高齢者ドライバーの交通事故を減らすには?高齢運転者の現状と事故原因、取るべき対策

高齢者ドライバーの交通事故を減らすには?高齢運転者の現状と事故原因、取るべき対策

近年では交通事故の全体件数が減少する中、高齢者ドライバーによる事故の割合が増加し続けています。
死亡事故につながるケースも多く、高齢者による交通事故を防ぐ必要性が高まっているといえるでしょう。

この記事では高齢者の交通事故の現状や事故を防止する方法をお伝えします。

高齢者の交通事故の現状

交通事故が減少する中で、増え続ける高齢者の重大事故

近年、交通事故の全体件数は減少傾向にあります。

たとえば東京都では、2011年には交通事故発生件数が51,477件でしたが、2020年には25,642件にまで減少しました。件数だけでいうと半分程度に減っているといえるでしょう。
東京都の交通事故発生件数の推移(総数・高齢運転者)

一方で高齢者の交通事故割合をみると、2011年には13.4%でしたが2020年には16.6%に拡大しています。

死亡事故においても同様の傾向がみられます。
高齢者(65歳以上)死者数の推移

2011年における死亡事故の発生件数は4,691件でしたが、2020年には2,636件にまで減少しました。
ところが高齢者の割合についてみてみると、2011年は49.2%だったところ、2020年には57.7%にまで増加しています。

以上のデータから、高齢者は交通事故に遭う確率が高く、中でも死亡事故につながる事例が非常に多い事実を読み取れます。

シニアドライバーの方やそのご家族様は、現状を把握して事故対策をすべきといえるでしょう。

高齢者ドライバーの交通事故が社会的なニュースに

高齢者ドライバーによるセンセーショナルな交通事故が社会的なニュースとなる事例も多々あります。

  • ブレーキとアクセルを踏み間違える
  • 交差点に突っ込んで多くの人を巻き込む
  • 高速道路を逆走する

など極めて危険な事故を起こすケースも少なくありません。

高齢者による交通事故の事例

高齢者による交通事故
具体的に高齢者による交通事故にはどういった事例があるのかみてみましょう。

東池袋自動車暴走死傷事故

2019年4月19日、乗用車を運転していた87歳の男性が車を暴走させ、高スピードで交差点へ進入して歩行者や自転車をはねて計11人を死傷させた交通事故です。

加害者は自動車運転死傷行為処罰法違反で書類送検、在宅起訴されました。
本人は無罪主張しましたが、東京地裁からは禁錮5年の実刑判決を言い渡されました。

高齢者によるセンセーショナルな事故として全国的に大きな話題となり、日本中に高齢ドライバーによる運転の危険性を認識させたケースです。

大阪狭山市スーパー暴走死傷事故

2021年11月17日、大阪府大阪狭山市のスーパー店先で89歳の男性が車を暴走させ、3人を死傷させた交通事故です。

加害者は「アクセルとブレーキを文間違えた」と説明していました。

相次ぐ高齢者ドライバーによる事故が問題視され、高齢者に免許返納を促す動きも加速しています。

「靴下屋」創業者 道路横断中の死亡事故

高齢者が歩行中に事故に遭うケースも頻発しています。

2022年1月6日には「靴下屋」を全国展開する「タビオ」の会長(当時82歳)とその妻(当時71歳)が軽トラックにはねられて死亡しました。
お2人は横断歩道のない道路を横断中でした。

高齢者による交通事故の原因(法令違反)ランキング

警察庁「令和2年における交通事故の発生状況等について」によると、高齢者の死亡事故における交通事故違反の原因となった法令違反、上位5位は下記の通りです。

高齢者死亡事故における交通事故原因(法令違反)ランキング
高齢者死者数 死者数 高齢者構成率
安全運転義務違反:ハンドル操作 56 69 81.20%
安全運転義務違反:安全不確認 48 65 73.80%
交差点安全進行違反 28 36 77.80%
一時停止違反(一時不停止) 21 25 84.00%
信号無視 19 28 67.90%

※出典:警察庁「令和2年における交通事故の発生状況等について」より

運転や通行に対する「過去の経験・慣れ」が交通事故発生の遠因に

高齢者が死亡事故を起こす場合、何らかの法令違反を犯しているケースがよくあります。
上記ランキングからは、ハンドル操作不適切、安全不確認による死亡事例が多いことがわかります。

