交通事故の過失割合を一時停止のケース別に解説

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西日本綜合法律事務所(弁護士 宮地慎二)

交通事故の過失割合は、被害者と加害者の「過失の度合い」によって決まります。
例えば「一時停止」を無視し事故を起こした場合も、加害者と被害者の過失原因によって過失割合は変化します。

また、事故での過失割合は、損害賠償額を決定する「要」となります。過失割合によって、支払う慰謝料や受け取る慰謝料が変わるため(加害者・被害者双方にとって)今後を左右する重要な役割を担います。

本記事では、交通事故における過失割合を「一時停止のケース」別に解説しましょう。

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交通事故で一時停止を怠った場合の過失割合

交通事故のうち、最も多い原因のひとつに「一時停止の無視」があります。

自動車の運転者は、道路標識の設置された地点(停止線)や交差点の直前では、他の交通の安全を確認するという意味で「一時停止」を行う義務を負います。

一時停止とは?

道路の交通において車両を一時停止させること。交差点や道路標識によって一時停止すべき場所は指定されているが、見通しの悪い場合には危険を防止するため、一時停止をすべきと法令により定められている。
関連法:道路交通法(昭和三十五年六月二十五日法律第百五号)

道路交通法に書かれている通り、一時停止線や標識の有無に関わらず、左右の道路の見通しが悪い場合や交差点の直前では「見通しの可能な地点まで移動し、必要があれば再び停止すべき」ことが、過去の判例(昭和37年2月の名古屋高裁での判例、昭和44年5月大阪高裁での判例等)からも明らかです。

交通事故における過失割合の決め方

交通事故の過失割合とは、事故における「過失の度合い」を比率で示したものです。例えば被害者に一切の非がなく、加害者の一方的な過失による事故には「0対10」の過失割合が定められます。

また双方に同等の過失責任があれば「5対5」の過失割合となり、どちらか一方に重い過失が認められた場合には「8対2」の割合や「9対1」の割合になるなど、過失割合は常に調整され変化します。

なお、自動車の過失割合は、当事者同士が直接話し合う必要はありません。多くの場合、当事者が加入している保険会社の担当者同士が話し合いで過失割合を決定します。

過失割合の修正

保険会社は過去の判例に基づき「基準となる過失割合」を調べ、その後、今回起こった事故の状況に応じて過失割合を修正します。例えば「一方に一時停止の規制がある交差点での事故」について、下のような判例が上がっていたとします。

一方に一時停止の規制がある交差点での事故(判例①)

一時停止規制のある道を運転していたAさんと、一時停止規制の無い道(どちらも信号機が無い交差点)を運転していたBさんが事故を起こしました。

この場合の過失割合は「10対0」ではありません。通常、信号機が設置されていれば、青信号側の過失は0%となり、赤信号で走行をした自動車側の過失は100%になると考えられます。

しかし、信号機が無い交差点での事故は、それぞれの車両が「安全確認を行ったか」で過失割合が変わるのです。

一時停止規制がある場合、道路交通法43条によって、停止線の直前で一旦停止をしなかった点や「交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない」ことに反しているため70%程度の過失になります。

また被害を受けた側も道路交通法36条「交差道路を通行する車両に対する注意義務」を怠ったため30%の過失があると判断され、最終的には「7対3」の過失割合になります。

このような判例から、信号機の無い交差点での事故は、過失割合を10対0にするのは難しく「加害者・被害者側」双方に非があると判断されます。また、今起きた事故の状況に基づき修正を加え「過失の割合」が決定される仕組みです。

保険会社によって優劣や差は無い

保険会社は、過去の裁判例を基準に「過失割合」を決定し、事故の状況に応じて割合を修正を行いますが「過去の判例」という大きな基準があるため、保険会社や担当者によって過失割合が大幅に変わることはありません。

また、裁判例を基準にすることで、加害者・被害者のいずれか一方が「有利/不利」になるということも無いです。

ただし「交渉の優位性」には例外があります。

例えば警察に連絡をせず、当事者同士で問題を解決しようとした場合には「裁判所の判例」という基準も無く、公平な立場で話し合いはできません。

事故相手によっては、保険会社を通さず「示談交渉」を希望するかもしれませんが、警察や保険会社への連絡無しに示談交渉を進めるのは最も危険なことです。

何より(口約束だけでは)相手が何度も慰謝料や車両の修理費用を請求する恐れもあります。交通事故が起こったのであれば、速やかに警察に連絡をし、保険会社に交渉を進めてもらうのがドライバーの責任であり「義務」と言えます。

