相続の相談はどこにすべき?目的で選ぶ無料相談窓口9選
相続の相談先は、弁護士・司法書士・税理士などの専門家や自治体の無料相談などがあります。
相続は、相続人の調査や遺産分割といった基本の手続きから相続税・贈与税をはじめとする税務、不動産登記まで、含まれる手続きや必要な対応の幅が広く、専門家への相談を行う際は、相談したい内容に合った適切な相談先を選択することが大事です。
この記事では、無料あるいは有償にて、あなたの相続のお悩みについて相談できる相談窓口を目的別でご紹介していきます。
相続を相談できる窓口一覧
相続についての主な相談先といえば、まずは弁護士や司法書士、行政書士、税理士など、いわゆる士業の資格を持った専門家が挙げられます。
弁護士・司法書士・行政書士・税理士、4つの士業の業務の違いを表でまとめると以下の通りです。
弁護士 | 司法書士 | 行政書士 | 税理士 | |
---|---|---|---|---|
不動産名義変更(相続登記) | △(法的には可能だが司法書士に任せるケースが一般的) | 〇 | × | × |
遺言書検認 | 〇 | 〇 | × | × |
相続放棄 | 〇 | 〇 | × | × |
相続人調査(戸籍調査) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
相続財産調査 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
金融機関の相続手続き | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
代理権 | 〇(簡易裁判所・家庭裁判所・地方裁判所・高等裁判所・最高裁判所 すべての裁判所に対応) | △(認定司法書士の場合、簡易裁判所のみ対応。家庭裁判所で行う家事調停および地方裁判所等に移送された場合は対応不可) | ×(書類作成・提出の代理のみ。法律事務の代理権はなし) | × |
遺留分侵害額請求 | 〇 | △(請求額が140万円以下の場合のみ) | ×(通知書の作成と発送だけなら可能) | × |
事業承継 | 〇 | × | × | × |
仮処分 | 〇 | × | × | × |
車や株式の相続手続き | △ | △ | 〇 | △ |
遺産分割協議書作成 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
相続税申告 | × | × | × | 〇 |
また、市役所や区役所、銀行など身近な場所に相談窓口が設けられていることもあります。
ここではそれぞれの窓口の特徴についてみていきます。
弁護士
弁護士は、相続をふくむ様々な法的手続きに対応できる、法律の専門家として代表的な職業です。
一般の認識では弁護士と司法書士と混同しているケースが多いですが、実際には弁護士と司法書士は業務範囲が大きく異なります。司法書士がもともと不動産登記の専門家であるのに対し、弁護士はどのような法律問題も取り扱うことができる法律のプロと言えます。
相続手続きを総合的に専門家へ任せたいなら、まず相続に強い弁護士へ相談するのがおすすめです。
弁護士は遺産相続問題はもちろんのこと、医療過誤事件、税務訴訟、交通事故、借金問題、慰謝料請求の問題など、相続以外の問題が絡んでくるケースの相談にも応じてくれます。
弁護士は、相続にまつわる法律事務を行える専門職の中でも、対応できる範囲が最も広いことから、相続財産の分け方などで揉めそうなケースや、そもそも相続の何から手を付けてよいかわからないという相談にも対応できます。
代理人になれるのは弁護士のみ
遺産分割交渉を代理したり、調停や訴訟になった際など、相続の実手続きで相談者に代わる代理人として対応できるのは、基本は弁護士だけです。弁護士は簡易裁判所だけではなく、地方裁判所や家庭裁判所、高等裁判所などのすべての裁判所における代理権を持っており、当事者の代理人として交渉をすることができます。
弁護士以外の人が報酬をもらって他人の法律問題に介入することは法律によって禁止されており、罰則もあります。
遺産分割協議で他の相続人と意見が合わずにトラブルになった場合、相手と直接交渉したくない場合や、多忙や高齢・健康状態等の理由から自分で手続きに動きづらい場合は、弁護士へ相談するのがスムーズです。
相続人・財産調査から相続トラブル解決まで相続全般に対応
弁護士には相続するのに必要な財産調査、相続人調査から、トラブルの解決まで相続に関する手続き全般を任せることができます。
弁護士は主に次のような相談に対応できます。
- 遺言書の作成
- 遺言執行者への就任
- 遺言書の検認手続き
- 相続人調査
- 相続財産調査
- 遺産分割協議書の作成
- 相続放棄、限定承認の申述手続き・債権者対応
- 他の相続人との交渉代理
- 相続に関する調停・審判の代理(遺産分割・遺留分侵害額請求など)
- 事業承継
- 仮処分
遺言書の作成
一般的に、弁護士の方が司法書士よりもトラブルを予測してトラブルが起こりにくい内容の遺言書を作成することができるでしょう。
