交通事故の示談金相場を5つのケース別にご紹介

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交通事故の示談金には、すべてのケースに当てはまる一律の相場はありません。怪我の程度や後遺障害の有無、休んだ仕事の収入などによって、総額は数十万円から数千万円、死亡事故では1億円を超えることもあります。

ただし「相場がない」で終わってしまうと判断ができないため、この記事では怪我の重さごとのおおまかな目安と、示談金がどう決まるのかの仕組みを順に整理します。

交通事故の示談金の相場はどのくらい?

不幸にして交通事故の被害に遭った場合、被害者が加害者や保険会社に示談金を請求するのは正当な権利です。

ただし、まず注意したいのは、保険会社が最初に提示してくる示談金は、被害者にとって不当に低い金額であることがほとんどだという点です。適正な金額を知らないまま示談してしまうと、後から取り返すことは原則できません。

では交通事故の被害者が加害者に請求できる示談金の相場はどのくらいなのでしょうか?

怪我の重さ別に見た示談金の目安

交通事故で受けた怪我の重さごとに、示談金総額のおおまかな目安を示すと以下のとおりです。
金額は「自賠責保険の基準(最低限の補償)」と「弁護士基準(裁判でも用いられる基準)」とで大きく変わるため、幅で記載しています。
※実際に手元に入る金額とは異なる場合があります。

ケース 示談金総額の目安 主な内訳
軽傷・通院のみ
(むちうち等・数ヶ月)
約20万円~120万円程度
※休業損害などにより120万円を超える場合あり
治療費・通院交通費・休業損害・入通院慰謝料
後遺障害が残った
(14級程度)
約100万円~300万円程度 上記+後遺障害慰謝料+逸失利益
後遺障害が残った
(12級程度)
約300万円~1,000万円超 上記+後遺障害慰謝料+逸失利益
重い後遺障害が残った
(1級~8級など)
約1,000万円前後~数億円 上記+将来介護費・家屋改造費など
※介護が必要な重度障害の場合
死亡事故 約3,000万円~1億円超 死亡慰謝料・逸失利益・葬儀費など

上記はあくまで目安であり、同じ怪我でも事故の状況・過失割合・収入によって金額は上下します。

示談金に一律の相場はない

結論から言えば、示談金には一律の相場はありません。
交通事故の示談金は、事故態様、怪我の程度、後遺障害の有無など、ケースごとに異なる様々な要因によって、金額が大きく変わるからです。

そのため「交通事故の示談金の相場はいくら」という問いに対しては一つの数字で答えることはできず、自分のケースに当てはめて計算する必要があります。

示談は一度成立したら変更できない

示談に際して注意すべきなのは、一度示談が成立してしまうと、「示談時に予測できなかった後遺障害が発生した」などほんの一部の例外を除いて、示談内容をくつがえすことはできないという点です。そのため加害者や保険会社から提示された示談金が高額に思えても、安易に示談するのは禁物です。

示談前には、自分の事故ケースに相応の示談金なのか、弁護士などの専門家に相談しながら、じっくり検討する必要があると言えます。

示談金の内訳と相場の決まり方

示談金は一つの金額がぽんと決まるものではなく、複数の費目を積み上げた合計額です。
内訳の構成と、金額を左右する基準を理解すると、提示額が妥当かどうかを自分で判断できるようになります。

示談金を構成する費目の一覧

交通事故の示談金には、慰謝料だけでなく、治療費や休業損害などさまざまな費目が含まれます。
主な内訳は以下のとおりです。

費目 内容
治療費 入院・通院にかかった費用
通院交通費 通院のための交通費
休業損害 怪我で仕事を休んだことによる収入の減少分
入通院慰謝料 入通院による精神的苦痛に対する補償
後遺障害慰謝料 後遺障害が残った場合の精神的苦痛に対する補償
逸失利益 後遺障害や死亡で将来得られたはずの収入の減少分
物的損害 車両修理費・評価損など物の損害

