貸宅地と貸家建付地を持つと節税対策になる?相続財産の評価方法と注意点
貸宅地は第三者に貸していて、その場所に家や事務所などを建てている土地のことです。借地人には借地権があります。一方、大家さんとしてアパートやマンションを建てて、それを他人に貸している土地を貸家建付地といいます。それぞれ貸した土地や部屋に住む人の権利があり、土地を自由に使えないことから通常の土地よりも評価が低くなります。
貸宅地の評価方法とは?
土地の種類には自用地、貸宅地、貸家建付地があります。それぞれ評価方法が異なります。自用地とは、自分が所有し使っている土地のことで、路線価×敷地面積で評価されます。一方、貸宅地はどのように評価されるのでしょうか。
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貸宅地って何?
貸宅地とは、第三者が家や事務所を建てている自分の土地のことを言います。土地を借りて建物を所有している人を借地人と呼びます。また、借地人は、借地借家法という法律で住む権利が守られています。
貸宅地の評価方法
貸宅地の評価額は以下の計算式で計算されます。
たとえば200㎡の土地があって、路線価が20万円、借地権割合が60%のとき、その貸宅地の評価額は、以下の通りです。
借宅地と併せて評価されることも
借宅地は、被相続人が土地を借りて家や事務所などを建てている場合の状況を指します。建物の所有者は被相続人ですが、土地の所有者は第三者です。貸宅地は借宅地と併せて評価されることがありますが、借地権の評価額の計算方法は以下の通りになります。
貸宅地の評価が下がる理由とは
借地割合とは、その土地における借地権の割合をいいます。借地割合が30%であれば、その宅地の評価額の内30%が借地権の評価額になります。借地権の割合が大きければ大きいほど、土地の評価は低くなります。
借地権割合の確認方法
借地権の割合は、国税局のホームページの「財産評価基準(路線価図・評価倍率表)」の中に掲載されているので、そこで確認してみましょう。路線価の横にアルファベットで表示されており、このアルファベッドが示す「%」が借地権の割合となります。
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土地の所有者が自由に販売できない
借地人には借地権があり、土地の所有者が自分のために使いたいと思っても、借地人は借地借家法で守られているので自由に使うことができません。そのため、貸宅地の評価は通常よりも低くなります。
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貸家建付地の評価方法とは?
大家さんとしてアパートやマンションを建てて、それを他人に貸している土地を貸家建付地といいます。貸家建付地も貸宅地と同様に評価が低くなりますが、貸家宅地ほどは下がりません。
貸家建付地の評価方法はどうなる?
貸宅地は自分の土地に他人の家が建っていることを指すのに対し、貸家建付地は自分の建てた家を他人に貸していることを指します。そこに両者の違いがあります。
貸家建付地の評価方法
貸家建付地の評価額を算出するときには、以下の数式で計算します。
借地権割合は、国税庁のホームページに掲載されている路線価図や評価倍率表を見るとわかるようになっています。借家権とは家を借りる人が持つ権利のことで、その割合である借地権割合は全国で一律30%と決められています。賃貸割合とはマンションやアパートの入居率を表す数字のことをいいますが、この場合、入居率は部屋数ではなく、床面積で計算されることに注意が必要です。
貸家建付地は所有者の権利が制限される
自分の土地に建てた貸家や貸マンション・アパートに住む人には「借家権」と「借地権」があり、土地の所有者の権利が制限されるため、評価額はその分低く設定されています。
入居率により評価額は変動する
固定資産税評価額が2000万円の土地を持っている場合、貸家や貸マンション・アパートを建てることにより1割以上も評価額を下げることができます。さらに入居者からの家賃も入ってくるため、相続税を減らす以外の効果も期待できます。
実際の計算例
例えば2000万円の土地に借地権割合が60%、入居率が80%のアパートを所有していた場合は、次のような評価額になります。
入居率によって評価額が変わる
ただし、入居率が下がると評価額は逆に上がってしまいます。上記の例を入居率50%で計算すると、
になり、評価額が100万円も高くなってしまいます。評価額を下げるには、適宜リフォームなどをして高い入居率を維持することが必要です。
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賃貸建付地を所有しているときの注意点とは
貸家建付地や貸家の評価額を計算する場合、「賃貸割合」が重要です。所有しているマンションやアパートに空室が多いとその分賃貸割合が低くなり、入居率が100%の場合よりも評価額が高くなってしまうからです。
空室を賃貸していた部屋と評価してもらう方法がある
空室でも賃貸されていたと判断されることがあります。相続の課税時期(所有者である被相続人が死亡した日)の前後に一時的に空室になった場合は、賃貸されていたと判断してもらえます。
賃貸していたと認められる例
以下のようなケースでは、賃貸していたと認められます。
- (1)各部屋が相続課税時期に継続して賃貸されている
- (2)入居者が退去した後、すぐに次の入居者の募集を行い、他の用途に使用していない
- (3)空室の期間が1ヶ月など一時的な空室であること
- (4)課税時期の賃貸が一時的なものではないこと
ここで注意したいのは(4)です。賃貸割合を上げようとして相続時(所有者が死亡したころ)に一時的に誰かに住んでもらう、というのは認められないため注意しましょう。
募集しつづける必要がある
相続対策目的で立て替える際には、空室になった住戸も新規入居者を募集し続けることが大切です。全住戸について新規入居者を募集していれば、賃貸割合は100%となり、貸家建付地として土地の評価額を最大限下げることができます。
アパート・マンション経営にはリスクもある
土地の評価を下がるだけでなく、家賃収入ももたらしてくれるアパート・マンション経営。しかし入居者を集める費用や修繕費などの出費もあります。マンションなどの規模が大きければ大きいほど、出費も大きくなるのを覚悟しなければなりません。
相続税の特例が利用できないかを検討する
アパートやマンションを建てる以外にも、配偶者の税額軽減制度や小規模宅地等の特例など相続評価額を大幅に削減する方法があります。他に節税できる方法を探してみましょう。
アパート・マンションを建てる前には弁護士などに相談を
人口の減少に伴い、住宅の供給過多が指摘されています。しかし依然として、ハウスメーカー主催の無料相談セミナーではアパートやマンションの建築が相続対策の定番として勧められているのが現状です。アパートやマンションを建てようと決断する前に、一度不動産や遺産相続に強い弁護士などに相談しましょう。
遺産相続をする場合、現金よりも不動産にしておくほうが評価額を下げることができ、マンション・アパートなどを建てて他人に賃貸すれば一層評価額を下げられます。しかし、そこには一定のリスクも潜んでいます。相続した財産をどのような形で持っておけばもっとも節税になるのかについては、遺産相続に強い弁護士や税理士などに判断を仰ぐのがベストでしょう。
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