オービスとは?光り方と光る速度、違反後の罰金・罰則と手続きの流れ

オービスとは
自動で速度違反を取り締る装置にオービスがあります。最近では定置式だけでなく移動可能な可搬式オービスも多くみられるようになりました。

ここではオービスの種類や特徴、スピード違反でオービスが光ったらどのような手続きが必要か、罰金や行政処分について解説します。

オービスとは

オービスの例オービスとは自動車の速度違反を自動で取り締まる装置のことです。

高速道路や一般道に設置されており、道路を走る自動車の速度を計測し、一定以上の速度違反を検知すると光で運転者でへ通知、道路上部や路肩に設置したカメラでナンバープレートと運転者を撮影します。

また、オービスという名称はボーイング社の速度取り締まり装置の商標ですが、他の取り締まり装置も含む「自動車速度違反取り締まり装置」全般の通称として使用されています。

オービスには事前予告の看板・電光表示がある

オービス事前予告看板
オービスが設置してある場合には通常、設置場所より前の道路に予告の看板があります。予告なしで取り締まりをしたほうが効率的にも思えますが、これはプライバシーに配慮したものです。

事前予告の看板は、オービスの手前1km~3km程度のところに複数設置されています。「自動速度取締機設置区間」などと明記されており、看板の大きさや色は設置してある地域や道路によって異なります。

移動式(可搬式)オービスの場合、告知看板の設置等が困難なケースもありますが、警察のホームページ上やSNSなどで事前に告知することで周知しているという認識になっているようです。

また、オービスが自動撮影するのは一定以上の速度超過違反が認められる場合のみです。

オービスとネズミ捕りの違い

オービスは固定式のものが主流でしたが、最近では移動可能な可搬式オービスも増えています。設置場所が毎回変わるとなると、従来のいわゆるネズミ捕り(定置式速度取締り)と似ていますね。

オービスとネズミ捕りの違いは、その場で検挙されるか後日出頭するかです。ネズミ捕りは、速度違反をした場合、その場で警察官によって停止され、違反切符を切られます。停止係・現任係・取調係など、複数人の警察官によって取り締まります。

一方、オービスはその場で取り調べを受けたり違反切符を切られたりはしません。後日呼び出しによって検挙されます。人員や取り調べスペースの確保が不要で、狭い道路や夜間や早朝にも取締り可能なため、警察にとって効率的な方法といえるでしょう。

オービスの種類

オービスには現在、さまざまな種類があります。速度の測り方、撮影方法、定置式か移動式かなど、それぞれの特徴についてみてみましょう。

レーダー式オービス

レーダー式オービス
レーダー式オービスはもっとも古くからあるタイプのオービスです。

現在一般的なレーダー式オービスは道路上部に設置した機器からレーダーを照射して自動車の速度を測り、路肩に設置したカメラで撮影します。

古いものは撤去が進んでいますが、まだ使用されているものやダミーとして残されているものもあります。

ループコイル式オービス

ループコイル式オービス

ループコイル式も古くからあるオービスです。
路面に埋め込んだループコイルで速度を測り、路肩設置のカメラで撮影します。

目立ちにくいため発見しにくく、市販のレーダー探知機では検知しにくいと言われています。

Hシステム

Hシステム
Hシステム(高速走行抑止システム)はレーダー式オービスが進化したもので、カメラがデジタルカメラになっています。

また、新型Hシステムはレーダーの照射パターンを変化させることで探知機によって検知しにくい仕組みになっています。

LHシステム

LHシステム
LHシステムはループコイル式オービス(L)とHシステム(H)の仕組みを両方用いたもので、現在最も多く設置されている固定式のオービスです。

ループコイルで速度を測り、道路上部のデジタルカメラで撮影します。

LS型はLHシステムの小型移植版

LHシステムを小型にしたのがLS型です。道路上部ではなく路肩に設置したCCDカメラで2車線を撮影できます。

移動式オービス

ここからは定置式ではなく、移動可能なオービスについてみていきます。移動可能といっても、半固定のもの、1人で運べるものまでさまざまです。

車両移動式オービス

ワンボックスカーにオービスを積んで移動し、取締まり実施場所に駐車して速度の計測、撮影を行うのが車両移動式オービスです。現在は運用されていません。

可搬式(小型)オービス

可搬式オービス運用中!!
大阪府警察ホームページより

可搬式オービス言われるのは一般的に1人でも運ぶことができる小型オービスです。

新型小型オービスと呼ばれることもあります。可搬式オービスは数機種存在し、速度を計測する仕組みが若干異なるものの、最小限の人員で運用可能な上、スペースをとらず、生活道路などの狭い道に設置可能という点は共通しています。