過失割合の決定は警察ではなく、当事者が決める

過失割合は、当事者(保険会社)の合意で決まるもので、警察が決定する訳ではありません。警察に「事故連絡」をすると、現場の確認と当事者から状況確認を行い、事故の事実が記録されます。

交通事故の事実を証明する書類として「交通事故証明書」がありますが、警察では無く、各自治体の「自動車安全運転センター」が証明書の発行を行います。

なお、交通事故証明書は保険会社が代行で申請・取得をしてくれるため、加害者や被害者が直接、証明書を取得するケースはあまりありません。


(画像:自動車安全運転センター

上の画像は「交通事故証明書」のサンプルです。ここには、事故の発生日時や発生場所、事故発生の事実が記載されているものの、過失割合については一切書かれていません。次項からは、交通事故の過失割合を実際の「判例」を元に紹介していきます。

信号のない交差点で事故を起こした場合の過失割合

同じ程度の道幅の信号のない交差点で事故を起こした場合、争点になるのは「一時停止」をしたのか、しなかったのかという点です。信号の無い交差点を走行する場合、法律上は「左側優先」となり過失の割合も左方優先の比率が定められます。

例えば、東側の通りから西側の通りを走行中の車両Aと、南側の道路から北に向かって走行中の車両Bが交差点(信号なし)で事故を起こした場合、過失割合の基本はAの過失が40%、Bの過失は60%となります。

ただし、上の過失割合は「A車とB社の速度が同程度」の場合であり、Aが減速をせず、Bが減速をした場合は「60:40」に過失割合がひっくり返ります。またAが減速しBが減速しない場合の過失は「20:80」に変わります。

ここで、AとBの過失割合がどのように変化するのか、わかりやすく表にまとめてみました。

表①信号のない交差点で車両が衝突した場合の過失割合
条件 A車(左側優先) B車(非優先)
AとBが同程度の速度で走行していた場合 過失度60% 過失度40%
A減速なし、Bは減速 過失度40% 過失度60%
A減速、Bは減速なし 過失度20% 過失度80%

上の状態(過失割合)が基本ですが、ここからA車とB車の過失状況に応じて修正を行います。

表②過失の状況に応じた修正
条件 A車(左側優先) B車(非優先)
見通しの良い交差点 判例の過失度基準−10% 修正要素なし
夜間の事故 判例の過失度基準−5%  
Aが大型車の場合 判例の過失度基準+5% 修正要素なし
Aに著しい過失がある場合 判例の過失度基準+10% 修正要素なし
Aに重大な過失あり 判例の過失度基準+20% 修正要素なし
Bが大型車の場合 判例の過失度基準−5% 修正要素なし
Bに著しい過失がある場合 判例の過失度基準−10% 修正要素なし
Bに重大な過失あり 判例の過失度基準−20% 修正要素なし

このように、基本の過失割合(表①)から状況に応じ、過失の割合を修正(表②を参照)。事故毎の比率(=過失割合)が決定されます。

交通事故で一時停止を無視した場合の判例

交通事故で一時停止を無視した場合の判例ですが、一時停止をしなかった加害者が100%悪いと決定されるのではなく、被害者が一時停止をしなかった場合や重大な過失・不注意が認められた場合には「過失割合の比率」は逆転する可能性があります。

一例として、過去の判例を見てみましょう。

一方が優先道路である場合の事故(判例②)

優先道路を運転していたAさんと、一般道を運転していたBさんが「信号の無い交差点」で事故を起こしました。

この場合、優先道路を運転していたAさんの過失は10%と少なく、一般道を運転しており安全確認を行ったBさんの過失は90%程度になります。

しかし、優先者を走っていたAさんにおいても、著しい過失や重過失が認められた場合には「10:90」だった比率が、「20:80」や「25:75」「35:65」と修正されます。

結果、Aさんに著しいが認められ、過失の割合は「20:80」に定められました。

なお、事故ごとの具体的な過失割合については、以降の記事で詳しく紹介します。交通事故に関する過去の判例は、国会図書館のデータベースにも保管されているので参考にしてください。

交通事故裁定例集(国立国会図書館書誌ID000000069866)

また、自分が遭った事故の状況から判断するには、事故解決を専門とした「交通事故弁護士」に相談をしてください。

弁護士に依頼をすれば、膨大な判例のデータベースから、事故の状況に応じた過失割合や適切な慰謝料・示談金を計算してくれるので安心です。

一時停止をしたのに事故に遭った場合の過失割合

交通事故で一時停止を無視した場合、加害者・被害者が「どのような状況」で事故に遭ったのかで過失割合は異なります。ケースごとに、過失割合がどのように変化するのか見てみましょう。

