などと同じ方法で評価する
販売業者が書画や骨とう品を所有している場合は、たな卸商品等と同じように評価額を決定します。この評価方法では、商品の内容で区分分けがなされており、それによって評価の仕方を決定することになります。
帳簿価額が利用できる
販売業者等が所有している書画や骨とう品の評価額を計算する場合は、その業者が確定申告の際に計算した評価額を用いて価値を評価することができます。帳簿上の価額がそのまま適用できるため便利です。
個人が所有する場合
個人が所有する書画や骨とう品の場合は、業者が所有する場合とは異なる方法を使って評価額を算出します。
売買実例価額または精通者意見価額等で決定
書画・骨とう品がどこかのお店で購入したものである場合はその購入金額、それ以外の場合には、同じような品物が売買されるときの価額や買取業者による見積価額を参考に、評価額が決定されます。また、美術商を営んでいる著名人や美術倶楽部等に鑑定をしてもらって評価額を出すこともあります。
家財道具に含めて計算されることも
売買実例価額や精通者意見価額等で評価された金額が10万円以下の低額となる場合には、書画・骨とう品としての評価は行わず、家財道具一式に含めて評価額を決定します。
相続税を計算するためには、土地や家などの不動産だけでなく、上記のような動産についても財産としての評価額を計算しなければなりません。スムーズに相続税の支払いをすませられるよう、必要があれば鑑定に出すなどして、遺品の評価額をきちんと算出することが大切です。財産評価の仕方について不明な点があれば、遺産相続に強い弁護士に相談することをおすすめします。
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