熟年離婚の慰謝料相場はいくら?事例や認められた金額などを交えて解説
熟年離婚の慰謝料は「いくら」が妥当なのか知りたいですか? 慰謝料があれば、熟年離婚後も安定した暮らしができますよね。
アナタが配偶者から慰謝料を受け取りたい、または相手から「慰謝料を払って欲しい」と言われているのなら、熟年離婚と慰謝料の仕組みについて知っておくと良いでしょう。
実際に、熟年離婚の原因は「お金」が大きく関係しているといいます。また年金2,000万円問題に絡み、老後の離婚について不安を抱える方の割合は増えています。
本記事では、熟年離婚を検討中のアナタに役立つ『熟年離婚慰謝料の基礎知識』について紹介しましょう。
※ 本記事では、2020年4月より施行される、債権法改正に関する「慰謝料請求の時効」についても詳しく解説しています。
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熟年離婚の事由別の慰謝料相場
ここまで紹介した内容をまとめると、熟年離婚における慰謝料の目安は100万円〜150万円が一般的でしたが、熟年離婚以外の一般的な離婚慰謝料の相場は「50万円〜300万円」程度と言われており、離婚に至った原因や自由によって金額は変わってきます。
参考までに、一般的な離婚慰謝料の相場を「離婚の原因別」にまとめてみました。
離婚の原因 | 慰謝料の目安 |
---|---|
①相手の不倫や浮気が原因の離婚 | 約100万円〜500万円 |
②DV(ドメスティックバイオレンス)が原因の離婚 | 約50万円〜300万円 |
③モラルハラスメントが原因の離婚 | 約50万円〜300万円 |
④悪意の遺棄が原因の離婚 | 約50万円〜300万円 |
⑤セックスレスが原因の離婚 | 約100万円〜300万円 |
①〜⑤の内容と、熟年離婚で慰謝料を請求する流れについて、簡単に解説します。
①相手の浮気や不倫が原因の離婚と慰謝料請求
ある民間企業の調査によると、男性の約33%、女性の約30%が不倫願望を持っていることが分かりました。また男性のうち約26%、女性の約30%が「過去に不倫の経験がある」と回答しています。
画像出典元:浮気願望はありますか?数字でわかる恋愛常識(結婚相談所のサンマリエ)
つまり、男性の約5人に1人、女性の約3.3人に1人が「不倫経験がある」という計算になります。
ここまで不倫が一般化したのには、ドラマや映画によって「不倫は珍しくないもの」と考えられるようになったことも大きく関係しています。
また不倫や浮気が原因の離婚は、熟年夫婦の間でも珍しくありません。
特に多いのが、職場の同僚と不倫をするパターンで、残業や出張の回数が急に増えたり、以前よりも身だしなみに気を使うようになったなどのサインで、配偶者の浮気や不倫がばれるケースが多いとの結果が…!
またある出版社の調査によると、夫の4人のうち3人が、妻の10人のうち3人が不倫経験者というデータも報告されています。
画像出典元:大人の不倫学(相模ゴム工業)
大変衝撃的な数値ですが、夫の浮気は普通のこと。妻の浮気も珍しくない…というのが現状なのです。
とはいえ、信じていた配偶者の不貞行為によって受ける精神的損害の度合いは大きく、ましてや「長年連れ添った」熟年夫婦であれば、心理的ダメージはより一層大きくなります。
実際に浮気や不倫を理由とした熟年離婚の慰謝料請求は(不倫や浮気の期間が長いなどの理由で)高額になる可能性が高いです。浮気や不倫で熟年離婚をお考えの方は、信頼できる離婚弁護士に相談をしてみましょう。
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②DVが原因の離婚と慰謝料請求
2017年の司法統計によると、全国の約1,500組の夫婦が「妻の暴力」を理由に離婚をしており、約10,311組の夫婦が「夫の暴力」を理由に離婚を行っていることが分かりました。
DVドメスティックバイオレンスは、「力の強い男性」だけでなく、女性の暴力が原因で離婚をする夫婦もいるというのは驚きです。
もちろん、上の数値は家庭裁判所に申し立てが行われた件数であり、表に出ていないDVが原因の離婚は、「さらに多いのでは」というのが一般的な解釈です。
参考リンク: 平成29年司法統計19 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 (全家庭裁判所)
なおDVが原因の離婚は、実際に受けた被害(怪我、精神的損害)が立証しやすく、慰謝料請求をすべき事由のひとつです。