半可搬式(中型)オービス

半可搬式オービスは、移動可能ですがトラックなどで運ぶサイズの中型オービスです。

半固定式オービス

半固定型オービスは、オービス本体のみが移動可能なオービスです。オービスを設置するベース部分は固定されており、移動できません。

光電管式移動オービス

可搬式のオービスには、市販の探知機での検知が困難といれれている光電管式のオービスも存在します。

オービスと間違いやすいNシステム

Nシステム
Nシステムとは自動ナンバー読み取り装置の通称で、自動車のナンバーを自動で読み取って送信する装置です。車両の追跡、照会が可能で、犯罪捜査に役立っています。
速度を計測する機能はないため、速度取締りには利用されません。

オービスが光る速度

オービスが光るのは、一定以上の速度超過違反をした場合と言われています。
一般道では30km以上のオーバー、高速道路では40km以上のオーバーが目安です。

ただし、可搬式オービスは制限速度の低い生活道路に設置されることもあり、15kmほどのオーバーでも光ると言われています。

オービスが光る速度は公表されていませんが、悪質性の高い速度超過違反に限って光ると考えられるため、道路状況などにより取締りの速度は変化するものと思われます。

オービスの光り方

速度超過違反を検知したオービスが光るのは、運転者への通知の意味があると言われています。

速度超過違反により撮影されたことを自覚させることで、その後の手続きをスムーズに行うという目的もあるでしょう。

オービスの光の色と明るさ

オービスの光の色は一般に赤が多いと言われていますが、白く光るオービスもあります。

運転者への通知が目的なので、基本的には強く明るい光です。ただし、一部の小型の可搬式オービスなどでは光が弱くわかりにくい場合もあるようです。

オービスの見本動画

オービスが光らないケース

自動速度取締機設置区間走行中に速度超過違反をしていたのにオービスが光らない、という場合には、たとえば次のようなケースが考えられます。

  • ダミーのオービスだった
  • 他のシステム(NシステムやTシステム)だった
  • スピードメーターの見間違い・実際の速度よりも速い速度が表示されていた

ダミーのオービスだった

「オービスの種類」の章でご紹介した通り、オービスの中には旧式ですでに自動取締用の機材としては運用していないものの、ドライバーに注意を向けさせる目的でダミーとして設置が続けられているケースがあります。

こうしたダミーの場合であれば、オービスの前を速度超過で通過したとしても、当然光りませんし、撮影も行っていません。

他のシステム(NシステムやTシステム)だった

自動車のナンバー読取を目的としたNシステムや、渋滞状況の把握などに利用されるTシステムなど、オービス以外のシステムで使われているカメラであれば、オービスのように光が出ない場合があります。

スピードメーターの見間違い・実際の速度よりも速い速度が表示されていた

自分の速度の見間違いで、実際は速度超過していなかった場合は当然ですがオービスは光りません。

オービスの存在に気づいて慌ててしまったとき、錯覚で自分のスピードに問題なかったか、不安になってしまうことはありえます。

オービスが光った場合の罰金と罰則

オービスが光るケースでは、30kmオーバー以上の速度超過違反の場合がほとんどですから、高額な罰金や免許停止処分などが予想されます。

速度違反の罰金

オービスが光る条件と考えられている一般道で30km、高速道路で40kmオーバー違反の場合、10万円を上限とした罰金を科されます。

速度超過の罰金
一般道路 30km以上の超過 10万円以下の罰金
高速道路 40km以上の超過

また、前述のとおり、現在は15kmオーバー程度の違反でも光るオービスが存在します。30km未満のオーバーでは罰金ではなく反則金を納めます。

速度超過の反則金
道路種別 超過速度 大型車 普通車
高速道路 35km以上40km未満の超過 40,000円 35,000円
30km以上35km未満の超過 30,000円 25,000円
一般道路 25km以上30km未満の超過 25,000円 18,000円
20km以上25km未満の超過 20,000円 15,000円
15km以上20km未満の超過 15,000円 12,000円
15km未満の超過 12,000円 9,000円