このうち慰謝料は内訳の一部にすぎません。
治療費や休業損害、逸失利益といった費目を漏れなく積み上げることで、示談金の総額は大きく変わります。

なお、これらの損害を加害者に請求できる根拠は、民法の不法行為に関する規定(民法709条)にあります。

示談金の金額を決める3つの基準

示談金、とりわけ慰謝料の金額は、どの基準で計算するかによって大きく変わります。
基準は次の3つです。

  • 自賠責基準:国が定めた最低限の補償。入通院慰謝料は1日4,300円で計算され、傷害部分の支払上限は120万円
  • 任意保険基準:各保険会社が独自に定める基準。自賠責基準に近い水準のことが多い
  • 弁護士基準(裁判基準):過去の判例をもとにした基準で、裁判でも用いられる。3つの中で最も高額

保険会社が最初に提示してくるのは、多くの場合この中で最も低い自賠責基準・任意保険基準に沿った金額です。
一方、弁護士に依頼すると弁護士基準で計算・交渉できるため、慰謝料だけでも2倍前後の差が生じることがあります。

同じ事故でも金額が変わる理由

同じような事故・怪我でも、示談金の総額が変わる主な理由は次のとおりです。

  • 後遺障害等級の認定を受けたかどうか(後遺障害慰謝料・逸失利益の有無)
  • 休業損害や逸失利益の基礎となる収入の計算方法
  • 過失割合(被害者にも過失があると、その分だけ減額される)
  • どの基準(自賠責・任意保険・弁護士)で慰謝料を計算したか

つまり、示談金は怪我の重さだけで決まるのではなく、実際に負った怪我(損害)の実態をふまえてこれらの要因をどれだけ適正に主張・立証できるかで総額が変わります。

保険会社の提示額が低くなりやすいのは、総じてこれらの費目を実際の被害よりもそれぞれ低めに見積もってくるためです。

示談金と慰謝料の違い

交通事故の損害に対して支払われるお金の呼び名としては、示談金と慰謝料がよく知られています。

この示談金と慰謝料の違いですが、まず示談金とは、裁判所を介さず当事者同士の合意によって紛争を解決する「示談」で支払われるお金すべてを指します。
一方で慰謝料とは、交通事故被害によって負った精神的苦痛に対して支払われるお金のみを指します。

慰謝料は示談金に含まれる支払い金の一部

示談金の中には、車両修理費、治療費、通院交通費、休業損害など様々なお金が含まれていますが、実は慰謝料も示談金の一部なのです。

示談金の相場例5つのケース別にご紹介

示談金には一律の相場がないと冒頭で述べましたが、弁護士に依頼すると、個々のケースの事情を踏まえて適正な損害額を算定し、保険会社の提示額よりも高額な示談金の獲得が可能です。

以下でケース別に示談金例を見てみましょう。

  1. 物損事故の示談金が30万円増額したケース
  2. 後遺障害14級の示談金が250万円増額したケース
  3. 後遺障害8級の示談金が1,130万円増額したケース
  4. 後遺障害1級の示談金で約1億9000万円を獲得したケース
  5. 死亡事故で約8900万円を獲得したケース

物損事故の示談金が30万円増額したケース

追突され損傷した新車同様の被害車両に対し、評価損(格落ち)を認めさせたケースの示談金例です。

(単位:円)

費目 保険会社提示額 弁護士依頼後
修理費その他 1,070,000 1,070,000
評価損(格落ち) 300,000
示談金総額 1,070,000 1,370,000

保険会社の多くは、「事故により車両の機能や外観に欠陥が残った」「事故歴のある車両として中古車市場での価値が下がった」などの評価損(格落ち)を認めることに難色を示します。しかし、このケースでは弁護士に依頼することで30万円の評価損(格落ち)を認めさせ、示談金の増額に成功しています。

増額のポイントとなったのは、弁護士が、被害車両の評価損(格落ち)を請求するにあたり、

  • 初年度登録からの期間
  • 走行距離
  • 損傷部位、程度
  • 修理の程度
  • 購入時の価格
  • 車両の市場での人気度

などのデータを総合的に判断して、素人にはできない法的根拠のある主張・立証を行ったことにあります。

後遺障害14級の示談金が250万円増額したケース

年収370万円の40代女性が追突され、頚椎捻挫(他覚所見のないむちうち症)で治療期間10ヶ月(実通院日数130日)、休業日数130日、後遺障害14級9号と認定されたケースの示談金例です。

(単位:円)

費目 保険会社提示額 弁護士依頼後
休業損害 741,000 1,317,808
入通院慰謝料 1,092,000 1,130,000
後遺障害慰謝料 0 1,100,000
逸失利益 0 800,865
治療費その他 370,000 370,000
示談金総額 2,203,000 4,718,673