慰謝料の目安は50万円〜300万円程度と言われていますが、相手から受けた被害の程度が大きければ数千万円以上の慰謝料を請求するケースも見られます。
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③モラルハラスメントが原因の離婚と慰謝料請求
モラルハラスメントとは、モラルによる精神的・暴力的発言や嫌がらせのことで、一般的には「モラハラ」とも呼ばれています。
こうしたモラハラ夫・モラハラ妻が原因で離婚する夫婦は珍しくありません。裁判所の調査によると(2019年実施)一年で約1万7,000組の夫婦が配偶者のモラルハラスメントを理由に離婚をしています。
ましてや熟年夫婦であれば、性格の不一致だけでなくお互いの嫌な部分が目につき、相手の性格や生活習慣に対して、暴言や嫌がらせをする…というのは珍しいことでは無いのでしょう。
参考リンク:平成29年司法統計19 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 (全家庭裁判所)
モラルハラスメントを事由とした慰謝料請求は、目に見えない精神的損害の度合いを立証する点に「難しさ」があります。
例えば、DV(ドメスティックバイオレンス)の場合は実際に受けた怪我や暴力の被害によって立証が容易になります。
しかしモラルハラスメントの場合は、実際にどのような暴言や精神的被害を被っているのか、録画や音声によって状況を立証していく必要があります。
モラルハラスメントで慰謝料請求を行う場合には、徹底した「証拠集め」が必要です。熟年離婚を検討中の世代は50代〜60代の方が多いのですが、一人で証拠を集めていくのは骨の折れることです。
このため、個人で証拠を集めるのではなく、経験のある離婚弁護士とともに「どのような行動が必要なのか」慎重に手続きを進めていくのが、ベストな方法といえるでしょう。
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④悪意の遺棄が原因の離婚と慰謝料請求
悪意の遺棄(あくいのいき)とは、生活費を家庭に入れない、理由無く別居をするなどの行為で婚姻関係を破綻させる行為のことです。民法770条1項2号に「悪意の遺棄」についての規定があるので見てみましょう。
民法770条(裁判上の離婚)
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
ここでの悪意とは「故意かどうか」が争点となります。
民法第752条には【夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない】という規定がありますが、悪意の遺棄はこの協力や扶助を行わない行為であり、夫婦関係を破綻させようという故意の意志が認められれば、悪意の遺棄として慰謝料の請求が行えます。
熟年夫婦の中には、夫が生活費を渡してくれない、勝手に家を出て行ってしまったなどの問題を抱える人がいます。こうした行為が故意に行われており、夫婦の生活が破綻しており、相手との熟年離婚を考えるのであれば、慰謝料請求を行いましょう。
悪意の遺棄の慰謝料は「約50万円〜300万円」を目安としてください。悪意の遺棄を判断するのが難しい場合、以下の三点が守られているのかどうかチェックしてみましょう。
悪意の遺棄として認められるケース
同居の義務を怠っている
・正当な理由がなく、何度も家を出ている
・不倫相手と同棲している(半同棲状態も含む)
・夫婦での同居を拒否される
・家に帰り辛い状況を強いられる
協力の義務を行っている
・専業主婦(夫)である配偶者が家事を放棄している
・共働きにも関わらず配偶者が家事を手伝わない
・働ける状態(健康)にも関わらず、配偶者に働く意志がない
扶助義務を怠っている
・家庭に生活費を入れてくれない
・別居後、生活費を渡してくれなくなった
・単身赴任後、生活費を入れなくなった
熟年夫婦の場合、仕事のリタイア(退職)をきっかけに別居を行い、生活費を入れなくなったなどのケースも多く見られます。この場合、すでに夫婦関係が破綻していたのであれば、悪意の遺棄に相当しません。
一方、夫婦の合意がない別居、生活費を渡さない、退職金を分与しないなどの行為は、婚姻関係を破綻させる原因であり(故意と認められた場合)悪意の遺棄として慰謝料が請求できます。