司法書士は、基本的に不動産など登記の専門家です。相続人に代理して法律トラブルを解決する能力は、認定司法書士にのみ、かつ140万円以下の簡易裁判所への訴訟の場合にのみ限定されます。そのため、遺産相続問題でも、実際に相続人同士でもめてトラブルになったら、対処することができず「弁護士に相談して下さい」と言われてしまいます。
一方、弁護士は、こうしたトラブル解決の専門家で、たくさんの遺産相続にまつわるトラブルを体験しています。たとえば遺言の場合、後に一部の相続人が「偽造だから無効だ」と言い出してトラブルになることがありますし、遺留分を侵害することにより、法定相続人が遺留分侵害額請求をしてトラブルになることもあります。
弁護士であれば、相続を巡る多方面のリスクを予め予測して、遺言書作成の段階で効果的に予防措置をとることができます。
遺言執行者への就任
また、遺言書作成を依頼した弁護士に、そのまま遺言執行を依頼することができます。遺言執行とは、遺言書の内容を実現してもらうための「遺言執行者」になってもらうことです。遺言執行者がいないと、相続人が自主的に遺言の内容を実現しないといけないので、スムーズに進まないことがあります。そこで、予め信用出来る人を遺言執行者にしておくと、遺言に従って手続きを進めてもらえるため、相続人自身が苦労して進める場合よりも、遺言は実行されやすくなるでしょう。遺言執行に関して、相続人は何かをする必要はなくなります。
たとえば、不動産登記が必要になるケースで弁護士を遺言執行者に定めておいたら、相続人たちがわざわざ司法書士を探して不動産登記を依頼しなくても、遺言執行者の弁護士が司法書士と連携して相続登記をしてくれます。
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遺言書の検認
遺言書の検認とは、家庭裁判所において、遺言書の状態や内容を確認してもらい、保存してもらうことです。
遺言書の検認は、法務局の保管制度を利用していない場合の自筆証書遺言・秘密証書遺言のケースで必要となります。法務局の下で保管されていない遺言書は、発見者や他の相続人、第三者によって改変されるおそれがあるため、家庭裁判所が検認を行うことで発見当初の状態を保存し、その後の変造を防ぎます。
法務局の保管制度を利用せずに、故人の机・金庫などから遺言書が発見された場合、勝手に開封してはいけません。検認するには家庭裁判所への申立が必要です。
弁護士に依頼すると、この遺言書の検認に同席し、対応してもらうことができます。
相続人調査
弁護士には、相続人調査を依頼することもできます。相続人調査をするときには、膨大な量の戸籍謄本類を集めないといけません。しかもそれらがすべて連続している必要もあるので、素人が集めようとすると、どうしても間に抜けが発生してしまいますし、非常に時間と労力がかかる作業です。また、集めた資料を読み解くのも大変です。
戸籍謄本を集めても、相続人の存在を見逃してしまったら意味がありません。そこで、法律のプロである弁護士に戸籍調査をしてもらうと安心です。弁護士に戸籍調査を依頼したら、相続人間の関係を明らかにした相続関係図も作成してもらうことができます。
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相続財産調査
相続財産調査も、弁護士に依頼するとスムーズです。相続財産調査とは、どのような遺産があるかを調べることです。たとえば、被相続人の家の中の財産や預貯金通帳などの資料、郵便物や不動産の名寄せ帳などを参照して遺産内容を明らかにします。
このとき、弁護士であれば「弁護士法23条照会」という手続きを利用できるので役立ちます。これを使うと、官公庁や民間の企業などの各種の団体や個人に対し、いろいろな内容の照会をすることができます。たとえば、相続の場合なら、銀行に照会を出して相続開始前からの取引履歴を出してもらうことができますし、証券会社に照会をして、取引の有無や内容、取引履歴を明らかにしてもらうことも可能です。
他の相続人が預金通帳を取り込んでいて開示しない場合などに非常に有効な手段となります。
遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書の作成を弁護士に依頼することもできます。遺産分割協議書は、自分たちで作成すると間違いが起こりやすいですが、弁護士に作成を依頼したらそのような危険はありません。
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相続放棄、限定承認の申述
相続放棄や限定承認の申述を弁護士に依頼することも可能です。これらの手続きは司法書士にも依頼できますが、特に限定承認の場合、弁護士に依頼することをおすすめします。
相続放棄は、申述が受理されたらすぐに終わりますが、限定承認は、申述が受理された後、相続財産管理人が選任されて、相続財産調査や相続人調査、債権者への支払いなどいろいろな手続きが続くからです。このとき、限定承認の申述を弁護士に依頼して、その弁護士に相続財産管理人になってもらったら、手続きがスムーズに進みます。