このケースでは、弁護士に依頼することで示談金が約250万円増額となりました。

増額のポイントは、当初、後遺障害等級認定を受けていなかったところを、弁護士のサポートにより後遺障害等級認定を申請し、後遺障害14級9号の認定を得られたことにあります。これにより、高額な後遺障害慰謝料と逸失利益が支払われるようになりました。

後遺障害8級の示談金が1,130万円増額したケース

70代専業主婦が道路を横断中にはねられ、顔面に醜状障害、左肩関節の機能障害、左下腿痛を負い、治療期間16ヶ月(入院1ヶ月・通院15ヶ月、実通院日数180日)、休業日数(家事ができなかった日数)180日、後遺障害併合8級と認定されたケースの示談金例です。

(単位:円)

費目 保険会社提示額 弁護士依頼後
休業損害 1,026,000 1,325,490
入通院慰謝料 1,512,000 1,910,000
後遺障害慰謝料 3,240,000 8,300,000
逸失利益 3,800,000 9,339,836
治療費その他 1,200,000 1,200,000
示談金総額 10,778,000 22,075,327

このケースでは、弁護士に依頼することで示談金が約1,130万円増額となりました。増額のポイントは、被害者が高齢の専業主婦だったことで、保険会社が就労可能年数や基礎収入を低く計算し、逸失利益を不当に低い金額で提示したものを、弁護士が適正な方法で計算・請求したことにあります。

後遺障害1級の示談金で約1億9000万円を獲得したケース

70代会社経営者(男性)が道路端を歩行中、後方から来た直進車にはねられ、高次脳機能障害と遷延性意識障害を負い、後遺障害1級1号と認定されたケースの示談金例です。

(単位:円)

費目 弁護士依頼後
休業損害 15,000,000
入通院慰謝料 4,200,000
後遺障害慰謝料 28,000,000
逸失利益 49,000,000
将来介護費 65,000,000
家屋改造費 8,000,000
治療費その他 38,900,000
(損害認定額合計) 208,100,000
(被害者過失10%) -20,810,000
示談金総額 187,290,000円

このケースのポイントは、弁護士に依頼することで、被害者の後遺障害による介護の頻度が「随時」ではなく「常時」必要であること、被害者の役員報酬は、「被害者が就労せずとも受領できる部分があり逸失利益計算の際の基礎収入には含まれない」という保険会社主張について理論立てて反論したことです。
これにより、約1億9000万円の示談金を獲得できました。

死亡事故で約8900万円を獲得したケース

20代大学生(男性)が原付バイクで進行中、センターオーバーをした車両にはねられ、死亡したケースの示談金例です。

(単位:円)

費目 弁護士依頼後
逸失利益 53,000,000
死亡慰謝料 25,000,000
葬儀費その他 11,000,000
示談金総額 89,000,000

このケースのポイントは、弁護士に依頼したことで、「被害者がまだ大学を卒業していないため、大卒水準より低額な全男性平均賃金を基礎収入として逸失利益を計算すべき」と主張する保険会社主張に理論立てて反論したことにあります。これにより、約8900万円の示談金を獲得できました。

また、過失割合10対0の交通事故における慰謝料・示談金の相場・事例を下記に掲載しています。
もらい事故、追突事故など、自分に責任のない、一方的な形で交通事故の被害にあわれた方はあわせてご参照ください。

交通事故の示談金がどのくらいになるか詳しく知りたい方は弁護士へ相談を

これまでの重要点をまとめると以下のとおりです。

  • 示談金には一律の相場はなく、ケースごとに相場が変わる
  • 一度示談すると原則として示談内容をくつがえせないため、安易な示談は禁物
  • 慰謝料は示談金の一部
  • 弁護士に依頼すると、個別のケースを踏まえ、保険会社提示額よりも高額な示談金の獲得が可能

保険会社から提示された示談金は、被害者にとって不当に低い場合がほとんどです。その点、交通事故対応に精通した弁護士に相談すれば、事故によって負った被害を正当に算定し、保険会社提示額よりも高額な示談金の獲得が可能です。

示談金がどのくらいになるか詳しく知りたい方は、保険会社の言葉を鵜呑みにする前に、交通事故に強い弁護士に相談することをお勧めします。

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