自動車と自転車の追い越しルール変更!2026年4月道路交通法改正で最低1メートルの間隔と状況に応じた減速が義務化

2026年(令和8年)4月1日、道路交通法の一部改正が施行されます。今回の改正では、自動車が自転車の右側を通過する際のルールが新たに定められ、ドライバーには「十分な間隔の確保」と「安全な速度での走行」が義務として課されることになります。違反した場合には罰則も設けられており、ドライバー一人ひとりが内容を正しく理解しておくことが重要です。
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車が自転車を追い越す場合のルールが変わる
2026年4月施行の道路交通法改正による変更点
今回の改正で新設されるのは、道路交通法第18条第3項および第4項です。
- ア 自動車等は、当該車両と同一の方向に車道等を進行している自転車等の右側を追い抜きの形態で通過する場合において、当該車両と当該自転車等との間に十分な間隔がないときは、当該自転車等との間隔に応じた安全な速度で進行しなければならないこととした(法第18条第3項)。
- イ 前記アの場合においては、当該自転車等は、できる限り道路の左側端に寄って通行しなければならないこととした(法第18条第4項)。
警察庁の施策を示す通達(交通局)令和7年6月20日発出 文書番号:丙交企発第60号等(PDF) より引用
自動車等が車道を同一方向に走行する自転車等の右側を通過する場合、自転車との間に十分な間隔がないときは、その間隔に応じた安全な速度で進行しなければならないと定められます。
これまでの道路交通法には、自動車が自転車のそばを通過する際の側方間隔や速度について、具体的な義務を定めた規定がありませんでした。
今回の改正により、自転車の安全を守るための明文化されたルールが初めて設けられることになります。
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改正のきっかけとなった自転車事故の実態
法改正の背景には、交通事故件数総数が減少傾向にある中、自転車関連事故は7万件前後を横ばいで推移しており、全交通事故に対して自転車事故が占める割合は増加し続けている現状があります。
警察庁 自転車ポータルサイト「事故・違反の発生状況」より引用
警察庁が公表している統計によると、令和元年以降、自転車が関係する事故は全交通事故の2割以上を占め、全体に横ばいから増加の傾向で推移しています。
令和6年の数値によれば自転車関連事故件数は67,531件、そのうち51,524件が自転車と自動車による事故で、これは自転車関連事故全体の76.3%にあたります。
道路交通法上、軽車両に分類される自転車は自動車と同じ車道空間を共有する場面は多々発生します。
幅の狭い道路では、自転車のすぐ横を自動車がすり抜けるような場面も珍しくなく、自転車利用者にとって大きな危険となっていました。
こうした実態を受け、自転車の酒気帯び運転・酒酔い運転への罰則強化、青切符制度の導入など、自転車の安全を確保するための法整備が進められてきた経緯があります。
今回の自動車による自転車追い越しに関するルール変更も、自転車と自動車が同一方向に進行する際、自転車の右側面に自動車が接触するケースが目立っていることへの対応として新設されることになりました。
改正前後のルールの違い
改正前は、自動車が自転車の横を通過する際、守るべき間隔や速度について、法律上の明確な定めがありませんでした。
そのため、接触さえしなければ問題ないと、自動車が自転車のすぐ横をスピードを落とさず通過するケースがありました。
改正後は、自転車との間に十分な間隔が確保できない場合には、その状況に応じた安全な速度まで減速することが義務となります。
間隔を確保できているかどうかに関わらず、自転車のそばを通過する際はより慎重な運転が求められるようになります。
車と自転車追い越し新ルールの内容
十分な間隔を確保して通過する
改正後のルールでは、自動車が自転車の右側を通過する際、できる限り十分な間隔を空けることが求められます。
自動車は自転車との側方に1メートル程度の間隔を確保する
法律上「十分な間隔」を具体的に何メートルと定めた数値はありませんが、警察庁は少なくとも1メートル程度の間隔を空けることが安全とする目安を示しています。
この1メートルという数値はあくまで目安であり、道路の幅員や交通量、自動車・自転車の走行状態など、実際の状況に応じて判断は異なり、より広い間隔が必要になる場面もあります。
1.5メートルの間隔確保という議論も
警察庁が公開している有識者会議における議論過程では、愛媛県警が実施している「思いやり1.5m運動」も念頭に、より安全なラインとして自動車と自転車との間に1.5メートルを確保、1.5メートルを確保できない場合は徐行するというアイデアも話し合われていました。
その上で、道路環境や放置車両などの影響も念頭に1.5メートルの間隔を確保できないと懸念する自治体もあることをふまえ、具体的な距離にこだわらず「自転車の横を通過する時はしっかりと間隔を空ける」というメッセージを重視する方向性も提案されました。
間隔に応じた安全な速度で走行する
1メートル程度、十分な間隔が確保できない場合、状況に応じて自動車が安全な速度まで減速することも義務となります。
「安全な速度」の目安は時速20〜30キロメートル程度
警察庁は、1メートル程度の間隔を確保できない場合、時速20〜30km程度を目安に減速して運転することを推奨しています。通行時の状況によりさらに低速での走行が必要となる場合があるのは、間隔の確保と同様です。