退職後生活が困窮しているため、仕事を持つ熟年夫婦も珍しくありませんが、夫婦の一方だけが働き、健康にも関わらず家事を手伝わない、就労をしないなど「扶助義務を怠っている」場合も悪意の遺棄に該当します。
悪意の遺棄かどうか、判断が難しい場合には、離婚を専門に扱う弁護士さんに相談をしてみましょう。
⑤セックスレスが原因の離婚と慰謝料請求
セックスレスが原因で夫婦関係が破綻した場合にも「精神的損害」を理由に慰謝料が請求できます。
ここまで紹介した離婚原因①〜④については「請求できる」と考えられるものの、⑤のセックスレスについては「請求できるのか」不安に感じる方は多いはずです。
なぜなら、日本では円満な夫婦についても過半数以上が、セックスレスの状態にあるからです。
実際に、民間企業の実施した調査(2016年)によると、国内の30歳〜59歳の夫婦(1,000名)のうち約80%が「自分たちは円満夫婦だ」と回答をしたにも関わらず、夫婦関係については全体の約6割が「セックスレスの状態にある」ことが分かりました。
参考リンク:【既婚男女1,000人に聞いた】夫婦愛と頭髪に関する調査2016(アンファー)
これは別の機関(イギリスの民間機関)が世界を対象に調査した中でも、ワースト一位の記録であり、日本の少子化にも大きく関係している数値と言えます。
セックスレスの夫婦が少ない国と多い国
順位 | セックスレスの夫婦が少ない国 | セックスレスの夫婦が多い国 |
---|---|---|
1位 | ギリシャ | 日本 |
2位 | ブラジル | アメリカ |
3位 | ロシア | ナイジェリア |
4位 | 中国 | イギリス |
5位 | イタリア | カナダ |
このため「日本人としては当たり前に感じている」状況であっても、セックスレスを理由に慰謝料請求を請求するのは何らおかしなことではありません。
実際にセックスレスを自由とした慰謝料請求によって、約100万円〜300万円の慰謝料が受け取れる可能性があります(前項、離婚慰謝料の目安を参照)。
もちろん、ここでの金額は「目安」であり、実際に請求を行う離婚慰謝料の金額は、精神的損害の期間や度合い、相手の態度や行動の結果によって異なります。
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熟年離婚の慰謝料が高額になるケース
先に説明した通り、熟年離婚の慰謝料が高額になるケースとしては、相手から受けた精神的損害の度合いが大きな場合が考えられます。下に慰謝料が高額になるケースの特徴をまとめてみました。
- 相手が浮気や不倫を認識しているにも関わらず、付き合いを止めようとしない
- 相手が意図的に自分たちの家庭を壊そうとし不貞行為を行った場合
- 不貞行為が一度では無く、複数かつ長期間に及んでいる
- 浮気や不倫を主導していたのが相手方(配偶者の浮気相手)だった場合
- 不貞行為の事実があるにも関わらず、浮気や不倫を認めない
- 不貞行為によって相手や配偶者が妊娠・出産をした場合
- 浮気・不倫をしない話し合い結果にも関わらず、相手が約束を破った場合
- 精神的損害を行った相手の社会的地位が高く、資力を持つ場合
- 配偶者が浮気相手に金銭を貢いでいた場合
- 自分だけで無く子どもにも大きな精神的損害が生じた場合
上のような場合には、一般的な金額よりも、高額な請求が認められるケースが多いです。また、交渉を行う弁護士の「交渉力」によっても受け取れる離婚慰謝料の額は変わってきます。
このため離婚慰謝料を請求する場合には、離婚問題に強い「離婚弁護士」に相談をするのが一番です。
配偶者の不倫に対し1億1,000万円の損害賠償請求が行われたケース
浮気や不倫の損害賠償請求は、100万円〜150万円が相場ですが、社会的地位の高い人については数千万円〜数億を超える慰謝料が請求されることがあります。
例えば2019年の春、某東証一部上場企業の代表が、自身の不貞行為を理由に妻から1億1,000万円の損害賠償請求を起こされています。
上のケースで高額の請求が行われた背景には、二人の愛人がいること。そして不貞行為に及んだ側に資力があるという理由があるのですが、大企業のトップが起こした不倫は夫婦間だけでなく、創業者一族や株主までを巻き込む一大事件へと発展しました。
参考リンク:東証一部上場「飯田HD」社長「2人の愛人」で1.1億円離婚訴訟(文春オンライン)
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熟年離婚の慰謝料請求は普通の離婚と何が違うの?
