高速道路特有の過失割合について解説|歩行者や落下物に関する事故の場合
高速道路は車両のみが走行可能で、基本的に一方通行で信号もなく、一般道路と比べて事故が発生する確率は低い。しかしスピードが上がるため、いったん事故が起きてしまったら被害は大きなものになる。高速道路特有の過失割合が適用されることにも留意しましょう。
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高速道路特有の交通事故にも基本的な「過失割合」がある
高速道路の過失割合は一般道とは違うケースもある
高速道路とは、自動車が高速で走行するために造られた道路で、高速自動車国道や自動車専用道路が該当します。
東名高速道路や名神高速道路のように、路線名に高速道路が付いているものや、中央自動車道や東北自動車道のように、高速道路が付かないものもあります。これら高速道路では、ミニカーや125cc以下の二輪車、原動機付自転車は走行不可で、自転車など軽車両、歩行者も通行することはできません。
交通事故の発生は少ないが、起これば大事故となる
高速道路では基本的に通行が一方通行となり、交差点や信号もなく、歩行者も歩いていないため、交通事故の発生は少ないとされています。しかし高速道路の名の通り、自動車が走行するスピードは速く、いったん事故が起これば死傷事故を含む大事故になってしまう傾向があります。
快適で走りやすい高速道路ですが、事故が起こりやすいポイントや、高速道路特有の「過失割合」の決め方に注目してみましょう。
高速道路の合流地点における交通事故の「過失割合」
交差点のない高速道路で、交通事故が起こる確率が高い場所のひとつは、合流地点です。一般道から高速道路に進入する時、インターチェンジで他線に移る時、サービスエリア・パーキングエリアから本線に戻る時、車両は必ず合流地点を通過します。
合流地点で事故が発生するのは、単に本線に進入するだけではなく、本線を走る車両と合流してくる車両に速度の違いがあるからです。
合流地点における交通事故の「過失割合」が高くなるのは?
高速道路の合流地点での交通事故において、基本的に過失責任が高くなるのは、本線に進入しようとした側です。
これは高速道路も一般道も同じですが、交通事故の「過失割合」は、同じ車線を走り続けている車両よりも、車線変更をする側の車両の方が重くなる傾向にあります。
高速道路の合流地点で交通事故を起こした車両が自動車同士だった場合
自動車Aが本線に合流しようとし、本線を走行していた自動車Bと衝突してしまった場合、基本的な「過失割合」は(A)70:30(B)となります。これは、道路交通法第75条に次のように規定されているためです。
本線車道に入る場合等における他の自動車との関係
第75条の6 自動車(緊急自動車を除く。)は、本線車道に入ろうとする場合(本線車道から他の本線車道に入ろうとする場合にあっては、道路標識等により指定された本線車道に入ろうとする場合に限る。)において、当該本線車道を通行する自動車があるときは、当該自動車の進行妨害をしてはならない。(抜粋)
一方で、(B)にも本線を走行している際には、合流してくる自動車が確認できることが明らかで、減速したり車線変更をしたりして衝突を避けることが可能とされるため、30%の過失があるとされるのです。
高速道路の合流地点で交通事故をおこした車両が自動車対二輪車だった場合
自動車Aが本線に合流しようとし、本線を走行していた二輪車Bと衝突してしまった場合、基本的な「過失割合」は(A)80:20(B)となります。逆に、二輪車Bが本線に合流しようとし、本線を走行していた自動車Aと衝突してしまった場合、基本的な「過失割合」は(A)40:60(B)となります。
自動車と二輪車の交通事故の場合、「過失割合」においては優者危険負担の原則により、二輪車の方が弱者とみなされ、10%の修正要素が加えられるのです。
進路変更によって発生した交通事故の「過失割合」
たいていの高速道路は走行車線と追越車線に分けられていて、より速度の速い自動車が追越車線を利用することが普通にあります。
一般道とは違い対向車が来ないため、より頻繁に追越が行われていて、進路変更時に事故が起こることがあります。
一般道とは違う高速道路の「過失割合」
高速道路において、自動車Aが走行車線から追越車線に進路変更を行い、もともと追越車線を走行していた自動車Bと事故を起こした場合の基本的な「過失割合」は、(A)80:20(B)となります。
一般道における同様の事故では、(A)70:30(B)となりますが、追越車線は走行車線よりも高速で走行することが普通であるため、進路変更を行う際にはより注意を払わなければならないため、進路変更を行った方に10%の修正要素が加えられるものです。
高速道路での落下物によって発生した交通事故の「過失割合」
前方を走る車両が積載物を道路上に落とし、後続車がそれを避けきれず事故を起こすことがあります。
道路上への落下物は一般道でもよく見られますが、より高速で走行する高速道路の方が事故につながりやすいのです。
高速道路での落下物による交通事故は、後続車に過失責任がある
一般的に落下物が原因となる事故は、後続車の前方注意義務がより重く問われるため、後続車の過失責任が大きくなります。
しかし高速道路においては、道路交通法第75条の10に規定された、自動車の運転者の遵守事項がポイントとなります。
自動車の運転者の遵守事項
第75条の10
自動車の運転者は、高速自動車国道等において自動車を運転しようとするときは、あらかじめ、燃料、冷却水若しくは原動機のオイルの量又は貨物の積載の状態を点検し、必要がある場合においては、高速自動車国道等において燃料、冷却水若しくは原動機のオイルの量の不足のため当該自動車を運転することができなくなること又は積載している物を転落させ、若しくは飛散させることを防止するための措置を講じなければならない。
加えて、高速で走行中に回避行動を取るのは難しいとも考えられるため、落下物が原因となった事故の「過失割合」は、(積載物を落下させた先行車)60:40(事故を起こした後続車)となります。
また、落下物が転がりやすい形状をしているなど、後続車が十分な車間距離を保っていたとしても避けられないと判断される状況、あるいは無謀運転が積載物落下を引き起こしたと見られる場合には、先行車の過失割合はさらに重くなります。
高速道路上での、歩行者との交通事故の「過失割合」
高速道路には、歩行者は進入できません。しかし、故障や事故などのさまざまな理由で自動車から道路上に降り、高速道路上を歩行することは考えられます。
歩行者がどこにいたのかで変わる「過失割合」
高速道路における、自動車と歩行者の交通事故における「過失割合」は、歩行者がどこにいたかで変わってきます。
歩行者が高速道路上を歩行していたり、道路を横断しようとしていたりした場合の「過失割合」は、(歩行者)80:20(自動車)が基本となります。
一方、事故車両や故障車両の付近に歩行者がいた場合になると、(歩行者)40:60(自動車)となります。
本線上に事故車両や故障車両がいることは遠くからでも十分に視認でき、その近くには人がいることが予測されるため、自動車の過失割合が重くなるのです。加えて、自動車の方が速度違反をしていた場合には、さらに過失責任が問われることになります。
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交通事故の「過失割合」は判例を元にした基準
交通事故の「過失割合」は、あくまでも過去の判例を基準とし、保険会社が決める
交通事故の当事者となってしまった場合、保険会社が提示した「過失割合」が正当かどうか確かめようとすると、自身の事故によく似たケースの判例を当てはめてみて確認することになりますが、実際の事故と場所や状況が完全に一致しているわけではありません。
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運転者の技量も違えば、天候や道路状況がまったく同じ事故はあり得ないのです。
交通事故に巻き込まれてしまい、保険会社の示す「過失割合」に納得がいかない場合には、弁護士などの交通事故の専門家に相談し、本当に妥当な割合なのかどうかを確認することをお薦めします。
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