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遺留分侵害額請求
遺留分侵害額請求をする場合にも、弁護士に依頼することができます。弁護士に依頼すると、相手に内容証明郵便によって遺留分侵害額請求書を送るだけではなく、その後に遺産の返還方法についての話合いもしてくれます。この点、司法書士に依頼した場合には、内容証明郵便の発送までしかしてくれないため、その後の交渉は自分で行う必要があるので、弁護士の方にメリットが大きいです。
遺留分侵害額請求で本当に大変なのは、請求通知を送った後
遺留分の請求者と侵害者は、感情的に対立していることも多いので、スムーズに遺産の返還が行われることは期待しにくいですし、遺産の返還方法をどのようにして行うべきかについても争いが発生することが多いです。当事者にとっては遺留分請求の交渉自体が大きなストレス原因になりますし、遺留分侵害額請求調停や訴訟が必要になるケースもたくさん見られます。
弁護士なら、相手とのやり取りをすべて任せることができますし、弁護士が法的知識を持って主導権を持って交渉をすすめてくれるので、有利な条件で合意ができる可能性が高くなります。遺留分の調停でも調停委員を味方につけやすくなりますし、訴訟になっても弁護士が適切に対応してくれるので、安心できます。自分で交渉しなくて良くなるため、精神的にも落ち着きます。
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事業承継
弁護士には、事業承継に熱心に取り組んでいる人が多いです。事業承継とは、中小企業や個人事業者が、次の世代に事業を承継させることです。高齢の経営者に会社の機能が集中している場合などに、特に問題となります。
事業承継では、会社の業務をどのように承継させるのかや、会社の資産の管理方法の変更などとともに、経営者の財産をどのように相続人に相続させるかが重要です。相続人には会社経営にかかわる会社の継承者がいることも多いですが、会社と無関係な相続人もいるため、それらの相続人間の公平も考えないといけません。遺留分の問題も発生します。
このように、事業承継の場面では、法律問題が関わることが多いので、弁護士がサポートしてくれます。自分ではまだどのように進めていけば良いかわからないけれども、悩んでいるのでとりあえずアドバイスがほしい、というケースでも弁護士に相談することができます。
仮処分
遺産相続をするとき、たまに「仮処分」という手続きが必要になることがあります。仮処分とは、裁判所に申立をして、仮に支払いをさせたり権利の保全をしてもらったりすることです。たとえば、相続人の1人が勝手に遺産を処分してしまいそうな場合には、その財産の保全のために仮処分が必要になりますし、銀行や各種の機関などが取引履歴やその他の必要な開示に応じない場合などにも仮処分で開示させることなどができます。
それほどたくさんあることではありませんが、複雑な遺産相続のケースではこうした問題も絡んでくるということです。
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司法書士
司法書士は、登記・供託などの手続き代理、および手続きに必要な書類の作成業務などを担当する法律、特に登記手続きに関する専門家です。
司法書士に相談できるのは主に次のようなことです。
- 不動産の相続登記
- 遺言書の作成
- 遺言書の検認手続き
- 相続人調査
- 相続財産調査
- 遺産分割協議書の作成
- 相続放棄の手続き(書類作成によるサポート)
- 請求金額が140万円以下の遺留分侵害額請求(認定司法書士のみ)
また、2002年に行われた司法書士の業務範囲の拡大により、一定の条件を満たした認定司法書士は、簡易裁判所での代理権を持つようになりました。
これにより、以下の通り、条件付きながら遺留分侵害額請求を行うことも可能です。
- 請求金額が140万円以下の遺留分侵害額請求
相続登記申請を中心とした相続諸手続きの専門家
土地や建物の売買や離婚の財産分与、贈与、相続などによって不動産の所有者が移転したときには所有権移転登記をしなければなりません。また、土地に担保を設定するときには、抵当権の設定登記をします。
司法書士は、こうした登記の専門家であり、登記申請の代理権を持っています。
不動産の相続登記
まず、遺産の中に不動産が含まれている場合、司法書士に不動産登記を依頼することになります。
2024年からは、相続財産に不動産がある場合の相続登記が義務化されました。そのため、多くのケースで、相続登記は司法書士に相談することになり、相続関連業務を専門に行っている司法書士もいます。
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また、不動産に抵当権(担保)が設定されている場合には、担保の抹消登記が必要になる場合があります。