熟年離婚の慰謝料請求は、基本的に普通の離婚と同じです。
離婚をするのが婚姻1年目でも35年目でも変わらず、離婚から3年で慰謝料請求ができなくなります。
慰謝料請求の時効
① 慰謝料は配偶者の不貞行為を知った時から3年以内に慰謝料請求が行われなかった場合に時効となります。
② 配偶者と浮気相手の交際が始まった時から20年を除斥期間(じょせききかん)とします。除斥期間とは、一定期間の経過で権利が消滅する制度のことです。
上の通り、慰謝料請求は、3年以内に請求を行わないと時効となります。
また、浮気や不倫の事実を知らなかった場合も、浮気や不倫が始まってから20年を経過すると除斥期間として、慰謝料請求ができなくなります。このため、慰謝料請求を検討中の方は手続きのタイミングには注意しましょう。
熟年離婚と通常の離婚で異なるのは「実際に受け取れる金額」についてです。
詳しい金額の計算方法は、後で説明をしますが、慰謝料請求で受け取れる金額だけでなく、これまで夫婦で築いた財産分与分が加わるので「実際に手にする金額」は変わってきます。
夫婦の婚姻していた年数が浅ければ、築いた財産の金額は少ないのが普通です。
しかし婚姻生活が20年、30年と長く続けば、共有財産も大きくなり、年金や退職金の金額などもより大きくなります。
このため熟年離婚では、財産分与をはじめとする「お金の問題」が切っても切り離せない関係にあるのです。
2020年4月1日より慰謝料請求の時効が変わります
民法のうち債権法の部分で大きな改正が行われました。このため、令和二年(2020年)4月1日より「慰謝料請求の時効」について新たなルールが適用されます。
本記事の前半でも説明をしましたがこれまで、不貞行為や暴力、交通事故などの慰謝料請求には、「被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間の時効が存在します。
また、不法行為の時から20年を除斥期間(じょせききかん)としていましたが、改正後は「被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間、また、不法行為の時から20年間が時効期間」となります。
除斥期間とは「中断できない期間」のことですが、改正法では、より時効の部分が分かりやすく改められたことが分かります。
熟年離婚の慰謝料が請求できるケースと請求できないケース
熟年離婚の慰謝料は、誰でも請求できる訳ではありません。慰謝料とは精神的損害に対して損害賠償を求めることです。実際に、離婚の自由として多い「夫婦の性格の不一致」や価値観の違いなどが原因の場合には、慰謝料請求は認められません。
分かりやすく言えば、相手の不貞行為や暴力などが原因で夫婦関係が破綻した場合には、精神的損害を理由に慰謝料の請求が行えます。
なお、財産以外の損害賠償について、まとめたのが民法710条です。また損害賠償の範囲について述べたのが民法711条であり、損害賠償請求の条件を知るには、この二つの条文を理解しておく必要があります。
民法710条(財産以外の損害の賠償)
他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
民法711条(近親者に対する損害の賠償)
他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。
ここで慰謝料が請求できる理由を「民法710条」と「民法711条」をもとに確認しておきましょう。
民法710条の解説
民法710条では、慰謝料などの精神的損害をはじめ、無形な損害など「財産以外の損害」にも不法行為責任によって損害賠償請求ができることが記されています。
また不法行為による損害賠償については、民法709条を紐解く必要があります。
民法709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