安全な速度とは、自転車が急にふらついたり、突然停止したりした場合でも、即座に回避や停止ができる速度を指します。
万が一接触が起きた場合でも、重大事故に至らない速度での通過が求められます。
極端に狭い道路や生活道路では徐行や追い抜きしないのも選択肢
自転車との側方間隔が狭くなるほど、求められる走行速度はより低くなります。
極端に幅が狭い道路や生活道路などでは、徐行に近い速度、または無理な追い抜きをしないことも選択肢に入ります。
特に自転車を運転しているのが子どもや高齢者だった場合は、予測しにくい動きを取る可能性にも備え、より慎重な運転が求められます。
自転車側も「できる限り左側端へ寄っての通行」が義務化
今回の改正では、自動車側だけでなく自転車側にも新たな義務が課されます。
自転車等は、自動車等に右側を通過される際、できる限り道路の左側端に寄って通行しなければならないとされます(道路交通法第18条第4項)。
自転車側がこの義務に違反した場合、罰金・反則金も科されます。
自動車に対してルールが厳しくなる一方、自転車側も協力して安全な通行環境をつくることを求める改正となっています。
新ルールに違反した場合の罰則
自動車・一般原動機付自転車ドライバーへの罰則
十分な間隔や安全な速度を守らなかった場合、自動車および一般原動機付自転車のドライバーには以下の罰則が科せられる可能性があります。
3ヶ月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金
違反が認められた場合、刑事罰として3ヶ月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
交通違反として処理される場合には反則金の納付で手続きが完結します。悪質と判断された場合には刑事手続きに移行するケースもあります。
危険を生じさせた場合さらに重い罰則に
また、交通の危険を生じさせるおそれがあると判断された場合には、より重い罰則が適用される可能性があります。具体的には3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金となり、被害の程度によっては危険運転致傷罪などの適用も考えられます。
反則金7,000円・違反点数2点(普通車の場合)
反則金として普通車の場合は7,000円、違反点数として2点が課されます。
点数としては一時停止違反や信号無視などと同等で、累積点数により免許停止処分の対象となる場合もある、軽視できない違反です。
自転車側が左側端に寄らなかった場合の罰則
追い越される際に道路の左側端に寄らなかった自転車等(特定小型原動機付自転車および軽車両)には、被側方通過車義務違反として5万円以下の罰金、または反則金5,000円が課されます。
自転車にも罰則規定が設けられたことで、今後は自動車・自転車の双方が互いのルールを守ることが求められます。
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2026年道交法改正で今後ドライバーに求められる意識の変化
接触しなければOKから安全な間隔と速度の確保へ
これまでの感覚では、自転車に接触しなければ問題ないと考えるドライバーも少なくありませんでした。
しかし今回の改正により、接触の有無にかかわらず、十分な間隔を確保しない通過や、状況に見合わない速度での通過そのものが違反となります。
自転車は、走行中の突風やすれ違う自動車が起こす引き込み風の影響を受け、走行中にふらつく可能性があります。また路面の段差やすべりやすい路面、違法駐車などの障害物の影響で突然進路を変えることもあります。
意図的か否か問わず不規則な動きをする可能性のある自転車に対して、自動車を運転するドライバー側も余裕を持って対応できる十分な間隔と走行速度を意識することが、これからの運転の基本となります。
生活道路の法定速度も時速30キロに引き下げ
2026年9月からは、生活道路における法定速度が時速60キロメートルから時速30キロメートルに引き下げられます。
この変更により、生活道路での速度が時速30キロ上限となり、自転車との距離が近い場合は、30キロ以下の低速での走行が求められます。
自転車追い越し時の新ルールと生活道路の速度規制変更が重なることで、住宅街や通学路など自転車とすれ違う機会が起きやすい生活道路では特に慎重な運転が必要となります。
まとめ
2026年4月1日から施行される改正道路交通法では、自動車が自転車の右側を通過する際に以下のルールが義務となります。
- 自転車との間に少なくとも1メートル程度の間隔を確保する
- 間隔が確保できない場合は時速20〜30km程度まで減速する
- 安全が確保できない場面では後方で待機する
- 違反した場合、反則金7,000円・違反点数2点などの罰則が課される
自転車乗車時にも意識したい新ルール
自転車に乗る場合も、自動車に追い越される際はできる限り道路の左側端に寄って通行することが義務となります。この義務に違反すると反則金5,000円の対象となります。
自転車に乗られる方も、自動車とのトラブルを防ぐため、新ルールを正しく理解しておくことが大切です。
自動車と自転車の双方がルールを守り、思いやりを持って通行することが、安全な道路環境の実現につながります。
万一、自動車と自転車の追い越しを巡り事故やトラブルにあった場合、まずは落ち着いて警察へ連絡し、必要時は弁護士への相談もご検討ください。
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