高齢者の場合、運転歴が長いので運転に自信を持っている方が少なくありません。

しかし実際には判断能力や瞬発力が衰えているので、どうしても事故を起こしやすい傾向があるのです。
長年運転経験があるからといって、過剰な自信を持つのは危険といえるでしょう。

高齢者の交通事故につながる「加齢の影響」

高齢者の衰え
加齢がどういったかたちで交通事故発生につながるのか、具体的な原因をお伝えします。

身体機能の衰え

高齢になると、身体機能が衰えていきます。若い頃のように瞬発力や体力がないため、何かあったときにとっさの操作や身のこなしをとれず、事故を起こしてしまいがちです。

認知・判断力の低下

高齢になると、認知力や判断能力も低下します。自分では十分に周囲の安全に気をつけているつもりでも、実際には安全不確認となってしまう事例が少なくありません。

操作不適の発生

高齢ドライバーは身体機能や認知機能が衰えたために操作ミスによる事故を発生させるケースが多々あります。

死亡事故の発生原因1位(法令違反)は不適切なハンドル操作ですし、上記のニュースでご紹介した事件でも加害者は「アクセルとブレーキを踏み間違えた」と説明しています。

若い頃なら間違わないことでも高齢になると間違うケースが多く、間違ったときに適正な対処も難しくなってしまうのです。

高齢者の交通事故を減らすには

高齢者による交通事故の削減は社会全体の抱える問題といえます。
ご本人やご家族にとっては、なおさら重大な問題であり、対策が必須といえるでしょう。

高齢ドライバーによる事故を防ぐため、以下のような工夫をしてみてください。

高齢者講習会の受講

70歳以上の高齢者ドライバーは、高齢者講習を受けないと免許を更新できません。

70歳から74歳までの方は基本的な高齢者講習のみを受けて問題なければ免許を更新できます。
75歳以上の方は認知機能検査も受講する必要があり、問題があれば免許の更新が認められない可能性があります。

また認知機能検査に合格しても、高齢者講習は受けなければなりません。

また75歳以上のドライバーが一定の法令違反行為をすると「臨時高齢者講習」を受けるべき義務が発生します。

こうした高齢者講習をしっかり受けて「事故を起こしやすい傾向や危険性」を自覚し、日頃から注意を払って慎重に運転することが高齢者事故を防ぐための第一歩となるでしょう。

高齢者マークの使用

よつばマーク・もみじマーク
自動車に「高齢者マーク」をつける対策も有効です。

高齢者マークとは、70歳以上の高齢者ドライバーが運転する自動車につけるべきマークです。
もみじマークとよつばマークの2種類があり、どちらをつけてもかまいません。

高齢者マークをつけていると、周囲が「この車のドライバーは高齢者だ」と認識するので、慎重に対応してくれる可能性が高くなります。

高齢者が運転にもたついても、あおられたりクラクションを鳴らされたりしにくくなり、焦って事故を起こす危険も低下するでしょう。

高齢者マークをつけなくても罰則はありませんが、事故防止のために自主的につけるようおすすめします。

定期的な眼科検診

高齢者は視力や低下したり視野が狭くなったりして、周囲の状況を確認しにくくなるケースがよくあります。
動体視力も低下して、周囲の状況を追いにくくなる方も少なくありません。

視力や視野については徐々に機能が低下していくため、自覚しにくい問題があります。
定期的に資力検診や眼底検査を受けて、問題がありそうなら運転をいったん停止して治療に専念しましょう。

サポカーSの導入

サポカーS
高齢者が運転する車を購入する場合、「サポカーS」を検討するのも有効です。

サポカーSとは、運転をサポートしてくれる安全システムを搭載した車をいいます。

目的 機能の名称 サポート機能の詳細
ぶつからない 自動ブレーキ(対車両や対歩行者) レーダーやカメラで前方車両や歩行者を検知し、衝突の可能性がある場合、運転者へ警報を鳴らします。さらに衝突の可能性が高くなると自動でブレーキが作動して事故を防ぎます。
飛び出さない ペダル踏み間違い時加速抑制装置 停止時や低速走行時、レーダーやカメラ、ソナーが前方後方の壁や車両を検知している状態でアクセルを踏み込むと、エンジン出力を抑えたりして急加速を防止します。
はみ出さない 車線逸脱警報 カメラで道路上の車線を検知し、車線からはみ出しそうになった場合やはみ出したときに運転者に対して警報を鳴らします。
ヘッドライト自動切り替え 先進ライト ●自動切替型前照灯
前方の先行車や対向車などを検知してハイビームとロービームを自動的に切り替えます。
●自動防眩型前照灯
前方の先行車や対向車などを検知してハイビームの照射範囲のうち当該車両のエリアのみを部分的に減光します。
●配光可変型前照灯
ハンドルや方向指示器などの運転者操作に応じ、水平方向の照射範囲を自動的に制御します。