不法行為を行った場合には、債権が発生し損害賠償請求できます。なお、ここでの不法行為とは加害者に対して故意または過失があることが要件となります。
過失(かしつ)
予見できたことに対し、回避義務違反があったことを過失と言います。このため、予見できなかった事柄については、過失責任が生じません。
上に見られる故意や過失の立証は訴える側(=損害賠償請求を申し立てる側)にあります。
民法711条の解説
民法711条に見られる「生命の侵害」ですが、過去の判例により、被害者の父母や配偶者、子ども以外の範囲にも民法711条が認められるようになりました。
例えば、被害者が負った後遺障害が重いことで被害者の家族が重大な精神的苦痛を受けた場合には、民法711条によって損害賠償請求が認められています。
また、被害者の夫の妹が財産権を侵害されたことを理由に、損害賠償請求が認められたケースもあります。
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熟年離婚における慰謝料請求の事例
法律の解釈だけでは「よく分からない」という方のために、実際に申し立てが行われた熟年離婚の慰謝料請求について、いくつかの事例を紹介します。
熟年離婚で具体的事例と認められた慰謝料の金額
事例①
夫が職場の同僚と浮気、浮気相手の女性に慰謝料請求を求めた(結婚歴26年〜30年、子どもあり)
150万円の慰謝料を獲得
事例②
離婚をせずに夫と不倫相手を別れさせたい。損害を与えた不倫相手に損害賠償を請求(結婚歴16年〜20年、子どもあり)
150万円の慰謝料を獲得
事例③
夫に対して執拗にメールを送り、浮気の関係が発覚。相手に対し以降接触しないよう損害賠償請求を求めた(結婚歴26年〜30年、子どもあり)
100万円の慰謝料を獲得
事例④
夫と浮気相手が半同棲生活を送っていることが発覚。離婚はせずに相手側に対し、分かれるよう合意を求め、慰謝料請求も行った(結婚歴26年〜30年、子どもあり)
200万円の慰謝料を獲得
事例⑤
夫の浮気が発覚し、子どもにも精神的損害が見られたため離婚を前提に相手側に慰謝料請求を行った(結婚歴21年〜25年、子どもあり)
150万円の慰謝料を獲得
事例⑥
夫が過去8年にわたり、不倫をしていたことが発覚。相手側に夫と別れることと慰謝料の支払いを求めた(結婚歴26年〜30年、子どもあり)
200万円の慰謝料を獲得
事例⑦
妻が不倫をやめないので、不倫相手の男性に対して「不倫の責任を取れ」と慰謝料請求を行った(結婚歴26年〜30年、子どもあり)
160万円の慰謝料を獲得
事例⑧
夫が職場の同僚と不倫をしていたが、相手が不誠実で話し合いがまとまらず大きな精神的損害を被った(結婚歴16年〜20年、子どもあり)
280万円の慰謝料を獲得
事例⑨
再三の話し合いにも関わらず、夫と不倫相手が別れることなく離婚にも応じないため、夫と不倫相手に慰謝料を請求した(結婚歴26年〜30年、子どもあり)
300万円の慰謝料を獲得
事例⑩
妻が浮気相手によって妊娠させられた上に、離婚をすることになった。相手側に対して強い怒りを感じ損害賠償請求を行った(結婚歴21年〜25年、子どもあり)
400万円の慰謝料を獲得
参考リンク:アディーレ法律事務所(慰謝料請求の解決事例)
このように、一般的な配偶者の浮気や不倫については100万円〜150万円前後、相手の不倫の期間が長い、または離婚の協議に相手が応じない、精神的損害の度合いが大きなケースについては、200万円を超える慰謝料が支払われています。
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熟年離婚の慰謝料で、実際に受け取れる金額
ここまで「離婚慰謝料」に限定し、「請求できる金額の目安」紹介しましたが、実際に受け取れる金額は大きく異なります。
なぜなら、離婚慰謝料に加えて、夫婦で貯めた貯金やお互いの年金、退職金を財産分与した場合(若い世代と比べて)には、受け取れる金額が高額になるからです。
