相続税の修正申告とは?ペナルティはかなり厳しいのでお早めに
相続税の修正申告が必要なケース
相続税の修正申告はなんと1年間に申告されたうちの8割の案件で行われていて、申告漏れしていた財産は何と3942億円にも及びます。意図的に隠ぺいしていたというケースは論外ですが「こんなものまで修正申告の対象になるの?」と思うようなケースもよくあります。
修正申告を100%防ぐことは難しくても事前に注意できれば申告の精度は大きく高まります。
隠し財産が見つかった
これはよくあるパターンです。相続税を申告した後に隠し財産が見つかる場合、または遺産分割協議が終わって見つかったお金を申告しないで放置しておく場合などがあります。このような場合はすぐに修正申告を申し出ることが大切です。
時には税務調査を経て隠し財産が発見されることもありますが、申告漏れに正当な理由があればペナルティを課せられません。
ばれないところに置いてあった現金
タンス預金やへそくりというものはいつも巧妙に隠されているものです。預金通帳が隠されている場合もあります。本人が忘れていることさえあるのが厄介ですね。
誰も知らなかった土地
税務調査で初めて知らない土地の所有を知ることになる。そんな場合もあります。権利書は残さず確認しましょう。
ゴルフ会員などは要注意
ゴルフ会員権のように、死亡や退会を通してお金が返ってくるサービスに加入している場合はそのお金も相続税の計算に入ります。
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財産の価値を間違えた
財産はすべて申告したけれど、財産の価値を間違えた場合は修正申告の対象となります。
不動産評価額の間違いはプロでも起こります
不動産は相続税財産の中でもウェイトが大きく、現金や動産と違って評価額の出し方が複雑です。家も建てられなさそうながけ地であってもしっかりと評価しなくてはいけません。土地の相続税評価額は時価に伴うのですが、税理士に依頼した場合であっても評価額にばらつきがみられます。
“価値のないもの”と勝手に決めつけていませんか?
相続税の計算においてある財産を「価値がなさそうだから無視」することはご法度です。あなたにとって価値がなくても市場価値は存在するからです。
例えば骨董品。被相続人が買い集めていたということはもともと値段がついていたものです。他にも、趣味で集めていたものはすべて相続税計算の対象となりますから要注意です。
場合によっては数10万や100万円超の価値を持つこともあります。
有価証券のように知らない人にとっては財産かどうか迷ってしまうものもあるでしょう。基本的には被相続人のものや契約書には手を付けないのが賢明です。
「まさかこんなものまで!?」と思うものほど落とし穴があります。
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財産を意図的に隠していた
財産を意図的に隠している場合は、当然修正申告の対象となります。「ちょっとくらいなら…」と魔が差すこともありますが、税務署は不正を嗅ぎ取ります。
不正は重罰につながります。
一方、税務署から指摘される前に修正申告を申し出れば加算税を免れることができます。
法律を誤解していた
相続税に関する法律を誤解していることも申告ミスにつながります。「こんなはずじゃなかった」を防ぐために弁護士と一緒に相続性申告を行いましょう。
生前贈与は亡くなる3年前までに
よく、相続税の課税を安くするために生前贈与に頼るケースが見られます。ここで注意したいのが亡くなるまでの3年は生前贈与ができないという点です。正しくは被相続人が亡くなるまでの3年間で相続人に対して贈与された財産が、相続財産に合計されます。すでに払っている贈与税は相続税と相殺されます。なお、贈与契約そのものは有効です。
たとえ生活費や教育費を月に数万円もらっていたという場合でも相続財産として計算しなければいけないので、もらったお金はしっかり記録しましょう。
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相続にはいくつかの特例があります。
相続税の課税対象からは3000万円+配偶者の数×600万円が基礎控除として引かれます。その他、1億6000万円以上の控除を受けられる配偶者控除、20歳未満の方に適用される未成年控除などがあります。また、土地はお金がかかるため土地の評価額を最大80%まで減額して計算できる小規模宅地等の特例も利用したいところです。
しかし、これらの控除や特例にはいくつかの条件が設けられていますし、基礎控除との併用も制限されています。一つ一つ制度を知っているだけでは正しく相続税を減らせません。
分割の仕方が変わった
最後に遺産分割の方法が変わった場合に修正申告が必要となります。相続税の申告は被相続人の死亡から10か月以内に行うのですが、その間に遺産分割協議がまとまらないケースは珍しくありません。その場合は、相続の仕方が決まっていない状態で申告してしまいます。
その後、遺産分割協議が終わったら改めて修正申告をします。
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相続税のペナルティは厳しい延滞税・加算税!
