戸籍謄本の取り寄せ方法・費用・必要書類・有効期限を解説

戸籍謄本を取り寄せる方法

戸籍謄本が必要となった場合、居住地と本籍地が同じ市区町村であれば、市町村役場の窓口で戸籍謄本を簡単に受け取ることができます。一方、居住地と本籍地が離れた場所にある場合は、郵送または事前申請を行った上でコンビニ交付で取り寄せるのが一般的です。

この記事では、戸籍謄本を取り寄せる方法と費用・必要書類・発行済みの戸籍謄本に有効期限はあるのかなど、詳しく解説していきます。

戸籍謄本とは

戸籍謄本とは、戸籍に記載されているすべての人の身分事項を証明する書類です。本籍地の役所で請求することができ、相続・婚姻・年金手続きなど家族に関わる公的手続きやパスポートの発行申請などの際に必要となります。謄本は戸籍に書かれている全部の写しであり、抄本は戸籍の記載されている個人の写しです。

平成6年の戸籍法改正からスタートした戸籍のコンピュータ化(電算化)以降、電子化された戸籍の正式名称は、戸籍謄本から全部事項証明書へと呼び名が変わりました。
ただし、現在も一般的に戸籍謄本という呼び方で通じます。市役所等で戸籍謄本がほしい旨を相談すれば、全部事項証明書の発行方法を教えてもらえるでしょう。

相続で戸籍謄本が必要となるケース

戸籍謄本は相続の手続きの中でもよく使われ

  • 相続人の確定
  • 相続登記(相続財産の名義変更)
  • 相続税の申告

などの際に必要となることがあります。

相続人の確定

相続人は、被相続人の死亡時に法定相続人として自動的に相続権を得ますが、その範囲・順位は血縁・家族構成によって異なります。
相続人を確定するには被相続人が生まれてから亡くなるまでの一生分の戸籍を確認することで判断されます。

相続登記(相続財産の名義変更)

不動産や自動車など相続財産に登記・名義変更が必要なものが含まれる場合、登記機関に正当な相続人であることを証明するため戸籍謄本が必要となります。
銀行口座や株式などの金融資産も、銀行所定の相続届・遺産分割協議書・印鑑証明書などとともに被相続人および相続人全員の戸籍謄本を提出することで名義変更を行います。

相続税の申告

相続税は、被相続人の死亡により発生した財産の相続に対して発生する税金で、財産を得た相続人に納める義務があります。
相続税の申告を行う際は、相続人や被相続人の戸籍謄本を添付する必要があります。

戸籍謄本は本籍地の市役所に申請する

戸籍謄本を取得するには、被相続人の本籍地である市役所に申請する必要があります。
転籍や婚姻・離婚などの理由で被相続人が複数回、本籍地の移動を行っていた場合、過去の戸籍謄本すべてを集めるには移動前と後、すべての役所に戸籍謄本の申請をしなければなりません。

本籍地を確認する方法

戸籍謄本の発行を本籍地に申請したいのに、本籍地がはっきりわからない場合は以下の方法で本籍地を確認することが可能です。

住民票で本籍を確認する

住民票には本籍地が記載されているので、住民票を発行することで確認することができます。
ただし、住民票の交付申請を行う際の必要項目として「本籍・筆頭者」欄にチェックを入れ、「本籍地・筆頭者が記載された住民票」を取得する必要があります。

運転免許証のICチップの情報を確認する

古い運転免許証には本籍地の記載があったのですが、2007年以降、現在の免許証はICチップ化が行われ、本籍の情報はICチップに格納されました。
以後、免許証そのものに本籍は記載されなくなりましたが、ICチップの内容を読み取ることで本籍の情報を確認することができます。

本籍を含むICチップの内容は、以下のような方法で確認することができます。

  • スマホアプリでICチップを読み取る
  • 警察署・免許センターの端末で確認する

改正戸籍法により最寄りの市町村役場での申請が可能に

こうした現状をふまえ、令和元年5月24日に成立した改正戸籍法では、法務省が導入・管理する戸籍副本データ管理システムを活用し、本籍地でなくても最寄りの市町村役場での申請で過去のものを含むすべての戸籍謄本を請求できるようになりました。
このシステムは令和5年度中(2023年4月~2024年3月)の運用開始を目指し準備が進められていますが、2023年10月現在ではまだ本籍地に対する申請が基本となっています。