熟年離婚で受け取れる金額(損害賠償を請求した場合)
実際に受け取れるお金 = 損害賠償金 + 夫婦の財産分与で受け取れる金額
離婚の際、慰謝料が発生すれば損害賠償請求に、夫婦の「財産分与」分を加えることで、離婚後に受け取れるお金が計算できます。夫婦の財産は原則として、平等に分けられます。
財産分与の種類
財産分与には、主に精算的財産分与、扶養的財産分与、慰謝料的財産分与の「三種類」があります。
財産分与には三つの種類がある
①精算的財産分与夫婦が婚姻中に形成した財産を精算し分与するもの |
---|
②扶養的財産分与離婚後、困窮する元配偶者を扶養するために財産を分与するもの |
③慰謝料的財産分与相手に精神的損害を与えたことに対し慰謝料を払うなど目的で財産分与を行うもの |
今回取り上げた離婚慰謝料は、③の慰謝料的財産分与が当てはまります。
そして、慰謝料以外の夫婦の財産分与は①の精算的財産分与、②の不要的財産分与が当てはまるのですが、慰謝料請求の無い場合は①と②の合計額が実際に受け取れる金額となります。
一方、慰謝料請求を伴う離婚については、①と②と③の合計額が(離婚後)実際に受け取れる金額になります。
なお、元配偶者から慰謝料請求を受けた場合については、①と②の合計額から慰謝料請求を差し引いて計算をしてください。
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財産分与の対象となるもの
財産分与の対象となるのは、共有の財産です。なお、特有財産と呼ばれる財産については、夫婦での財産分与対象外となります。
特有財産(とくゆうざいさん)とは?
特有財産は、婚姻前から有していた財産や夫婦の協力とは関係なく築かれた資産を意味します。独身中に貯めた預金や婚姻中に相続で得た資産なども、特有財産であり夫婦で平等に分与する共通財産とは分けて考えられます。
なお、年金や退職金、夫婦の貯蓄など資産は平等に分配されるのが一般的です。ただし、分配される財産は「婚姻していた期間」のものであり、婚姻前の資産は含まれません。
また、共有財産には、マイナスの財産も含めます。例えば、住宅ローンやマイカーローン、生活のために借り入れたローンについては、夫婦の共同生活に必要だった「マイナスの資産」であり財産分与の対象となります。
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アナタの熟年離婚の慰謝料の計算方法
ここまで説明をした「慰謝料の目安」に加え、精神的損害の度合いに応じ、あなたの慰謝料(受け取れる金額)を計算してみましょう。
例えば、配偶者の浮気が原因で慰謝料を請求する場合、目安は100万円〜150万円ですが、配偶者と浮気相手に子どもができた場合や、相手が交渉に応じないなどの悪質なケースについては、+50万円〜100万円程慰謝料がアップする可能性があります。
そして、慰謝料請求する相手に「社会的地位」があり資力があれば、相場よりもさらに多くの慰謝料請求が行えます。
熟年離婚の慰謝料を計算する方法
一般的な慰謝料 + 離婚事由の深刻度 + 相手の社会的地位や資力 = 離婚慰謝料
より詳しく慰謝料を計算するには、慰謝料について争われた「過去の裁判例」や判例が厄に立ちます。
参考リンク:慰謝料算定の実務(千葉県弁護士会/編集)
ただ、素人が判例をもとに慰謝料を計算するのは難しく、より細かく慰謝料を計算するには、離婚弁護士に相談をするのが最も簡単で確実な方法です。
熟年離婚でいくら慰謝料が請求できるのか、気になる方は信頼できる弁護士さんに相談してみてください。
熟年離婚の慰謝料で良くある質問5つ!
ここからは、熟年離婚をするにあたって「良くある質問」をまとめてみました。熟年離婚を決意する前に、分からないことはスッキリ解決しておきましょう。
熟年離婚の財産分与には、どのような方法があるの?