速度違反の違反点数

速度超過違反行為による違反点数は次のとおりです。

  • 30kmオーバー(高速道路40kmオーバー)以上50km未満 … 6点
  • 50kmオーバー以上 … 12点

違反速度で罰則は変わる

オービスを光らせてしまった場合、違反した速度によって罰則が変わります。

例えば高速道路40kmオーバーなら6点ですから過去に免停などの処分を受けていない場合で30日間の免許停止処分です。
しかし高速道路で50km以上の違反をすると12点、最低でも90日間の免許停止処分です。

速度超過の違反点数
道路種別 超過速度 違反点数
一般道路 20km未満の超過 1点
20km以上25km未満の超過 2点
25km以上30km未満の超過 3点
高速道路 25km以上40km未満の超過 3点
一般道路 30km以上50km未満の超過 6点
高速道路 40km以上50km未満の超過 6点
一般道路・高速道路 50km以上の超過 12点

オービスが光った後の流れ

オービスを光らせてしまった後、どのように手続きが進むのか、不安ですよね。

罰金がいつ決まるのか、免許はどうなるのかなど、手続きの具体的な内容についてみていきます。

  1. 出頭通知書が届く
  2. 警察署へ出頭する
  3. 簡易裁判所へ出廷する
  4. 呼出通知書が届く
  5. 免停手続きを行う
  6. 免停講習を受講する
  7. 免許証の返還

出頭通知書が届く

オービスに検知されて光らせてしまってから、数日~1カ月程度で出頭通知書が届きます。
基本的には自動車の所有者の自宅に届きます。

警察署へ出頭する

通知書に記載されている出頭場所へ出頭します。日時も記載されています。

旅行中の違反等で出頭場所が遠方の場合や、指定の日時に出頭できない場合は警察へ連絡して変更してもらうことが可能です。

警察署へ出頭すると、オービスで撮影された画像データを見せられて事実確認をし、サインをします。

出廷通知書が届く

次に、出廷通知書が届きます。出頭してから数日ほどで届くことが多いでしょう。

簡易裁判所へ出廷する

出廷通知書に記載されている場所へ出廷します。
出廷日時も記載されていますが、都合が悪い場合は変更してもらうこともできます。

簡易裁判所へ出廷する際は、罰金用に現金を持参するとその場で支払い可能です。
罰金は最高で10万円ですので10万円用意しておくとよいでしょう。

裁判所では再び事実確認が行われ、罰金の金額が決まります。
略式裁判により判決結果は当日でますので、そのまま罰金を納めて帰宅します。
後日振り込みで支払う場合もあります。

呼出通知書が届く

裁判のあと、今度は警察署から呼出通知書が届きます。こちらは行政処分決定のためです。

免停手続きを行う

呼出通知書記載の日時に警察署へ出頭します。日時は変更可能です。

出頭後、免許停止の手続きをします。
免許停止の期間は、違反点数や過去の処分内容によって変わりますが、一般的なオービスが光るとされている30km(高速道路40km)オーバーの違反では6点以上の違反点数ですから、免許停止処分は免れません。