戸籍謄本を取り寄せる方法

戸籍謄本を取り寄せる方法は、

  • コンビニ
  • 郵送
  • 市役所の窓口

の3つがあります。それぞれの方法について説明します。

コンビニで戸籍謄本を発行する

本籍地がコンビニ交付サービスに対応している地域なら、マイナンバーカードを利用しコンビニで戸籍謄本の交付を受けることができます。
コンビニのマルチコピー機で、即日で戸籍謄本の交付を受けられる点は、コンビニ交付の大きなメリットです。

本籍地と現住所が異なる場合は事前申請

本籍地と現住所が異なる場合は、コンビニ交付を利用する前に事前申請が必要です。事前申請はマルチコピー機での操作あるいはカードリーダーに対応したパソコンを使ってインターネット経由で行えます。

本籍のある自治体がコンビニ交付に対応していれば、事前申請の手続きから3~5営業日程度で、コンビニ交付による戸籍謄本を発行できるようになります。

コンビニの戸籍謄本の発行に必要なもの

上記の通り、コンビニでの戸籍謄本の発行にはマイナンバーカードが必要です。
マイナンバーカードを持っていない方は、コンビニ交付を利用することはできません。また、マイナンバーの通知カードも、マイナンバーカードとは別物なので使用できません。

戸籍謄本のコンビニ交付の費用

発行する自治体によっても異なりますが、戸籍謄本のコンビニ交付にかかる費用(手数料)は300円~350円程度のケースが多いです。
窓口での発行手数料に比べ、コンビニ交付の方が低額で設定されているのが通常です。

郵送で戸籍謄本を取り寄せる

郵送は、戸籍謄本を取り寄せる最も一般的な方法です。特にマイナンバーカードを持っていない方の場合、本籍地のある市区町村とは異なる遠方に住んでいる方の場合は、郵送で申請するのが通常です。

郵送での戸籍謄本の発行に必要なもの

郵送による戸籍謄本の取り寄せには、以下の必要書類等が必要です。

  • 戸籍謄本請求書(請求書・申請書の書式は自治体ホームページよりダウンロードあるいは指定の書式で作成)
  • 本人確認書類の写し(免許証・パスポート・マイナンバーカード等)
  • 発行手数料(郵便定額小為替または現金書留)
  • 返信用封筒(返信先住所・宛名の記入+切手を貼った状態)
  • その他の書類(必要な場合のみ)

郵送で戸籍謄本を取り寄せる場合は、これらの必要書類を本籍地のある市役所に郵送で送ります。
おおよそ1週間~10日程度で、同梱した返信用封筒を使って戸籍謄本が郵送されてきます。

郵送による戸籍謄本取り寄せにかかる費用

戸籍謄本の発行手数料は1通につき450円です。
郵便定額小為替には50円~1000円まで12種類の金額の証書があり郵便局で申し込めますが、証書1枚につき200円の発行費用がかかります。

戸籍謄本1通ならば450円の証書を1枚で合計650円のコストとなりますが、戸籍謄本の通数が多い場合、証書の枚数が増えるごとにコストは大きくなります。
たとえば3通取り寄せると戸籍謄本の費用として必要な金額は1350円となりますが、証書を含めた費用は以下のようになります。

  • 戸籍謄本 費用450円証書x3枚+手数料 200円x3枚=合計1950円
  • 戸籍謄本 費用1000円証書+350円証書+手数料 200円x2枚=合計1750円