相続した不動産を売却して現金で遺産を分けたい場合にも、いったん相続人名義に変えてから売却相手に所有権移転登記をしなければならず、2回に渡る不動産登記が必要です。
相続登記は弁護士も扱えますが、実務上は司法書士へ依頼することがほとんどです。相続財産に不動産がある場合は司法書士へ相談します。
相続登記について詳しくは次の記事で解説しています。
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相続人調査・相続財産調査および遺言書・遺産分割協議書の作成
司法書士も、弁護士と同様に、相続人や相続財産の調査、および調査結果をふまえた遺言書や遺産分割協議書の作成を行えます。
相続放棄の手続き(書類作成によるサポート)
司法書士には相続放棄で必要となる家庭裁判所への「相続放棄の申述」の手続き書類の代理作成から提出までを依頼できます。
司法書士には代理権がないことから、相続放棄の手続きは書類の作成~提出までです。
裁判所から相続放棄の意思確認として送付される相続放棄照会書・相続放棄回答書は、司法書士を経由せずに申立人へと直接送付されます。
その場合の回答書の書き方等についても、司法書士のサポートを受けることができます。
弁護士であれば、照会書・回答書への対応も弁護士に一任できますが、司法書士に依頼した場合は、申立人によるひと手間が増える形となります。
その分、費用の面では司法書士の方が有利で安めの金額に抑えられるのが通常です。
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請求金額が140万円以下の遺留分侵害額請求
認定司法書士は、請求金額140万円以下の民事事件の代理人を務めることができ、140万円以下であれば遺留分侵害額請求やADRなど裁判外での紛争解決の代理人を務める事が可能です。
認定司法書士とは、特別研修を修了・認定考査に通過し法務大臣の認定を受けた司法書士のことです。
逆に、こうしたプロセスを経ていない通常の司法書士が代理人を務めることは認められておらず、遺留分侵害額請求などを依頼することはできません。
なお、財産調査等進めた結果、取り扱う価額が140万円を越えることが判明した場合、認定司法書士は対応を継続することはできません。
140万円以上の遺留分侵害などが認められる場合は、司法書士ではなく弁護士に相談することになります。
行政書士
相続問題を相談できる専門家として、行政書士もあります。ただし、行政書士に相談できる内容は非常に限られます。
行政書士に相談できるのは主に次のようなことです。
- 遺言書の作成
- 相続人調査
- 相続財産調査
- 遺産分割協議書の作成
- 車や株式の名義変更
行政書士に依頼できることは、基本的に司法書士や弁護士にも依頼でき、行政書士にしか依頼できない業務はありません。
そのため、不動産登記や遺産分割協議などで司法書士や弁護士に手続きを依頼する場合、別途で行政書士に相談する必要はありません。
必要な手続きのみを依頼して費用を抑えられる
行政書士は相続税の申告や、交渉の代理、登記はできません。
逆に、相続税申告や相続登記の必要がなく、遺産分割に争いがない場合であれば、行政書士へ相談することで、費用を抑えて適正な遺産分割協議書の準備が行えます。
行政書士に相続人調査だけを依頼する方法も
不動産の相続登記をするときには必ず戸籍調査が必要になります。
不動産登記を司法書士に依頼しない場合、自力で行うには面倒な戸籍調査だけを行政書士に依頼するのも1つの方法です。
また、相続財産に車や株式がある場合は名義変更を代行してもらえます。
そこまで難しい手続きではありませんが、手間をかけたくない、あるいは自分で手続きを進める自信がない場合には相談すると良いでしょう。
税理士
税理士は、税務署への申告・納税など税金にまつわる手続き全般に精通した税務のスペシャリストです。
税理士は主に次のような相談に対応できます。
相続税・贈与税の申告・納税・節税対策も相談できる税務の専門家
相続税対策について相談したい場合や、相続税申告が必要な場合は税理士に相談します。相続人調査や相続財産調査も依頼できます。
相続税の申告、準確定申告
税理士に相談する業務と言えば、相続税や準確定申告などの税務申告でしょう。遺産の評価額が基礎控除を超える場合には相続税が発生しますし、被相続人が事業をしていたケースなどでは準確定申告が必要になります。
相続税は、多数の遺産がある場合などには非常に複雑になりますし、適切な控除の制度を適用してもらうためには、税理士に代理してもらう必要性が高いです。準確定申告とは、被相続人が確定申告の義務を負っていた場合に、相続人が代わって確定申告をしなければならないことです。
相続人が事業に無関係である場合などには、何から手をつけて良いかわからないこともあるでしょうから、こうしたケースでは、税理士に準確定申告の依頼をすると良いです。