本記事では、熟年離婚の財産分与は主に三種類あると説明をしました。一つ目は夫婦が婚姻中に形成した財産を精算し分与する「精算的財産分与」です。
二つ目は離婚後、困窮する元配偶者を扶養するために財産を分与する「扶養的財産分与」があり、三つ目には相手に精神的損害を与えたことに対し慰謝料を払うなど目的で財産分与を行う「慰謝料的財産分与」がありました。
このほかにも、過去の生活費の未払い分を精算する財産分与があります。
最も一般的な財産分与は、精算的財産分与です。家や土地などの不動産資産、自動車、預貯金、保険、家財道具など夫婦で築いた資産は(配偶者のどちらかが専業主婦、専業主夫であったとしても)原則として公平に財産を分与します。
二つ目の扶養的財産分与は、離婚後いずれかの配偶者が生活で困窮しないよう、一定の生活水準が維持できるまでは、扶養を行う財産分与の仕組みです。熟年離婚の場合、就業が難しいケースや持病によって就業できないなどのパターンは多く見られます。
この場合、相手の生活が維持できるよう「資力」のある配偶者が元配偶者を支える義務が生じます。
三つ目の慰謝料的財産分与については、本記事で詳しく紹介したため説明を省きます。
そして四つ目の「過去の生活費の未払い分を精算する財産分与」ですが、婚姻期間中夫婦のどちらかが受け取っていない生活費、支払われていない生活費がある場合、未払い分を精算するという財産分与の方法があります。
本記事「悪意の遺棄が理由の離婚」において、詳しく説明をしましたが、夫婦の生活を扶助する意志がなく、相手に対して未払いの生活費があるのならば、支払わなかったことを事由に慰謝料を請求できます。
なお過去の未払い分を精算するには、裁判所が作成した「婚姻費用の目安」をもとに、未払い分の生活費を求めましょう。
参考リンク:養育費・婚姻費用算定表(裁判所)
熟年離婚で退職金はどうなる?
熟年離婚などの区分なく、退職金は財産分与の対象となります。ただし、退職金は退職後に支払われるため、「退職金の支払いが確実である」という場合でなければ、財産分与は現実的ではありません。
例えば、退職金の支払いが何十年も後という場合には、会社の就業規則(退職金支給規定)や支給実態を目安に退職金の算定を行います。
ただ、定年まで確実に「就業できるのか」どうか判断が難しい場合も多く、退職金の支払いが未だの場合には財産分与されないパターンが大半を占めます。
退職金の財産分与が「可能かどうか」判断の目安
退職金が既に支払われた⇒ 財産分与の対象になりやすい |
---|
あと数年で、退職金の支払いが行われる⇒ 就業規則などをもとに算定が行われる |
退職金の支払いまで、まで数十年かかる⇒ 財産分与は難しい |
このほかにも、いま自己都合退職を行ったと仮定し、現時点での退職金を計算し財産分与する方法や、定年退職時に支払われる退職金から過去の生活費の未払い分や相手の労働費用を精算し財産分与するなどの方法があります。
退職金の支払いについては、専門的知識が必要になるため、自己流での計算は不可能です。このため、退職金の支払いを財産分与する場合には離婚弁護士に相談し、より多く財産が受け取れるよう交渉をしてもらいましょう。
熟年離婚で年金はどうなる?
「国民年金法の一部を改正する法律」によって、夫婦の年金は平等に分与されるとの規定があります。
国民年金法の一部を改正する法|離婚時の厚生年金の分割
離婚した場合の厚生年金については、 配偶者の同意又は裁判所の決定があれば、分割できるものとする。(保険料納付記録につき、当事者双方の 婚姻期間中の合計額の半分を上限)
将来受け取る予定の年金金額は分与されませんが、婚姻期間中の「保険料の納付実績」を対象として、夫婦で年金が分割されるという仕組みです。
ただし、分割できるのは厚生年金保険および共済年金の部分であり、婚姻期間中の保険料納付実績をもとに財産が分与されます。国民年金基金や厚生年金基金などは、分割の対象外になるので混同しないように気をつけましょう。
熟年離婚で夫婦の借金はどうなる?