申請先の役場から特別な指定や指示がない限り、証書の枚数がなるべく少なく済む形で必要分を用意した方が、全体のコストを低減できます。

発行する戸籍謄本の数が不明な場合、郵便定額小為替の金額を多めに

また、被相続人の戸籍謄本が申請先に何通・何種類あるかがわからず、送付先の役場に相談してもハッキリしない場合は、郵便定額小為替の金額に余裕を持って多めの金額を入れておくことをおすすめします。
戸籍謄本の発行費用に対し郵便定額小為替が不足していた場合、追加で不足分の郵便定額小為替だけを準備、再送しなければならなくなります。必要な証書枚数が後から増えるため、証書の手数料もかさみます。

被相続人の一生の戸籍を請求依頼する場合は、一度、送付先役場に問い合わせ、戸籍が何通くらいになるか、必要な郵便定額小為替金額の目安を確認しておくと良いでしょう。

市役所の窓口で戸籍謄本を請求する

取り寄せではなくなりますが、本籍地である市役所の窓口に直接行けば戸籍謄本を請求できます。
窓口で申請書に必要事項を記入し、手数料を支払います。手数料は1枚450円です。窓口で戸籍謄本を受け取るか、時間がかかる場合等は後日郵送してもらうかも相談できるでしょう。

戸籍謄本の取り寄せは代理人に依頼できる

戸籍謄本の交付申請は、本人や家族が行うのが通常ですが、本人がやむを得ず役場に出向けない場合などは、委任状を書いて代理人に依頼することが可能です。
普通の人が代理人として行えるのは戸籍謄本含め書類を揃えるところまで、契約や申請など実際の法的手続きを本人に代わって代理することは、代理人が弁護士である以外の場合は認められません。

戸籍謄本の取り寄せにかかる日数

戸籍謄本の取り寄せにかかる日数は、申請方法や発行する役場によって異なりますが、一般的には、以下程度の日数で到着するものと考えられます。

  • コンビニ交付:マルチコピーによる即日発行
  • 郵送の場合:1週間~10日

郵送による取り寄せ日数は目安であり、請求先役場への請求内容や業務の混雑状況、郵便事情によっても変動する可能性があります。また、遠方の役場から取り寄せる場合は、より時間がかかることも考えられます。

戸籍謄本の郵送を希望する場合、入手から実際の謄本の使用まで、期間の余裕を持って申請を行えるよう準備を進めてください。
急ぎで戸籍謄本を準備したい場合は、マイナンバーカードを利用し、コンビニ交付で発行してもらうことをおすすめします。

戸籍謄本の有効期限

戸籍謄本自体に一定の有効期限は特に定められていません。ただし、発行から間が空けば空くほど古い情報とみなされ、現状をあらわす公的証明としての信頼性は下がります。
発行からおおよそ3ヶ月を越えると、提出先が戸籍謄本の内容について本籍地に確認連絡を行ったり、提出先によっては3ヶ月・6ヶ月など独自の有効期限を設定し、発行から間の空いた戸籍謄本は受領を断られる可能性もあります。

戸籍謄本そのものに期限はなくても、戸籍謄本を受け取る側が期限を設けるかどうかは、提出先の判断次第によります。
戸籍謄本の発行時期について不安がある場合は、提出先に問い合わせるか、あるいは最新の戸籍謄本を新たに取り寄せるのが最も確実でしょう。

まとめ

戸籍謄本は本籍地の市区町村役場の窓口に出向かなくても、コンビニ交付や郵送で取り寄せることができます。
戸籍謄本の取得はそこまで難しいことではありませんが、さまざまな相続手続きと並行し、手続きに必要な戸籍謄本をもれなくすべて収集するのは、不慣れな一般の方にとっては意外と骨の折れるタスクとなります。

相続人が多い場合や家族関係が複雑な場合などは、相続に強い弁護士に相談することで、戸籍謄本の取り寄せを含めて煩雑な手続きは弁護士に任せ、相続手続きを確実に進めていくことが可能です。
相続ならびに相続のための戸籍謄本準備で不安を感じた場合は、ぜひお近くの弁護士事務所までご相談ください。

遺産相続に強く評判の良い弁護士事務所を探す

遺産相続

相続問題で悩みを抱えていませんか

  • 相手がすでに弁護士に依頼している
  • 遺産分割の話し合いがまとまらない
  • 遺産を使い込まれているがどうすれば?