相続税の申告をミスするとペナルティが課せられます。特に意図的に相続財産を隠していた場合や、申告が遅れた場合はペナルティが大きくなります。以下で、詳しく紹介しますが相続財産は絶対に隠さないこと、未知の財産が見つかった時もすぐに申告することを心得てください。
結論を申し上げれば、無申告よりは過少申告の方がペナルティが少なく、延滞もデメリットしかありません。
過少申告加算税
期日通りにしっかり申告したのに評価額の違いや、隠し財産の発覚などで相続税の支払いが少なかった場合、修正申告を行います。税務調査の通知が来る前に気付いてすぐに行動すればペナルティの対象となりません。
税務調査の通知後に対応した場合は追加納付額の5%が、税務調査後の支払であれば追加納付額の10%が加算されます。
税務調査の通知後にペナルティが重くなるのは「税務調査が入るなら何かあるかもしれない」と思っていたのに行動しなかったからです。この状態を更生の予知と言います。
延滞税
相続税の納付期限を過ぎても税を納めなかった場合に延滞税が加算されます。納付期限から2か月以内であれば年利7.3%、納付期限から2か月超の場合は年利14.6%が原則となります。ただこの数字はあくまで原則で、実際に支払う額は毎年の変動があります。
修正申告の場合は?
修正申告の場合は修正申告をした日以降の納税を延滞として扱います。税額の変動は通常の延滞税と一緒です。
無申告加算税
無申告加算税は延滞税と違い期限までに「申告書を提出しなかったこと」を理由に課せられるペナルティです。つまり、納付の延滞かつ無申告という場合は両方のペナルティを課せられます。よって、期限をしっかり守って納税しましょう。
ちなみに、相続税の申告は非課税の場合もしなくてはいけません。
自主的に申告した場合は納付税額の5%に抑えられますが税務調査の通知を受けて納付した場合は10%以上に上がります。さらに、税務調査によって発覚した場合は税額の15%以上になります。
重加算税
重加算税とは故意に申告をしなかった場合や、財産が無いように見せかけた場合に課されるペナルティです。相続法は難しいものですが、重加算税についてはれっきとした悪事に課されるペナルティですから他の税金に比べて非常に重くなっています。
申告書を提出したが、故意に財産を隠したり、証拠書類を偽装した場合は納付税額の35%
申告そのものをせずに財産を隠したり、証拠書類を偽装した場合は納付税額の40%支払います。
しかも、この額に無申告税や延滞税、過少申告税が「上乗せ」されます。
そして、重加算税の要件に当たる行為を繰り返す場合は申告を偽装した場合に45%、申告すらしなかった場合は50%の追徴税を課せられます。
相続税の更生の請求
以上、修正申告の必要性とペナルティの大きさについて紹介してきましたが過少申告がある以上は過大に申告することもあるはずです。もし、相続税を払いすぎてしまった場合は更正の請求を行います。更生の手続きは納税申告書を出した税務署長あてに請求する形で行います。提出書類は請求書及び更生の根拠となる資料(遺産分割協議書や土地の評価額照明など)です。
更生請求が認められる場合は、払いすぎた税金が返ってくるだけでなく還付される分の7.3%が還付加算金としてもらえます。更生の請求は納税申告書の提出から5年以内という期限があるため気づいたらすぐに行動しましょう。
ただし、「更正の請求の特則」があり、相続放棄の取り消しや相続人の廃除の取り消し、遺留分による減殺請求があり返還や弁償すべき額が確定した場合、遺贈に係る遺言が発見された場合や遺贈の放棄があった場合などは、その事実が生じた日から4ヶ月以内に請求します。
相続税の修正申告は放置せず弁護士に相談を!
相続税の修正申告は絶対に放置してはいけません。もし、申告ミスに気付いても放置すればペナルティは増えていきますし、修正申告が遅れた場合も延滞税がかかってしまいます。よって、過少申告の疑いが出た場合はすぐに弁護士に相談してください。
できれば、被相続人の死亡後から弁護士にかかわってもらい最初の納税申告書のミスが少ない状態を作りたいです。弁護士のチェックがある以上まず大きなミスはありませんし、小さなミスで収められれば過少申告加算税を少なくできます。複雑な相続登記を一緒に頼める点も心強いですね。
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