免停講習を受講する

料金はかかりますが、免許停止処分者講習を受講することで、免許停止期間を短縮できます。

受講は任意のため、仕事などで自動車の運転が必要な方は受講を検討することをおすすめします。
短期・中期・長期講習があり、それぞれ短縮日数や費用が異なります。

免許証の返還

免許停止期間を終えると、免許証を返還してもらえますので、受け取りに行きます。

オービスの通知が届かないケース

オービスが光ったのに通知が届かない、という場合にはどのようなことが考えられるのでしょうか。一般的な例をみていきます。

撮影に失敗していた

悪天候や、障害物により撮影がうまくいかずにナンバーや運転者が特定できない場合には、撮影されたとしても通知が届かないケースが考えられます。

オービスのフィルム切れ

古いオービスではフィルムが切れると画像が残らないため、たまたまフィルム切れのときに撮影された場合は速度超過違反を検知されていても通知が届かないことがあります。

免許証や車検証の住所が古い

免許証や車検証の住所変更をしていない場合、通知に時間がかかっている可能性もあります。

運転者の特定に時間がかかっている

レンタカーや知人の車などを運転中にオービスを光らせた場合は、運転者の特定に時間がかかっている可能性が考えられます。

オービスを回避する対策

光らせてしまうと運転免許の停止など大きな代償を払うことになるオービスですが、回避する手立てはあるのでしょうか。

オービスの設置場所を把握する

オービスの設置場所は事前予告看板で把握できます。定置式オービスなら設置場所を覚えておくのも有効です。

可搬式オービスなどでは、警察のSNSやホームページ等で事前に情報を確認できる場合があります。

スマホのオービス検知アプリを利用する

スマホの地図アプリに、オービスを探知できるものがありますので活用するのもよいでしょう。

レーダー探知機を設置する

市販のレーダー探知機を自動車に設置する方法もあります。

ただし、現在は探知機で検知できないオービスも多いので導入してもすべてを回避できるわけではありません。

やってはいけないオービス回避対策

オービスを回避したいからといって、悪質な対策をしてはいけません。次のようなことは絶対に避けましょう。

ナンバープレートを隠す

ナンバープレートを撮影できなければ出頭通知書は届かないでしょう。しかし故意にナンバープレートを隠すことはやめましょう。

ナンバープレートを外したり、何かを被せたりして見えなくすること自体が違反となります。

顔を隠して違反速度でオービス通過する

運転者の顔が不鮮明な場合や、マスクやサングラス等で個人が特定できない場合でも、ナンバーが分かればその自動車の所有者に通知が届きます。

顔がわからないように手や被り物で故意に隠した状態でオービスを光らせた場合、悪質な行為とみなされて警察から捜査されることもあるようです。

オービスについてよくある質問

オービスの通知書はいつ頃届く?

オービスに撮影された場合の通知書は、数日で届くこともあれば、特定に時間がかかり数カ月後に届くこともあります。
おおむね数日~1カ月の間に届くと考えてよいでしょう。

オービスで測定できる速度の限界は?

オービスによって測定できる速度には限界があります。
種類によって異なりますが、200kmを超えた速度で走行していても測定できるものがあります。

オービスの取り締まりの回避方法として、「オービスの測定可能速度を超えて走行して検知を免れる」のは現実的ではないでしょう。

速度規制がある場合、オービスの光る速度も変わる?

高速道路では、天候などの影響により速度規制がかかることがありますよね。
そういった場合でもオービスが検知する速度超過違反の速度は変化しないと考えられます。

ただし、オービスが撮影しなくとも違反にはなりますし、速度規制は道路状況の悪化などの理由があってされているものなので、速度規制にはきちんと従いましょう。

オービスに撮られたか警察へ問い合わせるのはアリ?

運転中に何か光った気がする…と不安になり、確認したくなる可能性もあるでしょう。

しかし、オービスに撮影されたか否かを警察に問い合わせても、状況を確認することはできません。

オービスから送信されたデータを解析し、対象の自動車を特定するまでの間は警察にも状況がわかりませんので、通知を待つしかありません。

まとめ

うっかりスピードを出しすぎてしまうことは、どなたにでもあるでしょう。

しかし、警察や道路管理者がオービスなどを使って速度を取り締るのは、あくまで交通事故防止、安全のためです。

オービスに気を付けて走行し、罰金や免許停止処分を受けないほうがよいのは当然ですが、もとより制限速度を守り、安全運転に努めることが重要です。

心当たりのない速度違反で出頭通知書が届いた方や、オービスの問題で不安がある方は、弁護士に相談することをおすすめします。

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