信号のない交差点で、片方だけに一時停止規制があった場合の過失割合

信号のない交差点でA車とB車が事故を起こしました。B車には一時停止規制があったものの、A車の側には一時停止規制はありませんでした。

この場合の過失割合を、速度や侵入条件など「条件別」にまとめてみました。

表③信号のない交差点で、片方だけに一時停止規制があった場合の過失割合
条件 A車(一時停止規制なし) B車(一時停止規制あり)
AとBが同程度の速度で走行していた場合 過失度20% 過失度80%
A減速なし、Bは減速 過失度30% 過失度70%
A減速、Bは減速なし 過失度10% 過失度90%
Bが一時停止後に侵入 過失度40% 過失度60%

上の状態が基本ですが、ここからA車とB車の過失状況に応じて修正を行います。

表④過失の状況に応じた修正
条件 A車(一時停止規制なし) B車(一時停止規制あり)
Bの明らかな先入 修正要素なし 修正要素なし
Aが大型車の場合 判例の過失度基準+5% 修正要素なし
Aに著しい過失がある場合 判例の過失度基準+10% 修正要素なし
Aに重大な過失あり 判例の過失度基準+20% 修正要素なし
Bが大型車の場合 判例の過失度基準−5% 修正要素なし
Bに著しい過失がある場合 判例の過失度基準−10% 修正要素なし
Bに重大な過失あり 判例の過失度基準−20% 修正要素なし

表③の判例基準をもとに、それぞれの車両の状況に応じて過失の割合を修正してください。

本項で作成した表を元に(次項から)一時停止と事故の過失割合について、より詳しく見ていくことにしましょう。

一時停止後進入し事故に遭った場合の過失割合

例えば、B車が一時停止線で一旦停止をしたとします。その後、Bは走行を始めますが、突然Aという車両が追突。B車は事故に遭ってしまいました。この場合の過失割合は「40:60」で(前項の表①を参照)A車の過失は60%、B車の過失は40%になります。

ここから、前項の表②を使い「過失状況に応じた修正」を行います。例えば、A車が大型車で衝突しやすい状況にあったのならば、A車とB車の過失割合は「45:55」になります。

同様にB車がスマートフォンを操作しながら運転していた場合や、飲酒運転で判断が鈍っていたため、来る前を避け切れ無かった場合は、過失割合はA車の側に割合が傾きます。

どの事故にも基本となる「過失割合」がありますが、事故の状況に応じて修正を行うのが一般的です。

過失割合の修正方法

  1. 事故の状況をまとめる(どちらが加害者・被害者なのか)
  2. 基本となる過失割合を見る(この場合は40:60)
  3. AとBの過失度に応じて、①の割合を修正する

例えば、③の修正時、Bに重大な過失が認められた場合には、過失割合が「30:70」または「20:80」と変化します。

優先道路で一時停止したが事故を起こした場合の過失割合

優先道路で一時停止をしたが事故を起こした場合の過失割合について、表を作成してみました。この場合、C車は優先道路を走っていましたが、D車は一般道を走っていたと仮定します。

表⑤優先道路で一時停止をしたが、事故を起こした場合の過失割合
条件 C車(優先車) D車(劣後車)
基本の過失割合 過失度10% 過失度90%

上の状態が基本ですが、ここからC車とD車の過失状況に応じて修正を行います。

表⑥過失の状況に応じた修正
条件 C車(優先車) D車(劣後車)
Dの明らかな先入 判例の過失度基準+10% 修正要素なし
Cが大型車の場合 修正要素なし 修正要素なし
Cに著しい過失がある場合 判例の過失度基準+15% 修正要素なし
Cに重大な過失あり 判例の過失度基準+25% 修正要素なし
Dが大型車の場合 判例の過失度基準−5% 修正要素なし
Dに著しい過失がある場合 判例の過失度基準−10% 修正要素なし
Dに重大な過失あり 判例の過失度基準−20% 修正要素なし

優先道路とは、道路標識(406)によって優先指定されている道路のことで、中央線や車両通行帯を設けています。

優先道路と交差する道路を使用する車両には「徐行」が義務づけられています(道路交通法36条第二項)。今回の場合、Dが徐行を怠り事故に至った場合の過失度は高くい一方、優先道を走行するCの過失は少なくなります。

優先道を走るC車は、見通しの悪い場所であっても徐行をする義務は無いものの、道路交通法36条四項によって「安全への注意義務」は必要とされています。

このため、優先道上での交通事故については「10対0」という過失割合は珍しく、Cの過失が無くとも「1対9」の過失割合が定められる可能性が高いです。

関連法:道路交通法(昭和三十五年六月二十五日法律第百五号)

