自転車の飲酒運転は処分の対象?罰則と処罰の条件、過失割合への影響

自転車でも、飲酒運転は違法です。罰則は酒酔い運転で5年以下の懲役または100万円以下の罰金

飲酒運転は自転車であっても処分の対象になります。
今回は、自転車で飲酒運転をするとどうなるのか?罰則や処罰の条件、過失割合などについて解説します。

自転車でも飲酒運転は違法でNG

たとえ乗っている車が自転車だったとしても、お酒を飲んだ後の飲酒運転は違法な行為です。

道路交通法の第65条1項は「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」 と、酒を飲んで車両等を運転することをはっきりと禁じています。

この「車両等」には、道路交通法上「自転車」も含まれます。
つまり、法律上、飲酒運転は自転車でも禁止されていることになります。

自転車は道路交通法上の軽車両にあたる

自転車は道路交通法上の軽車両にあたり、公道を走行する際は車両としてのルールを遵守する義務が伴います。
そのため、自転車であっても自動車と同様に違反すれば罰則を受けることになるので注意しましょう。

他人に飲酒運転させる行為も禁じられている

また

  • お酒を飲んでいる人に車両を貸すこと
  • 運転をする予定がある人にアルコールを飲ませること
  • 運転手が酒気を帯びていることを知りつつ運転させること

も、車両がたとえ自転車の場合でも禁じられた違法行為です。
自分が飲酒運転をしなくても、他人に飲酒運転させることになる行為も道路交通法違反となります。

自転車の飲酒運転で課される罰則

具体的には、自転車の飲酒運転の罰則として「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」が課せられます。
しかし、自動車の飲酒運転と比べると、罰則が異なる点もあります。詳細を確認していきましょう。

酒酔い運転で「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」

まず、自転車での飲酒運転について、道路交通法第117条の2は「アルコールの影響により正常な運転ができない恐れがある状態」で運転する「酒酔い運転」をした場合、「5年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する」と規定しています。

ただし、自転車には自動車と違って運転免許がないため、免許の違反点数を引かれることはありません。

自転車の酒気帯び運転は処罰の対象外

飲酒運転には

  • 酒気帯び運転
  • 酒酔い運転

の2種類があります。
このうち自転車による飲酒運転で罰則を受けるのは「酒酔い運転」した場合のみです。

自転車の「酒気帯び運転」では、取り締まりはあるものの罰則はありません。
しかし、刑事罰の対象ではないだけで、法律違反であることに変わりはないことに注意しましょう。

酒気帯び運転・酒酔い運転の違いについての詳細はこちらの記事をご覧ください。

悪質な場合、自転車事故で自動車の免許停止の可能性も

自転車の飲酒運転によって重大な事故を起こした場合、自動車運転免許の停止処分が下ることもあります。

道路交通法103条1項8号

免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるときは免許を取り消し、又は六月と超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。

先述の「車両等」と同様、「自動車等」の中には、自転車も含まれます。自転車で行った違反に対して、自動車でも同様の違反行為をする可能性を考慮し免許停止に至る可能性もゼロではありません。
自転車の飲酒がきっかけで、自動車の免許に影響する可能性があることは覚えておきましょう。

自転車の飲酒運転による交通事故の過失割合はどうなる?

自転車の飲酒運転による事故でも、基本の過失割合は通常の自動車同士の事故同様、事故のパターンで決まります。
交差点の有無、直進時か右左折時かなど、事故発生時の道路状況および車両状態によって、基本の過失割合は様々に変わります。

基本の過失割合は自転車より乗用車の方が高い

交通事故の結果に対する責任の割合である過失割合については、自転車と自動車の事故の場合、基本的には自動車の過失割合が大きくなるのが通常です。

これは自動車よりも自転車の方が大怪我をする危険性が高いことから被害者保護のために過失割合が低く設定されているためです。
しかし、自転車搭乗者が飲酒していた場合、自転車側の責任を重く見られ、通常の自動車対自転車よりも不利な過失割合となるケースはあります。

飲酒運転だと自転車の過失が10%〜20%加算される

飲酒運転の場合、事故発生の危険を高めたものとして重大な過失と認められるため、酒気帯び運転で10%、酒酔い運転では20%が過失割合に加算されます。

基本的な過失割合が0%の事故だったとしても、自転車運転者が飲酒した状態で事故を起こすと、10〜20%の過失割合が加算される可能性はあります。
相手側自動車が高級車で高額な被害額・修理費が発生した場合、たった10%の違いでも、100万円以上もの賠償が発生するケースはあります。