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相続財産の調査・評価
相続税に関連して、相続財産の評価も重要です。現金や預貯金などとは異なり、不動産や未上場の株式などの場合、相続税としての評価額が簡単には明らかにできません。不動産の場合には、税制上、評価の減額をしてもらえることも多いのですが、素人が知らない制度もたくさんあります。
たとえば、不整形地である場合、賃貸に出している場合、小規模宅地の場合などには、土地の評価額を大きく減額してもらえることがありますが、減額制度を知らずに高額な評価のまま申告をしても、税務署は注意してくれないので、そのまま高額な相続税を支払うことになります。ここで、税理士に相談して適切な評価減額の制度を教えてもらうことができます。
生前贈与
税理士は、税金の専門家ですから、相続税についての相談ができます。相続税については節税方法に関心が高い人が多いでしょうけれど、相続税を節税するためには生前贈与が非常に効果的です。生前贈与には、いろいろな贈与税の控除の制度が設けられていますし、生命保険などを利用した節税方法もあります。そこで、税理士に、お得な生前贈与の方法について相談することができます。
事業承継
税理士にも、事業承継に熱心に取り組んでいる人が多いです。事業承継をするときには、相続税などの税金が発生することが多いからです。会社組織にしている場合、会社の財産は相続財産になりませんが、株式は相続対象になります。ここで、中小企業には未上場の会社も多いので、株式の評価方法が問題になりやすいです。
また、個人事業の場合には、すべての事業用資産が相続対象となるため、相続税の評価額が大きくなって、莫大な相続税が発生するおそれもあります。
そこで、税理士に相談をして、効果的な節税方法をアドバイスしてもらうことができます。
相続税の更正請求
相続税については、「更生請求」が必要になるケースがあります。更生請求とは、いったん税金の申告をしたけれども、それについて間違いなどがあったときに訂正をすることです。
たとえば、相続税の申告期限までに遺産分割協議ができなかった場合には法定相続分に応じて相続税の申告をして支払いをするのが普通ですが、その後遺産分割協議ができて、自分の取得分が法定相続分より少なくなったら、更生請求をして、払いすぎた相続税の還付を受けることができます。このような、更生請求をするときにも、税理士に代理を依頼することができます。
1回目の相続税申告の際、必要な控除を受けるのを忘れて高額な相続税を支払っている場合でも、更生請求をしたらお金を返してもらえることがあります。心当たりがある場合には、一度税理士に相談に行くと良いでしょう。
市役所・区役所
市役所や区役所では定期または不定期で、市民/区民向けの無料の法律相談や税務相談サービスを開催しています。
市役所・区役所の法律相談では、弁護士・司法書士などの専門家が相談にのってくれますが、相続に詳しい専門家にあたるとは限りません。
また、多くの自治体で専門家相談を開催するのは月数回程度が一般的で、相談できる時間や回数は限られます。
実際には開催する市役所・区役所ごとに異なりますが、主に次のような専門家が相談にのってくれます。
- 弁護士
- 司法書士
- 税理士
- 公証人
当然、対応できる相談内容は各専門家によって異なります。
無料で専門家に相談できる
- まずは無料で専門家に相談してみたい
- 特定の専門家へ相談するのは敷居が高い
と感じる場合は、市役所や区役所の無料専門家相談を利用するとよいでしょう。
無料相談で相続をどのように進めるか方針を確認できれば、改めてそれぞれの専門家へと相談することもできます。
法テラス
法テラスは国によって設立された法律の総合案内所です。相談したい内容に応じた相談窓口を無料で紹介してもらえます。
無料法律相談もありますが、経済的に困っている人を対象としていますので、収入と資産が一定以下の場合のみ利用できます。
また、弁護士や司法書士への依頼をする場合の費用の立替え制度もありますが、上記に加え「勝訴の見込みがないとはいえないこと」などの条件があります。
相談窓口を無料で紹介してくれる
相続は身近な問題にも関わらず、その手続き方法や相談先にはなじみがないことが多いものです。
法テラスを利用すれば、相続の悩みに応じたそれぞれの専門家の窓口を適宜紹介してもらえます。相続に関してどこへ相談すればよいか判断できない場合は法テラスへ相談するのも一案です。
公証役場・公証人
公証役場では、公証人に公正証書遺言について無料で相談できます。遺言等の無料相談会を開催している公証役場もあります。
ただし、公証人に相談できるのはあくまで公正証書の作成に関することです。具体的な相続内容や遺産分割、相続税などについての相談はできません。
生前に遺言書作成や任意後見契約について相談できる
公証役場では、公正証書遺言や任意後見について相談できます。
自分の遺産を相続させる被相続人の方が、生前に備えをしておきたい場合の相談先として選択肢になるでしょう。
任意後見については次の記事で詳しく解説しています。