熟年夫婦が離婚をする際、夫婦の借金も「マイナスの財産」として平等に分ける必要があります。
例えば、住宅ローンやマイカーローン、子どもの教育ローン、生活に必要なローン(キャッシングやクレジットカードの支払いも含む)も財産分与の対象となります。
財産分与の方法ですが、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いて、残った財産を夫婦で分与してください。
例えば財産が3,000万円あり、ローンの総額が1,000万円あったとしましょう。この場合の計算式は【3,000万円−1,000万円=2,000万円】なので、夫婦の財産分与はそれぞれ1,000万円となります。
なお、財産よりも借金が多い場合ですが、具体例を使って説明します。
例えば財産が500万円、ローンの総額が1,000万円あったとします。この場合【500万円−1,000万円】なので、債務超過分は500万円となります。この場合の借金は、借りた本人が返済をする流れとなります。
ただし「借金」の中にも、例外があります。例えば、夫または妻がギャンブルや遊興費などで抱えた借金は、一方の責任で返済をする必要があります。
このほか、常識的な範囲を超える趣味や娯楽のために抱えた借金(自分のために購入をした車や宝飾品、ブランド品など)も、財産分与の対象外となるので覚えておきましょう。
債務が大き過ぎる場合の対処法
マイナスの財産を分与した後、返済に必要な返済に必要な財産が無い場合、手持ちの財産をリストアップし、返済に充ててください。
しかし、手持ちの財産を持ってしても、返済ができない場合には、信頼できる弁護士さんに相談をし、「債務整理すべきか」検討をしましょう。
離婚を前提にしているのであれば、離婚弁護士が債務整理(自己破産、個人再生、任意整理など)についても的確なアドバイスを与えてくれます。
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熟年離婚の慰謝料と税金
熟年離婚で慰謝料を受け取った後、税金はどうなるのでしょうか。受け取ったお金が課税対象になるのか「判断の目安」をまとめてみました。
慰謝料、損害賠償金はすべて非課税になる
離婚で支払われる慰謝料は「損害賠償金」という扱いになり、非課税として取り扱われます。国税庁のタックスアンサー(良くある税の質問)No.1700の内容を以下にまとめてみました。
非課税になる治療費・慰謝料・損害賠償金
- 心身に加えられた損害について支払いを受ける慰謝料など
- 不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害について受ける損害賠償金など
- 心身または資産に加えられた損害につき支払いを受ける相当の見舞金
離婚の慰謝料は、①の『心身に加えられた損害について支払を受ける慰謝料など』と、③の『心身または資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金』に相当します。
また②の不法行為は、配偶者の不貞行為(浮気や不倫)なども含まれます。
これらの理由から、離婚慰謝料として受け取ったお金は、利益や収益として税金を納める必要はありません。
参考リンク:No.1700 加害者から治療費、慰謝料及び損害賠償金などを受け取ったとき(国税庁)
しかし、上の慰謝料や損害賠償にも例外があります。
非課税となる見舞金は、社会通念上それにふさわしい金額のものに限られます。また、収入金額に代わる性質を持つものや役務の対価となる性質を持つものは、非課税所得から除かれます。
例えば、一般的な「慰謝料の目安」からかけ離れた金額の支払いや不動産資産を売却した利益、不動産を贈与された場合には、この限りではありません。
離婚をする場合、財産分与で土地や建物を受け取る方も多いのですが、購入時よりも不動産資産の価値が上がっている場合や、過大な給付のある財産については「課税対象」となる場合があります。
そして損害賠償金のうち、被害者の所得の計算に必要な金額が含まれていた場合には、各種所得の「収入」として判断されるので覚えておきましょう。
「財産の仕分けが分からない」とお悩みの場合には、税理士や離婚弁護士に状況を説明し、課税対象になるのか、損をしない財産分与の方法についてアドバイスを受けましょう。
なお、熟年離婚の慰謝料と税の問題については、以下の記事にて詳しく解説しています。ぜひ本記事と合わせてチェックしてみてください。
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まとめ|熟年離婚の慰謝料は離婚弁護士に相談すれば安心
熟年離婚の慰謝料は、離婚事由の内容や深刻度によって金額が変わってきます。離婚慰謝料のことで分からないこと、相談したいことがあれば、信頼できる離婚弁護士に相談をしましょう。
離婚弁護士であれば、慰謝料請求の手続きだけでなく、財産分与の方法や税金の問題についても、アナタのケースに即した「実践的アドバイス」を与えてくれます。
このほか、相手の借金などマイナスの財産についても、お困りの場合には離婚弁護士に相談してみてください。
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