過失割合がどのように決まるのか、過失割合のルール・具体例などの詳細は以下の記事もご参照ください。

自転車の飲酒運転を避けるには

自転車での飲酒運転を避けるにはどのような方法があるのでしょうか。

飲んだら乗るな、乗るなら飲むな

結局のところ「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」、自動車と同じく、飲酒をするつもりなら乗らない、乗るなら飲まないのが一番の対策です。

もちろん、自転車で移動していた際に美味しそうなお酒を見つけ、飲みたくなってしまうのはごく自然なことですが、自動車であればお酒は飲まない前提で過ごすのが一般的であるように、自転車においても、自転車に乗る前提なら飲まない、お酒を飲む前提なら自転車を使わず公共交通機関を使うなど、事前の配慮が重要です。

お酒を飲んだら自転車は乗らずに手押しで移動する

それでも、自転車を利用した日にお酒を飲んでしまった場合は、自転車に乗らず、ハンドルを手で押して移動するのであれば、飲酒運転の罪を問われることはありません。

自転車を手で押して歩く分には、運転中の車両ではなく歩行者としての扱いになります。そのため、飲酒運転にはあたりません。
自転車を使っている日にお酒を飲んでしまった場合は、自転車に乗らず、必ず手で押して移動するようにしましょう。

帰りの移動手段を互いに確認する

また、飲酒運転を防ぐには運転者だけが気をつけるより、一緒に飲む人やお酒を提供するお店、家族など、みんなで防ぐ姿勢が大切です。
お酒を注文したり乾杯する前に、互いに帰りの移動手段を確認するだけでも、自動車・自転車の飲酒運転を予防するきっかけになります。

自転車を運転する予定のある人にお酒を飲ませる行為そのものが道路交通法への違反です。
自分を守る意味合いも含め、互いに声を掛け合って楽しいお酒を交わすのが良いでしょう。

自転車の飲酒運転で事故を起こした場合の対処法

では実際に自転車の飲酒運転に伴う事故を起こしてしまったという場合には、そのように対処法すれば良いのでしょうか。
考えられる具体的な対処法を解説していきます。

弁護士に相談して示談交渉を進める

まず、自分が自転車の飲酒運転で事故を起こしてしまった場合は、速やかに交通事故案件を扱う弁護士に相談してください。弁護士であれば、相手方との示談交渉を可能な限り相談者の過失が少なくなるよう粘り強く交渉してくれます。また、状況に応じて調停、裁判などの手続きを進める際もスムーズに対応してもらえます。

飲酒運転で交通事故が起こった場合、当然ですが、飲酒運転をした側の処罰が厳しくなるのが通常です。
不利な状況のまま示談交渉が進むのを避けるためにも、相手方や保険会社相手に自力で交渉するのではなく、早い段階で交通事故に強い弁護士に依頼するのが良いでしょう。

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飲酒運転の自転車にぶつかられた場合は、相手の過失を明確に主張する

それでは、もし飲酒運転の自転車にぶつけられてしまった場合はどのように対応したら良いのでしょうか。

相手側の飲酒運転を原因とする事故の場合、相手の飲酒運転の悪質性を客観的に指摘し、相手の過失が決して軽くないことを明確に主張するようにしましょう。
自転車の飲酒運転は紛れもない道路交通法違反、犯罪行為のため、交渉そのものとしては被害者側に有利となるのが通常です。

ただし、交通事故における過失割合の決め方として、飲酒運転をしていれば自転車側に過失割合が必ず加算されるとは限りません。事故発生時の両者の走り方や道路状況など、飲酒運転以外の過失も総合的に考慮されます。そのため、過失割合に加味されない結果になるケースも有り得る点は理解しておきましょう。

相手の飲酒運転に対し、確実に相手の責任を問い、十分な損害賠償を求めたい場合は、交通事故に精通した弁護士に相談するのがベストです。

まとめ

自転車の飲酒運転は、道路交通法により明確に禁止されています。

罰則としては、自転車の場合「酒気帯び運転」での罰則はないものの、「酒酔い運転」と判断されれば「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」が課され、悪質な場合は自動車免許が停止されることもあります。 自転車事故で過失割合が問題になった場合は、飲酒運転をしていた側に10〜20%の過失割合が加算されます。

自転車であっても飲酒により判断能力などが低下し、事故が発生する危険性は非常に高まります。お酒を飲んだら自転車には乗らずに手で押して移動するなど、飲酒運転にならないよう配慮して行動しましょう。

もし飲酒を原因とした事故が発生してしまった場合は、交通事故案件の経験豊富な弁護士に依頼して示談交渉を進めると良いでしょう。

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