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商工会議所
商工会議所は、地域の事業者・経営者が加入する経済団体です。
商工会議所では、加入する法人事業者・中小企業・個人事業主などの経営を支援する目的で、弁護士・税理士等の専門家へ相談できる無料サービスを行っています。
相続に関しては、相続税や事業承継について税理士や中小企業診断士などへ相談することができます。
また、事業承継を支援するための無料相談窓口もあります。
事業承継について相談できる
商工会議所では事業承継について次のような相談ができます。
- 将来の事業承継に向けた準備について
- 事業承継の具体的な進め方、引き継ぎ方法
- 第三者への事業承継(M&A)について
事業承継について詳しくは次の記事で解説しています。
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信託銀行
信託銀行でも相続について無料相談を受け付けています。
信託銀行では遺産整理業務を一括してサポートしてくれますが、実際の登記手続き等を行うのは司法書士などの専門家です。
信託銀行を窓口として手続きを進める形となるため、各専門家へ直接依頼するよりも費用は高額になる傾向があります。
相続財産の運用や管理について相談できる
信託銀行の相続サービスの特徴は、相続手続きのスケジュールから、遺産分割後の財産の運用までサポートしてくれる点です。
相続後の資産の運用や管理方法、不動産の売却などについてもサポートが必要なケースでは、信託銀行への相談を検討してもよいでしょう。
弁護士と司法書士・行政書士・税理士の違い
ここまで、相続の相談が行える窓口それぞれの特徴をひとつずつ解説してきました。
ここでは、弁護士と司法書士・行政書士・税理士、4つの士業について、オールマイティーな法律専門家である弁護士を基準に、それぞれどういう違いがあるかを見ていきます。
弁護士と司法書士の違い
まず、弁護士と司法書士の違いを見てみましょう。
一番大きな違いは、弁護士には「代理権」があること
代理権とは、裁判手続きの代理権と交渉の代理権です。弁護士には、代理権があるため、当事者の代理人として遺産分割協議を進めることができますし、家庭裁判所で遺産分割調停や審判をすすめることができます。
相続放棄や限定承認の申述、遺言書検認の申立なども「代理人」として行うことができます。遺留分侵害額請求をするときだけではなく、侵害額請求をされたときにも弁護士に依頼して代理人になってもらい、相手と交渉してもらうことができます。また、裁判の代理権である「訴訟代理権」があるため、遺言が無効だと考えるときに、遺言無効訴訟も起こしてもらうこともできます。
司法書士には「代理権」がない
これに対し、司法書士には「代理権」はありません。そこで、司法書士は本人の代理人として遺産分割協議や調停、審判などをすすめることはできません。遺留分侵害額請求についても、当初の内容証明郵便の作成と発送はできますが、その後の交渉は当事者に自分でしてもらわないといけません。遺言無効確認などの訴訟の代理権もありません。こういった具体的なトラブルが発生してしまうと、司法書士は対処できないので、弁護士に相談に行かなければならないのです。
また、相続放棄や遺言書の検認申立の際も、司法書士ができるのは「書類作成代理」です。司法書士が裁判手続きそのものを代理で行うわけではなく、申立自身は本人名で行われることになります。
そもそも、司法書士は簡易裁判所以外で代理権がないため、家庭裁判所での「代理権」が認められていないのです。
このように、弁護士にはオールマイティーな「代理権」が認められる点において、司法書士と大きく異なりますし、トラブル解決能力にも大きな差が発生してきます。
不動産登記は司法書士の領域
ただ、不動産登記は、司法書士の方が得意です。弁護士も不動産登記はできますが、普通取り扱っていませんので、不動産登記の代理を頼みたいなら司法書士に依頼します。弁護士に遺産分割協議や遺産分割協議書の作成を依頼しても、不動産登記だけは司法書士に依頼する、という人も多いです。
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弁護士と行政書士の違い
次に、弁護士と行政書士の違いを見てみましょう。
行政書士の職務は書類作成が基本
弁護士の職務が法律相談、裁判、交渉などの法律事務全体を含むものである一方、行政書士の職務は原則として官公署に提出する書類の作成と提出代理、および契約書類等の代理人としての作成です。
これは、行政書士法と呼ばれる行政書士の職務を定義する法律にも明記されています。
行政書士に法律相談は認められていない
行政書士の職務範囲には、法律相談が含まれていません。
法律相談を認められている弁護士が、相談事項に対して依頼者とどのような方針・内容とするか、相談して検討できるのに対し、行政書士に認められているのはあくまで書類作成が原則です。