上記のような安全システムがついていたら、高齢ドライバーの操作ミスによる事故も発生しにくくなります。

さまざまな車両がサポカーSに対応しており、軽自動車やコンパクトカーでもサポカーSや同等の機能がついているものがあるので、そういった車種を探しましょう。

免許の自主返納の検討

免許返納
70歳を超えた高齢ドライバーの方は、できれば免許を自主返納するようおすすめします。

確かに山間部や地方などで、どうしても車がないと生活できない場合もあります。
そういった状況で、いきなり免許を返納するとたちまち日常に支障が発生するので返納は現実的でないかもしれません。

一方、都会で暮らしている方や子どもと一緒に生活している方の場合、自分で運転しなくても生活できるケースが多数です。
そういった状況であれば、免許を返納して車の運転をやめましょう。

身分証として使える「運転経歴証明書」の交付が受けられる

免許証を返納すると、運転経歴証明書を交付してもらえます。
運転経歴証明書は写真つきで、免許証と同様に本人確認書類として使えるので、身分証明の関係で不便を感じることは通常ないでしょう。

「免許証がないと本人確認書類がなくなる」と心配する必要はないので、運転が必須でないなら早めに返納を検討してみてください。

周囲が返納を勧める

家族会議
ご本人が返納に乗り気でない場合には、お子様や同居のご家族が本人の気分を害しないように、折に触れて免許の返納を勧めてみましょう。

頭ごなしに「返納して」というのではなく、ご本人が「返納してもいいかな」と思える状況を作ることが大切です。

たとえばご本人の好きな芸能人が免許を返納している話などをすると、ご本人の気持ちも動くケースがよくあります。

万一、高齢者の交通事故に巻き込まれたら

注意していても高齢者の交通事故に巻き込まれてしまう可能性を0にはできません。

もしも事故を起こしてしまったり、あるいは高齢者が加害者となる事故に遭ってしまったりしたら、以下の点に注意して対応しましょう。

事故を起こした場合

事故を起こしてしまった場合、必ずその場から逃げずにとどまって警察を呼びましょう。

警察が到着したら、実況見分に立ち会って事故状況を説明する必要があります。
刑事事件になる可能性も高いので、早めに弁護士に相談し、なるべく軽い処分で済ませてもらえるように刑事弁護を依頼してください。

任意保険には必ず加入を

また必ず任意保険に加入しておくべきです。
保険に入って対物対人賠償責任保険を無制限にしていたら、賠償金は全額保険会社が負担してくれますし、示談交渉も保険会社が代行してくれます。

高齢者が被害に遭った場合

高齢者が歩行中などに事故に遭うと、一般的なケースより過失割合が減算される可能性があります。
その結果、受け取れる賠償金額が高額になる可能性があるので、知識として押さえておきましょう。

また弁護士に示談交渉を依頼すると高額な弁護士基準が適用されて賠償金額がアップする事例が多数です。
後遺障害認定への対応も含め、交通事故に積極的に取り組んでいる弁護士へ相談してみてください。

事故状況の把握・記録を忘れずに

事故に巻き込まれたら、被害者であっても加害者であっても事故状況を記録しておくべきです。

その場で写真撮影したりメモをとったりして証拠を残しましょう。

高齢者の起こした事故の被害者となった場合

高齢者が起こした事故の被害者となった場合、後日に相手の保険会社と示談交渉を進めることになります。

その際、弁護士に交渉を依頼すると高額な弁護士基準が適用されて賠償金額がアップします。

後遺障害認定への対応も含めて交通事故に詳しい弁護士へ依頼するのが得策です。

まとめ

高齢者の交通事故への対応・示談交渉は弁護士へ相談を

高齢者事故に備えるため、日常生活や自動車の選定方法などでさまざまな工夫ができます。
実際に事故に巻き込まれてしまったときには弁護士によるサポートが必須となるでしょう。

示談交渉や過失割合の認定、後遺障害等級認定など、弁護士はあらゆる面で事故当事者を助けてくれるものです。

高齢者事故の当事者となってしまったら、自己判断で動く前にまずは弁護士へ相談してみてください。

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