一時停止のない交差点で事故を起こした場合の過失割合

田舎道など信号がない交差点(互いにセンターラインや一時停止線なし)で事故に遭った場合、左側を走っていたE車の過失は原則4割、F車の過失は6割となります。

表⑦信号機がある場所で起こった事故の過失割合
条件 E車(左側優先車) F車(劣後車)
基本の過失割合 過失度40% 過失度60%

ただし、E車とF車の過失状況に過失割合は修正されます。

表⑧過失の状況に応じた修正
条件 E車(左側優先車) F車(劣後車)
見通しの良い交差点 判例の過失度基準−10% 修正要素なし
夜間の事故 判例の過失度基準−5%  
Aが大型車の場合 判例の過失度基準+5% 修正要素なし
Aに著しい過失がある場合 判例の過失度基準+10% 修正要素なし
Aに重大な過失あり 判例の過失度基準+20% 修正要素なし
Bが大型車の場合 判例の過失度基準−5% 修正要素なし
Bに著しい過失がある場合 判例の過失度基準−10% 修正要素なし
Bに重大な過失あり 判例の過失度基準−20% 修正要素なし

事故が起きると「左側優先」という意識から被害者・加害者を決める方も多いのですが、実際の過失割合は基本の割合から「事故の状況」に応じた修正が必要です。

正しい過失割合については、契約している保険会社に相談してください。また交通事故弁護士に相談をすれば、正しい過失割合について説明してくれます(初回相談料無料)。 

一時停止をした相手と衝突事故に遭った場合の過失割合

本記事の表⑤と⑥では、一時停止をしたにも関わらず、事故が起きた場合の過失割合について説明をしました。今回もパターンは同じです。

まず、一時停止をしたのがどちらなのか、早見表からチェックします。そして、基本の割合から(表⑤を参照)事故に応じた過失割合を探し(表⑥を参照)調整してください。

なお、相手と自分の「著しい過失・重大な過失」の見極めが難しい場合は、警察の状況確認と事故の記録に基づき、加害者・被害者の保険会社同士が話し合いの上、正しい過失割合を決めてくれます。

ここでも、保険会社のヒエラルキーは無く、担当者による判断の誤りなどもありません。それぞれの事故は、過去の判例と現在の状況に応じ判定が行われます。このため、自動車保険に加入中の方は安心して、保険会社担当者にお任せしましょう。

話し合いがまとまらず訴訟になった場合も「交通事故弁護士」に相談すれば安心です。保険会社が定めた過失割合によっては、高額な賠償金を求められる可能性があります。

また、あなたが被害者になった場合も、保険会社提示の金額より多く、相手に慰謝料請求できる可能性があります。

このため「訴訟の有無」に関係なく、交通事故でお困りの場合には交通事故の問題解決に強い弁護士に相談しましょう。弁護士に依頼をすれば、希望をする金額が通り、保険会社の言いなりで損をする心配もありません。 

側面衝突の過失割合、一時停止なし(相手が赤信号を無視)した場合の過失割合

G車は交差点で信号待ちをしていました、そこへ赤信号を無視しH車両が追突をし、Gの車両は破損してしまいました。この場合、側面衝突の過失割合は(相手が赤信号を無視)どのように割り当てられるのか見てみましょう。

表⑨側面衝突の過失割合、一時停止なし(相手が赤信号を無視)
条件 G車(追突された側) H車(信号無視)
基本の過失割合 過失度0% 過失度100%

ただし、E車とF車の過失状況に過失割合は修正されます。例えば、信号の変わり目だった場合、H車の過失が90%、追突された側の過失は10%増える可能性もあります。

表⑩過失の状況に応じた修正
条件 G車(追突された側) H車(信号無視)
Gに過失があり、Hの明らかな侵入 判例の過失度基準+10% 修正要素なし
Gの著しい過失 判例の過失度基準+10% 修正要素なし
Gの重過失 判例の過失度基準+20% 修正要素なし
Hの著しい過失 判例の過失度基準−5% 修正要素なし
Hの重過失 判例の過失度基準−10% 修正要素なし

ここでの著しい過失とは、スマホを操作しながらの運転、脇見運転、ハンドルの不適切な操作、ブレーキ操作の不適切、15キロ〜30キロまでの速度超過を指します。

著しい過失と重過失の違い

重過失(じゅうかしつ) 注意義務違反の程度の大きい過失。人が当然払うべき注意をはなはだしく欠くこと。
著しい過失(いちじるしいかしつ) 通常想定されている程度を超えるような過失のこと。