相談者の希望する方針・内容に沿うため、どういう文章で書類を作成すべきかの相談は認められるものの、書面の内容にまで関与して相談に乗ることは、弁護士法上の非弁行為にあたり違法となります。
行政書士は遺産分割の代理人になることもできなければ、遺留分侵害額の交渉の代理をしてもらうこともできません。
ただし、遺留分侵害額請求の通知書の作成は書類作成の範囲内にあたるため、可能です。
遺言書や遺産分割協議書など相続にまつわる書類作成は可能なものの、一般的に法律相談はトラブルが発生した際に必要となるケースが大半です。
相続人間で意見の相違があるケースでは、行政書士への相談するのは基本的に不適切です。
行政書士の職務はすべて弁護士が対応可能
行政書士に依頼できることは、基本的に弁護士にも依頼できるため「行政書士に依頼しなければならない」というプロパーな問題はありません。
ただし、車の名義変更や株式の名義変更など、弁護士が個別に行わない手続きについては、行政書士に依頼するケースはあり得ます。
弁護士と税理士の違い
法律事務と税務問題で職域が全く異なる
弁護士と税理士は、取り扱う内容がそれぞれ法律事務と税務問題で、職域の被らない、全く別の職務と言えるでしょう。
ただし、生前贈与などの場面において、多少両者の職域が被さる部分はあります。
生前贈与をするときには、贈与者と受贈者の間で「贈与契約」を結ぶことになるため、法律問題が関わります。
また、贈与税が発生しないよう注意しなければならないため、税務問題も関わります。
また、事業承継の場面でも、弁護士と税理士の職域が被ってきます。
弁護士は事業承継の法律的な側面から、税理士は税務上の節税方法などの側面から事業承継を援助します。
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当サイトを見ても疑問が解決しない、状況が異なるので判断が難しいと感じたら弁護士に相談することをおすすめします。
初回相談無料の弁護士も数多く掲載しておりますし、どの弁護士もいきなり料金が発生するということはありません。まずはお気軽にご相談ください。
相続を相談する際の注意点
相続のように手続き範囲の広い分野では、相談したい内容に詳しくない専門家へ相談してしまうと、改めて他の専門家へ相談する必要が出てしまい、二度手間となります。
また、相談先によっては、相続に関する実務経験が少ない相談員にあたってしまうこともあるでしょう。
相続相談を利用する際は、相談内容を事前に整理した上で、あなたが悩む相続問題の解決につながる、適切な相談先を見つけて相談することが重要です。
相続の何を相談したいかで相談先は変わる
相続人間で争いがあるか、相続発生前か後か、他に相続人はいるか、相続手続きにさける時間がどれくらいあるかなど、それぞれのケースによって適切な相談先は変わります。
- 相続に関してトラブルがある … 弁護士
- 相続登記を依頼したい … 司法書士
- 相続税について相談したい … 税理士
また、相続手続きを進めていこうにも何から相談したらよいかわからないような場合には、各自治体や弁護士会が主催する無料相談や法テラスを利用する手もあります。
弁護士事務所でも相続の無料相談を受け付けている場合があります。
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参考書類や質問は準備しておく
相続の相談をする際、相続人の人数や関係、相続財産の内容などがわかると、具体的な回答を得られやすいです。
質問したい内容もまとめておくとよいでしょう。
無料相談での対応はアドバイス程度、実務は依頼できない
自治体などの無料相談は時間や回数が限られています。相談できる時間は25分~30分程度、回数は2回~3回程度です。
また、そのまま実務は依頼できません。専門家からのアドバイス程度と受け止め、必要であれば別途専門家へ依頼します。
窓口によっては相談員が相続に詳しくない場合も
自治体の無料相談窓口は、弁護士でしたら法律問題全般、税理士なら税務相談全般を受け付けることがほとんどです。
相続に限った相談窓口ではありませんから、相続に詳しい専門家に相談できるとは限りません。
相続の相談でよくある質問
手続き内容によって適切な専門家へ依頼したい相続手続ですが、各専門家へ依頼した場合の費用はどれくらいかかるのでしょうか。専門家へ依頼せずに手続きをすることは可能なのでしょうか。相続の相談でよくある質問をみていきます。
相続の手続きは自分でもできる?
相続手続きは相続人自身が行うこともできます。ただし、知識や時間が必要となる手続きも多く、大変な作業です。
また、相続税や相続放棄など、期限のある手続きも複数あります。もれなく手続きを行うためにも、相続については一度専門家へ相談することをおすすめします。
相続手続きの流れについては次のページで詳しく解説しています。
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相続相談した専門家に依頼する場合の費用相場は?