さらに重過失とは、飲酒運転や居眠り運転、無免許運転、信号無視、30キロ以上の速度超過を意味します。

一時停止無視で事故、自転車やバイクに人身被害が出た場合の過失割合

ここまで、車両同士の過失割合について説明しましたが、一時停止を無視し自転車走行中の相手を怪我(人身被害)が出た場合は過失割合ではなく、慰謝料を支払うことになります。

自動車を運転していると、自転車やバイクに乗っていた相手、歩行者を跳ねてしまうことがあります。

信号無視などで相手に重傷を負わせた場合、刑事罰に問われ最悪の場合逮捕に至る可能性があります。

人身被害が出た場合の違反点数

一時停止を無視し交通事故を起こした場合には、人身事故の有無に関わらず免許違反で2点取られます。このほか、被害者の負傷に応じて以下の点数も加算されます。

人身事故(自転車・バイク)を起こした場合の違反点数
被害者の負傷 過失の状況 違反点数
死亡事故 運転手の一方的な過失 20点
死亡事故 相手にも過失があった 13点
全治3ヶ月 運転手の一方的な過失 13点
全治3ヶ月 相手にも過失があった 13点
身体に後遺症あり 運転手の一方的な過失 13点
身体に後遺症あり 相手にも過失があった 9点
全治30日〜3ヶ月未満 運転手の一方的な過失 9点
全治30日〜3ヶ月未満 相手にも過失があった 6点
全治15日〜30日未満 運転手の一方的な過失 6点
全治15日〜30日未満 相手にも過失があった 4点
全治15日未満 運転手の一方的な過失 4点
全治15日未満 相手にも過失があった 3点
建造物破損 運転手の一方的な過失 3点
建造物破損 相手にも過失があった 2点

そして人身事故を起こした場合には、過失運転致死傷罪が成立されます。

元モーニング娘「吉澤ひとみ被告」の判例

2018年には、元アイドルグループに所属していた女性芸能人が交通事故(飲酒運転による人身事故)を起こし世間を騒がせましたが、彼女の場合は道路交通法違反と自動車運転処罰法違反の罪に問われ、判決では懲役2年・執行猶予5年(求刑は懲役2年)を言い渡されました。

酒気帯び状態でクルマを運転した上にひき逃げしたとして、道路交通法違反と自動車運転処罰法違反(過失傷害)で起訴されていた元モーニング娘。の吉澤ひとみ被告に有罪判決が下った。11月30日、東京地方裁判所は吉澤被告に懲役2年、執行猶予5年の判決を言い渡した。Business Journal 2018年11月30日の記事より

ここで人身事故を起こした場合に成立する「犯罪と法定刑」について、まとめておきます。

人身事故を起こした場合に成立する「犯罪と法定刑」
成立する犯罪 法定刑
過失運転致死傷罪 7年以下の懲役または100万円以下の罰金
信号無視運転致傷罪(被害者が負傷) 15年以下の懲役
信号無視運転致傷罪(被害者が死亡) 1年以上の有期懲役

なお信号無視で交通事故を起こした場合、保険は適用されません。また交通事故(人身事故)の場合は、被害者への被害弁償の有無や示談成立の状況によって、起訴されるのか・量刑の判断などが下されます。

交通事故を起こした場合は、速やかに弁護士に相談を行い「示談交渉」を早急に進めてもらいましょう。

信号無視の人身事故で逮捕される場合も

信号無視で人身事故を起こした場合、被害者の負傷や怪我の状態に応じて、過失運転致死傷罪や道路交通法違反、信号無視運転致傷罪によって逮捕される場合もあります。

家族が逮捕されてしまった場合は、速やかに弁護士に依頼をしてください。状況によっては民事上の示談交渉のほか、刑事弁護活動も必要になります。

また逮捕の有無に関わらず(警察や検察の取り調べを受けるよりも早く)交通事故や事件解決に強い弁護士に相談をしてください。手続きが早ければ、示談交渉が成立し逮捕に至らない可能性もあるので覚えておきましょう。

まとめ|交通事故の過失割合は判例と現在の状況で決定される

交通事故の過失割合は、判例と現在の状況(被害者と加害者に著しい過失や重大な過失が無かったか)で変わります。

基準となる判例もありますが、より正しい過失割合を調べるには、保険会社ではなく交通事故弁護士に相談しましょう。「交通事故問題」の解決に強い弁護士に依頼をすれば、重大な交通事故や人身事故についても、適切な方法で交渉できます。

慰謝料や示談だけの問題に限らず、フェアな状況で交渉できるよう、信頼できる弁護士に相談してみてください。

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