相続を専門家へ相談し、実際に手続きを依頼したら費用はどれくらいかかるのでしょうか。
弁護士、司法書士、税理士の費用相場を見ていきます。
弁護士へ相続手続きを依頼した場合の費用相場
弁護士の費用相場は日弁連の旧報酬規程が目安として、手続きによる経済的利益にともなって変動するのが一般的です。
経済的利益の額 | 着手金 | 報酬金 |
---|---|---|
300万円以下の場合 | 8% | 16% |
300万円を超え3000万円以下の場合 | 5%+9万円 | 10%+18万円 |
3000万円を超え3億円以下の場合 | 3%+69万円 | 6%+138万円 |
3億円を超える場合 | 2%+369万円 | 4%+738万円 |
相続手続きにかかる費用は、相続財産の額や相続人の数、不動産の有無、必要な手続きの数により、ケースバイケースで大きく異なります。
相続手続きを依頼した際の弁護士費用は個別に問い合わせ、見積もりを取るのが重要です。
相続の弁護士費用について詳しくは下記の記事でも解説していますのでご参照ください。
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司法書士へ相続手続きを依頼した場合の費用相場
相続手続きを司法書士へ依頼した場合の費用も、事務所によって異なります。ここではおおよその相場を紹介します。
- 遺産継承手続き全般(フルサポート) … 30万円~
- 遺言書の作成サポート … 5万円程度~
- 遺言書の検認申立書作成 … 5万円程度~
- 相続人調査… 2万円程度~
- 相続財産調査 … 10~30万円程度
- 遺産分割協議書の作成 … 1万5千円~
- 相続放棄の申述書作成 … 4万円~
弁護士と同じく、対応内容によって金額感は大きく異なりますが、相続人間のトラブル等が紛糾しない前提で、弁護士よりは費用を抑えられることが多いです。
税理士へ相続手続きを依頼した場合の費用相場
税理士へ相続手続きを依頼した際の費用も、事務所によってぞれぞれです。
ひとつの目安として税理士報酬規程(現在は廃止)の相続税申告費用を紹介します。
税理士の場合は、個別のタスクに対してではなく、遺産総額(および経済的利益)の大きさに応じて費用感が算定される点は留意しておくと良いでしょう。
相続税・税務代理報酬(上限)
*基本報酬額100,000円に、次の基準による報酬額を加算する。
遺産の総額 | 税理士費用 |
---|---|
5,000万円未満 | 200,000円 |
7,000万円未満 | 350,000円 |
1億円未満 | 600,000円 |
3億円未満 | 850,000円 |
5億円未満 | 1,100,000円 |
7億円未満 | 1,350,000円 |
10億円未満 | 1,700,000円 |
10億円以上 | 1,800,000円 |
1億円増すごとに 10万円を加算 |
- 「遺産の総額」に係る報酬額については、共同相続人(受遺者を含む)が1人増すごとに10%相当額を加算する。
- 財産の評価等の事務が著しく複雑なときは、基本報酬額を除き、100%相当額を限度として加算することができる
弁護士・司法書士・行政書士・税理士の相続手続き費用例を比較
ここまでに上げた内容ふまえ、弁護士・司法書士・行政書士・税理士の費用例を表で比較したものが以下です。
相談料 | 費用 | ||
---|---|---|---|
遺言書作成 | 遺産分割協議 | ||
弁護士 | 0円~1.1万円(1時間) | 10万円~(代理人として作成) | ・着手金 10万円~30万円 ※遺産分割協議書作成も依頼可能 ・報酬金 回収できた金額の16%程度 |
司法書士 | 0円~5,500円(30分) | 5万円~10万円程度(サポートのみ) | ・30万円程度(遺産承継手続き全般フルサポート) ・5~15万円程度(書類作成のみ代行) |
行政書士 | 0円~5,500円(30分) | 5万円~10万円程度(サポートのみ) | 5万円程度(書類作成のみ代行) |
税理士 | 0円~5,500円(30分) | 10万円~100万円程度(相続財産の内容で大きく変わる) |
相談料はいずれも無料、または30分5,500円程度が通常です。
相談料無料の場合、着手金または成果報酬の利率がやや上がるのが通常です。
実際の相続手続きで必要となる対応は、ケースバイケースで大きく異なるため、上記の表はあくまで一例です。
より具体的な費用感を把握したい場合は、個別で見積もりを依頼しましょう。
まとめ
市役所や法律事務所など、相続の相談を無料で受け付けている窓口はたくさんあります。目的に合った相談先を選ぶことで、手続きの負担を減らすことができるでしょう。相続の相談先に迷ったら一度弁護士に相談することをおすすめします。
遺産相続のお悩みは相続問題に強い弁護士に相談を
遺産相続問題を抱えているなら、多くのケースで弁護士に相談すると解決につながります。ただし、そのとき、どのような弁護士でも良いというわけにはいきません。弁護士はあらゆる法律問題を取り扱う分、人によって得意分野が全く異なります。
借金問題や離婚問題、交通事故案件や労働問題などが得意な弁護士がいれば、遺産相続を得意とする弁護士もいます。相続問題が得意でない弁護士に遺産相続の問題を相談しても、スムーズな解決は望めません。
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